改訂3版: CC Licenses について | text.Baldanders.info
tag:text.Baldanders.info,2022-09-19:/cc-licenses
2022-09-19T17:07:21+09:00
本家 Baldanders.info の「クリエイティブ・コモンズ・ライセンスについて」を大幅リニューアル。
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NFT と CC Licenses
tag:text.Baldanders.info,2022-09-19:/cc-licenses/06-nfts-and-cc/
2022-09-19T17:07:21+09:00
2024-01-14T09:53:13+00:00
この記事は Creative Commons が FAQ (よくある質問) として公開している “FAQ: CC and NFTs” を試みに翻訳したものです。
Spiegel
https://baldanders.info/profile/
<p>この記事は <a href="https://creativecommons.org/" title="Creative Commons">Creative Commons</a> が FAQ (よくある質問) として公開している <q lang="en"><a href="https://creativecommons.org/cc-and-nfts/" title="FAQ: CC and NFTs - Creative Commons">FAQ: CC and NFTs</a></q> を試みに翻訳したものです。
原文の <q lang="en"><a href="https://creativecommons.org/cc-and-nfts/" title="FAQ: CC and NFTs - Creative Commons">FAQ: CC and NFTs</a></q> は <a href="https://creativecommons.org/" title="Creative Commons">Creative Commons</a> により <a href="https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/">CC-BY <span><i class="fab fa-creative-commons"></i> <i class="fab fa-creative-commons-by"></i></span></a> ライセンスの下で公開されています。</p>
<p>なお,翻訳に関する間違いは全て翻訳者である <a href="https://baldanders.info/profile/">Spiegel</a> に帰します。
もし間違いがあればフィードバックして頂けると助かります。</p>
<hr>
<h2>FAQ: CC と NFT</h2>
<p>我々は多くの人が <a href="https://creativecommons.org/share-your-work/public-domain/cc0/">CC0 (パブリック・ドメインへの献呈)</a> および <a href="https://creativecommons.org/licenses/">CC ライセンス</a>を代替不可トークン(Non-Fungible Token; NFT)とともに使用しているのを見てきました。
CC0 や CC ライセンスと NFT を組み合わせる方法には多くの混乱があります。
そこでよく目にする質問を明らかにするために,この基本的なガイダンスをまとめました。</p>
<p>これらの技術,およびその説明となる慣行(practices),ポリシー,用語は継続的に進化しています。
この FAQ は NFT が CC オープンライセンスやパブリック・ドメイン・ツールとどのように関係しているかについて CC 最新の理解と解釈を提供しますが,包括的なガイドでも特定の法的助言でもありません。理解と解釈が進むにつれて,この FAQ を更新し続けます。</p>
<p>最終更新日: 2022-09-09</p>
<h3>NFT とはなんですか, CC ライセンスと組み合わせて使えますか?</h3>
<p>NFT は芸術作品やその他の著作物を含む電子ファイルにリンクできる一意に識別可能なデータ単位です。
作品に紐付けられた NFT が「ミント<sup id="fnref:1"><a href="#fn:1" class="footnote-ref" role="doc-noteref">1</a></sup>(mint)」されると,その NFT の売却がブロックチェーン<sup id="fnref:2"><a href="#fn:2" class="footnote-ref" role="doc-noteref">2</a></sup>(blockchain) 上にデジタルで記録され, NFT の購入者は作品に紐付けられた固有のトークンを所有することになります。</p>
<p>ただし NFT の購入者は,明示的に著作権を譲渡する別の法的契約を結んでない限り,紐付いている作品の著作権を自動的に取得することはありません。
