ネット(だけの)ゲームは死ぬか?

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「若者のネトゲ離れ」って奴ですね。 いやぁ,ついに「ネトゲ」にまで及びましたか(笑)

しかしポケモンGOは可処分時間を大きく奪ってく上に、次のアプリに繋がる広告は一切表示されません。他のアプリの"時間"を大きく奪う上に、アプリ広告は一切なし。それはアプリ広告の業界全体のimp総量が減少することを意味しています。

今や「アダルトサイトよりネット広告が危険」と言われる時代である1。 真っ当なユーザならそんな広告からインストールしないよ。 メジャータイトルのパチもんかもしれないし,セキュリティやプライバシー上の観点からも「知らないアプリ」を入れるのは危険過ぎる。 ユーザがネット広告を敬遠する理由のひとつは S/N 比が悪すぎるからだ。 気づけ!

日本では話題のみ先行したせいか Pokémon GO に対して懐疑的な人が多いが,私はそれでいいと思っている(政府が介入するのはどうかと思うが)。 私が Pokémon GO を導入したのは Ingress を生み出した Niantic 社に対して社会的な信用があると判断しているからに過ぎない(つまらなくなれば Ingress に戻るだけ)。

Ingress が革新的なのはネット上のゲーム空間と日常空間が密接にリンクしていることと,そこのことにより新しい生態系(ecosystem)が誕生したことである。 AR (Augmented Reality; 拡張現実) を使ったアプリやサービスは昔からあるが,ここまでのものはない。 そうでなければローソンやマクドナルドが食いついてきたり東北復興イベントに利用しようとかいう動きになるわけはないのだ。

何人かの Ingress ユーザ(Agent と呼ばれている)から見て Pokémon GO が物足りないと感じるのは確かなようで,そういう意味で「戻ってくる」ユーザは一定数いると思う。 しかし一度この生態系を体験してしまった人が古い「ネトゲ」にどのくらい戻るかは考えものである(子どもは 3DS とかのコンシューマ機に戻るかもしれない)。

もし本当に Pokémon GO が旧来の「ネトゲ」を殺すのであれば死ねばいいと思う。 それが「市場」というものである。 そもそもこの動きは Ingress が正式稼働した3年前から始まっているもので,今更 Pokémon GO に慌てるというのは「遅きに失す」としか言いようがない。

まっ,とりあえず Pokémon GO Plus の発売が待たれるところですねぇ。

これが出れば DAU (Daily Active Users) とか無意味な指標になるし,ユーザ側も危険な「歩きスマホ」から解放されるってものである(だから一刻もはやく出してくれ!)。 さらに言えば広告費の大きさで各サービスや市場の規模を測るなどという前世紀的な発想はそろそろ止めていただきたい。 それはユーザを「消費者という量」で測る最悪の指標である。 さらに更に言えばユーザは VRM (Vendor Relationship Management; 企業関係管理) についてそろそろ真面目に考えるべき。

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インテンション・エコノミー~顧客が支配する経済
Doc Searls (著), 栗原潔 (翻訳)
翔泳社 2013-03-14 (Release 2013-06-20)
Kindle版
B00DIM6BE6 (ASIN)
評価     

時代はソーシャル CRM から VRM へ。俺達がインターネットだ! 感想文はこちら

reviewed by Spiegel on 2015-04-26 (powered by PA-APIv5)


  1. さらに言えば「広告がユーザを追い回す」時代でもある。 ↩︎