鬼(もの)のインターネット

no extension

もともとの Internet of Things はいわゆる Sensorware の文脈で語られたもののようだが,2010年代に入って定義が変質する(よくある話)。

たとえば「特定通信・放送開発事業実施円滑化法」には以下の記述がある。

インターネット・オブ・シングスの実現(インターネットに多様かつ多数の物が接続され、及びそれらの物から送信され、又はそれらの物に送信される大量の情報の円滑な流通が国民生活及び経済活動の基盤となる社会の実現をいう。) (第五条 2 一)

また経産省の「IoTセキュリティガイドライン ver1.0 」では ITU の定義を引いて

IoT とは”Internet of Things”の略であり、ITU(国際電気通信連合)の勧告(ITU-T Y.2060(Y.4000))では、「情報社会のために、既存もしくは開発中の相互運用可能な情報通信技術により、物理的もしくは仮想的なモノを接続し、高度なサービスを実現するグローバルインフラ」とされ (p.7,「1.3.1 IoT とは」)

と記してある。

ポイントは「モノ(things)」自体は単なる PC (Programmable Controller) に過ぎず(intelligent ではない),その制御は主にインターネット側の「(intelligent な)誰か」が行う点にある。 問題は「モノ」を制御する「誰か」も programmable (というか hackable)であることで,更にその「モノ」が無数(それこそ何億という単位で)にネットに繋がってしまっていることだ。 まるで「蛍火の光く神」の如く(笑)

つまり,今のインターネットでは,手段の如何に関わらず,より多くの「モノ」を自分たちの陣営に「包摂」した者こそが「覇権」を握るのである。 量こそ正義! まさに近代の夢,民主主義の典型ではないか(笑)

先日の DDoS のように,包摂された「モノ」が犯罪に使われれば確かにセキュリティ問題と言えるが,一方でこれが政治宣伝に利用されれば政治問題だし,軍事作戦に使われれば軍事問題である。 あるいはもっとつつましく家中のスマート家電を操って特定のお店でしか買い物をしないよう仕向ける,なんてなこともできるかもしれない。

まったく “The Democratization of Censorship” とはよく言ったものである。

ブックマーク

参考図書?

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鬼と天皇(新装版)
大和 岩雄 (著), 大和 岩雄 (翻訳)
白水社 2012-01-18
単行本
456008193X (ASIN), 9784560081938 (EAN), 456008193X (ISBN)
評価     

「鬼は天皇の影法師であり,両者の関係は「かくれんぼう遊び」に喩えることができる」(当時の帯より)

reviewed by Spiegel on 2016-11-03 (powered by PA-APIv5)