芸術作品の番号付きプリントを所有するようなもので, NFT の所有者は所有する特定のトークンに対してなにが起きるかを制御します。
別途の委譲がない限り,トークンの基となる作品の権利は保有されず,作品をコピーまたはリミックスする他者を規制できません(これらの権利は基となる作品の権利者が独占的に保有します)。</p>
<p>CC 法的ツールはクリエイターが自分の作品を一般に向けてコピー,共有,および再利用できるようにするための標準化された方法で,本来は,権利者の特別な許可がない限り,著作権法で禁じられていたものです。
NFT の所有権と基となる作品の著作権の保有は分離できるため, NFT の基となる作品に CC ライセンスを適用することは可能ですし,既にそうしているクリエイターもいます。</p>
<h3>CC0 とはなんですか? どのように機能しますか? それはライセンスですか?</h3>
<p>CC0 はパブリック・ドメインへの作品の献呈です。
作品の著作権に影響を与えるためライセンスと誤って呼ばれることがよくあります。
しかし,しかしライセンスは権利者があなたに許可することを記述しますが, CC0 献呈は全ての権利を解放するため,誰も権利を保有せず,作品は公衆に帰属します。
CC0 を使用すると著作権に基づく全ての権利を解放し作品に対する権利を管理したくない(つまり誰でも自由に利用できる)ことを表明することになります。</p>
<p>CC0 は(全ての CC ライセンスとそのツールも同様ですが)著作権に基づく権利にのみ適用されます。人格権,商標権,プライバシー権といった他の権利は,他の何かの仕組みで明示的に放棄されない限り,依然として行使される可能性があります。
作品に紐付いている NFT の所有権は著作権下で保有される権利ではないため,基となる作品が CC0 の下にリリースされているとしても, NFT は引き続き保有・移転することが出来ます。</p>
<p>一部の法域では完全なパブリック・ドメインへのリリースが不可能なため, CC0 ではこれに備えて権利保有者が可能な全ての許諾を付与する予備(fallback)ライセンスを含んでいます。
法律上の技術的な問題は異なりますが結果は同じです:誰もがどんな目的でも CC0 の作品を利用できます。</p>
<h3>NFT で CC0 を使用することは意味はありますか? もしあるならどんな意味ですか?</h3>
<p>NFT に紐付かれた作品が CC0 でパブリック・ドメイン下にリリースされると,トークン自体は一度にひとりの所有者しか持てませんが,基となる作品は誰でも自由に共有したりリミックスしたりできます。</p>
<p>CC0 パブリック・ドメインへの献呈は基となる作品に適用され,その利用は,商業目的だろうが非商業目的だろうが作品をコピーおよびリミックスする権利を, NFT の所有者でもなく元の権利者でもなく,誰も独占的に保有しないことを意味します。
作品を利用する権利の保有者は,その作品に紐付けられたトークンの所有者とは別のものです。</p>
<p>誰でも CC0 を使用してパブリック・ドメイン下にリリースされた作品のコピーを自由に作成できますが,紐付いている NFT の購入は購入者にとって依然として意味がある場合があります。
たとえば, NFT を発行するクリエイターや機関を財政的に支援したい, NFT 保有に関連する排他的なクラブやフォーラムの会員になりたい,あるいは単に NFT の所有者であることを主張できるという社会的利益を得たい,とか。</p>
<h3>NFT に紐づく作品をパブリック・ドメインにするために CC0 を使用する際,別のライセンス条項を提示することはできますか? たとえば,商用利用のために別のライセンス条項を設定することはできますか?</h3>
<p>CC0 は全てのユーザと全ての利用に対するパブリック・ドメインへのリリースです。
したがって他のライセンス条項を提示しても,誰でも CC0 作品の無制限な利用を選択できます。</p>
<p>たとえば,ある作品を非商用利用には CC0 としてリリースし商用利用にはより厳しいライセンス・スキームを使用することは意味がありません(商用利用者も CC0 条件下で作品を利用する資格があるため意図通りには機能しません)。</p>
<p>(これは CC ライセンスにも当てはまります。
付与された全ての許可は全ての人に適用されます。
しかし,ライセンスが制限していることを行う許可を個別に付与することを選択することは出来ます:
たとえば,作品を CC BY-NC として提供し,お金を払うユーザには商用でのコピーができるようにします)</p>
<h3>CC ライセンスは全ての人が作品を利用できるようにするためのものですが NFT の所有者はひとりしかいません。これは矛盾していますか?</h3>
<p>ある作品の NFT がミントされると,その作品に紐づく一意のトークンが作成され,そのトークンが売りに出されます。
NFT の購入者はその固有のデジタル・データに対する排他的権利を有し,所有に伴う特権,利益,社会的名声を手に入れます。
しかし, NFT の購入に権利譲渡の追加契約が含まれていない限り,紐付いている作品の著作権の独占的な保有者にはなっていません。</p>
<p>物理的メディアを作成するアーティストについて考えてみるといいかもしれません:
アーティストが物理的な作品を販売するとき,それが一点ものの収集品であろうとコピーであろうと,根底にある著作権の販売と結び付けられることは殆どありません。
アーティストは通常,自身の作品の複製に対する排他的権利を保持し,物理メディアの所有者または一般大衆に対して権利の一部または全部をライセンスしたり,あるいは全くライセンスを付与しないこともできます。</p>
<p>多くの場合, NFT の所有者は紐付いている作品自体に対するコピーやリミックスの排他的な支配を特に望んでいないかもしれません。
たとえばクリエイターを経済的に支援する手段として NFT を購入する人は通常,そのクリエイターに著作権を保持させ,その作品を別の方法でライセンスすることで引き続き利益を得られるようにしたいと考えるでしょう。</p>
<p>作品が CC ライセンスされている場合,作品の NFT が販売されてもライセンス条項は引き続き適用されます;
NFT の所有者がひとりであっても,作品自体は付与されている CC ライセンス条項の下に誰もが自由に利用できることに変わりありません。
作品がパブリック・ドメインにある場合や CC0 リリースの場合は誰も排他的権利を有していないため,権利を売買することができなくなります。
一般の人は自由に作品をコピーしたりリミックスしたりできます。
トークンの所有は,これらの条項と矛盾しません。</p>
<h3>他人の CC ライセンス作品の NFT をミントできますか?</h3>
<p>技術的には CC ライセンスで付与された権利の使用(全体または一部のコピー,または作品のリミックスなど)を伴わない方法でこれを行っている場合,ライセンスはあなたの行為を抑えず,あなたはライセンスの条件に従う必要はありません。
創造的な作品に対して NFT をミントするだけならこれらの権利は必ずしも必要ではありませんが,多くの NFT 関連の利用では恐らく必要です。
NFT のミントおよび販売の際に著作権の許可が必要となる方法で作品のコピーを行う場合は,そのライセンスの要求に従わなければなりません(たとえば NC ライセンスの作品を商業利用目的でコピーすることは出来ません)。</p>
<p>ただし,既に作品がパブリック・ドメインにある場合を除き, CC は通常,クリエイターの同意なしに他人の作品をミントすること支援していません。
CC のミッションは,単に共有することではなく,より良い共有—より活発なコモンズを促進し,自由に再利用可能な作品のクリエイターへの支援を生み出す方法で共有することです。</p>
<p>他人の CC ライセンス作品の NFT を同意なしにミントした場合,いくつかの異なるネガティブな結果を生む可能性があります。
ひとつは,クリエイターが与えるべきと思っているある種の公式な所有権を他の誰かが与え,その作品からお金を稼いでいるとき,クリエイターはしばしば不当に搾取されていると感じる可能性です。
もうひとつは,元のクリエイターが自身の作品が NFT に紐付かれたりその NFT が使われることを全く望んでおらず,たとえその使用に対して報酬やクレジットが支払われたとしても,自分の作品がこのような方法で利用されると自身の評判が損なわれ修復も困難だと考えている可能性です。</p>
<p>CC クリエイターが自身の作品の再利用についてこのようなネガティブな経験をすると作品を自由に公開することを躊躇してしまいます
彼らの寛容さにつけ込んでいると感じる利用を阻止するため,より制限的な条件あるいはデフォルトの “All Rights Reserved” に切り替えるかもしれません。</p>
<p>他人の作品の NFT をミントする場合は搾取されていると感じさせるような方法で作品を利用するのではなく,クリエイターに尋ね,彼らと一緒に作業することをお勧めします。
ライセンスの法的要件を満たすことは著作権侵害を回避するために最低限しなければならないことであり,何をすべきかという倫理基準ではありません。</p>
<h3>CC は NFT に特化したライセンスをリリースしましたか?</h3>
<p>CC は NFT に特化したライセンスを公開していませんが,既存ライセンスと法的ツールが NFT に紐づく作品に適用される可能性があります。
コモンズにある他のマテリアル<sup id="fnref:3"><a href="#fn:3" class="footnote-ref" role="doc-noteref">3</a></sup> と互換性のある方法で他の人があなたの作品を自由にコピーおよびリミックスができるようにしたい場合は CC ライセンスまたは CC0 パブリック・ドメイン献呈を使用することをお勧めします。
他の NFT ライセンスが CC ライセンス作品と互換性があるかどうか判断するための分析は行っていませんが,トークン自体の売買に関する追加条項を主に設計し,紐付いている作品については CC0 を使用するか CC ライセンスと互換性のあるいくつかのプロジェクトについては承知しています。
ただし,他のいくつかのライセンスには紐づく作品に対して許可される利用を制限する追加の条件が記述されているものがあります。
これらの多くは CC ライセンス作品と互換性がありません。
NFT ライセンスに CC0 献呈または CC ライセンスが含まれるあるいは参照する場合は,それらがどのように結びつき, NFT およびその関連作業が何を意味するかを理解するように注意する必要があります。</p>
<h3>CC はクリエイティブな作品に NFT を使用することを推奨していますか?</h3>
<p>CC は自由に再利用やリミックスができる文化的な作品の創造と共有を支援しており,これらの作品の創造とデジタル化を支援するために独占的な著作権以外のものを利用する資金調達モデルを支援しています。
多くのクリエイターや文化機関がその精神で NFT を使用しているのを見てきました。</p>
<p>NFT の中にはクリエイターの同意なしにミントされたもの,トークンの価値や潜在的な投資家に販売されているものについて誤解を招くあるいは虚偽の約束をしているもの,他の不正な手段で NFT 発行者に資金を誘導するものがある(他にも多くの非論理的な利用がある)ことを認識しており,たとえ CC ライセンスや法的ツールが使われている場合でも,こうした行為を支援しません。</p>
<p>NFT の環境への影響<sup id="fnref:4"><a href="#fn:4" class="footnote-ref" role="doc-noteref">4</a></sup> を含め,考慮に値する他の批判もあります。
NFT をミントする際,新しい強力なツールで作業する場合と同じように,クリエイターは選択肢と目標を慎重に検討することが推奨されます。</p>
<p>私達のコミュニティではクリエイティブな作品に NFT を使用することを推奨すべきかどうかについて,様々な意見があることを承知しています。
一方で,多くの人が NFT を受け入れ,コモンズで作品を共有する一環としてそれらを使用する方法についてのガイダンスを求めていることも承知しています。
このドキュメントは使用を推奨するものでも問題を深く掘り下げるものでもありません。
代わりに CC ライセンスがこれらの新しいツールや慣行とどのように相互作用するかを既に調査を行っている人々に向けてガイダンスを提供することを狙いとしています。</p>
<div class="footnotes" role="doc-endnotes">
<hr>
<ol>
<li id="fn:1">
<p>訳注:「ミント」は <a href="https://note.com/nft_metaverse/n/n0467ceceda28">NFT を作成してブロックチェーンに組み込むことを指す</a>らしい。「鋳造(minting)」が由来。 <a href="#fnref:1" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:2">
<p>訳注:「ブロックチェーン」は簡単に言うと NFT システムにおける販売台帳のようなものだと考えていただければ。システムで唯一のデータでありながら不特定のコピーを許容する中核技術と言ってよい。元々は Bitcoin で使われている同名の技術を応用したもの。 <a href="#fnref:2" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:3">
<p>訳注:「マテリアル(material)」は CC ライセンスでの独自の言い回しで,ライセンスの対象となるものをまとめてマテリアルと呼んでいる。詳しくは拙文「<a href="https://text.baldanders.info/cc-licenses/02-creative-commons-licenses/">Creative Commons Licenses</a>」を参照のこと。 <a href="#fnref:3" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:4">
<p>訳注:ブロックチェーン要素技術である PoW (Proof of Work) は計算資源(と電力)を激しく消費するため批判が多い。このため NFT のプラットフォームでもある Ethereum では PoW を PoS (Proof of Stake) へ置き換えようとしている。詳しくは次の記事を参照のこと: <a href="https://www.technologyreview.jp/s/286038/the-merge-is-here-ethereum-has-switched-to-proof-of-stake/">MIT Tech Review: イーサリアムの「ザ・マージ」が完了、6年越しでPoSへ移行</a>, <a href="https://yamdas.hatenablog.com/entry/20221003/proof-of-stake">「マージ」を成功させたイーサリアムの創設者ヴィタリック・ブテリンが初の著書『Proof of Stake』を出していた - YAMDAS現更新履歴</a> <a href="#fnref:4" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
</ol>
</div>
CC Licenses における『技術的保護手段』の扱い
tag:text.Baldanders.info,2016-12-15:/cc-licenses/05-technological-measures/
2016-12-15T21:17:29+09:00
2023-06-19T12:34:26+00:00
CC Licenses v4 では利用者側の技術的保護手段回避を許諾するという形に大きく変わった。
Spiegel
https://baldanders.info/profile/
<ol>
<li><a href="#abt">著作権法における「技術的保護手段」および「技術的利用制限手段」</a></li>
<li><a href="#avoid">『技術的保護手段』の回避</a></li>
<li><a href="#grant">CC Licenses による技術的保護手段回避の許諾</a></li>
<li><a href="#other">その他,雑多なこと</a>
<ol>
<li><a href="#proc">「技術的保護手段回避の許諾」に至る経緯</a></li>
<li><a href="#drm">DRM の変遷</a></li>
<li><a href="#double">日本の不正競争防止法における「技術的制限手段」</a></li>
</ol>
</li>
</ol>
<h2 id="abt"><a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a>における「技術的保護手段」および「技術的利用制限手段」</h2>
<p><a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a>第2条では「技術的保護手段」は以下のように定義されている。
(あまりに長ったらしい文なので一部端折っている)</p>
<figure>
<blockquote>
<q>電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法 [...] により、第十七条第一項に規定する著作者人格権若しくは著作権、出版権又は第八十九条第一項に規定する実演家人格権若しくは同条第六項に規定する著作隣接権(以下 [...] 「著作権等」という。)を侵害する行為の防止又は抑止 [...] をする手段(著作権等を有する者の意思に基づくことなく用いられているものを除く。)であつて、著作物、実演、レコード、放送又は有線放送 [...] の利用(著作者又は実演家の同意を得ないで行つたとしたならば著作者人格権又は実演家人格権の侵害となるべき行為を含む。)に際し、これに用いられる機器が特定の反応をする信号を著作物、実演、レコード若しくは放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像とともに記録媒体に記録し、若しくは送信する方式又は当該機器が特定の変換を必要とするよう著作物、実演、レコード若しくは放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像を変換して記録媒体に記録し、若しくは送信する方式によるものをいう。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048">著作権法</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>なげーよ(笑) 要するに「著作物等<sup id="fnref:1"><a href="#fn:1" class="footnote-ref" role="doc-noteref">1</a></sup>」を何らかの形で変換し,特定の手段を用いなければ復元できないような方式を指す。</p>
<p><a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a>では「私的使用のための複製(第30条)」を「<a href="https://text.baldanders.info/cc-licenses/01-copyright/#fair-use">著作権の制限</a>」として認めているが</p>
<figure>
<blockquote>
<q>技術的保護手段の回避 [...] により可能となり、又はその結果に障害が生じないようになつた複製を、その事実を知りながら行う場合</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048">著作権法</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>を「私的使用のための複製」から除外した。</p>
<p>更に2018年の<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a>改正では新たに「技術的利用制限手段」の定義が追加された。</p>
<figure>
<blockquote>
<q>電磁的方法により、著作物等の視聴(プログラムの著作物にあつては、当該著作物を電子計算機において実行する行為を含む。[...])を制限する手段 [...] であつて、著作物等の視聴に際し、これに用いられる機器が特定の反応をする信号を著作物、実演、レコード若しくは放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像とともに記録媒体に記録し、若しくは送信する方式又は当該機器が特定の変換を必要とするよう著作物、実演、レコード若しくは放送若しくは有線放送に係る音若しくは影像を変換して記録媒体に記録し、若しくは送信する方式によるものをいう。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048">著作権法</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>「技術的保護手段」と「技術的利用制限手段」はよく似ているが「技術的保護手段」がコピー・コントロール寄りであるのに対し「技術的利用制限手段」は明確にアクセス・コントロールである(複製を要件としない)点が異なる。
なおこの記事では,<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a>の「技術的保護手段」と「技術的利用制限手段」を一絡げに『技術的保護手段』と呼ぶことにする。</p>
<p><a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a>では『技術的保護手段』の回避,あるいは回避を行う装置やプログラムの公開等を禁止している(第120条)。
次節で『技術的保護手段』の回避についてもう少し詳しく述べていこう。</p>
<h2 id="avoid">『技術的保護手段』の回避</h2>
<p>『技術的保護手段』における「変換」や「復元」には,通常は暗号技術が用いられる。
ぶっちゃけて言うなら『技術的保護手段』とは「著作物等を暗号化する手段」と思っていただいて構わない。</p>
<p>具体的には,「著作物等」を変換(暗号化)するのは著作(権)者またはコンテンツ・ホルダ(contents holder)で,彼等が許可した(つまり正規ルートでコンテンツを購入した)ユーザのみが専用の再生装置またはプログラムを使って著作物等を復元(復号)し使用できる,という仕組みだ。</p>
<p>この仕組みの問題のひとつはユーザは「著作物等」の「利用」のみならず<a href="https://text.baldanders.info/cc-licenses/01-copyright/#fair-use">「公正な利用(fair use)」や「著作権の制限」</a>更には(著作権の範囲外である)「使用」まで制限してしまうことである。</p>
<p>たとえば DVD や BD は対応する再生装置でなければ再生(つまり復元して使用)することができないが,市場から再生装置が無くなれば DVD や BD などベランダに吊るしてカラス除けにするくらいにしか役に立たない(実際そうやって消えていく機器は山ほどある)。</p>
<p>もっと深刻な問題がある。
いささか逆説的かもしれないが。</p>
<p>先ほど述べたように『技術的保護手段』には暗号技術が用いられる。
ユーザが「著作物等」を復元(復号)するためには復号鍵が必要だが,実際には鍵の生成方法が杜撰だったり(特にスタンドアロンの再生装置では)鍵の配送手段が貧弱または存在しないことが多い。
したがって再生装置にある復号鍵を全て解読すればその鍵情報を使って再生装置なしでも「著作物等」を復元できることになる(実際にはこんなに簡単ではないが)。
こういった行為を『技術的保護手段』の「回避」と呼ぶ。</p>
<p>『技術的保護手段』の回避は(仕様や実装によるが)技術的にものすごく難しいというわけではない。
しかも『技術的保護手段』の回避は非常にカジュアルな動機で行われる。
何故なら,上述したように『技術的保護手段』は「<a href="https://text.baldanders.info/cc-licenses/01-copyright/#fair-use">「公正な利用」や「著作権の制限」</a>更には「使用」まで制限してしまう」からだ。</p>
<p>たしかに多くのユーザはこれを律儀に守って無理に『技術的保護手段』の回避を行うことはないだろうが,一部の悪質なユーザには(罰則を強めにしたところで)抑止効果はない。
一方で『技術的保護手段』の仕様や実装に欠陥があったとしても,これを報告する動機は抑止される。
結局「正直者が馬鹿を見る」ことになるのだ。</p>
<h2 id="grant">CC Licenses による技術的保護手段回避の許諾</h2>
<p><a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> では技術的保護手段を以下のように定義している。</p>
<figure>
<blockquote>
<q><strong>「効果的な技術的保護手段」</strong>とは、1996年12月20日に採択されたWIPO著作権条約第11条、および/または類似の国際協定の義務を満たす諸法規の下で、正当な権限なしに回避されてはならないものとされる諸手段をいいます。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/legalcode.ja">クリエイティブ・コモンズ (Creative Commons) — 表示-継承 4.0 国際</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>簡単に書かれてるが,これは<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a>の『技術的保護手段』と概ね同じと思ってよい。
その上で,利用条件に従う限り,技術的保護手段の回避を許諾している。</p>
<figure>
<blockquote>
<q>許諾者は、あなたに対し、あらゆる媒体や形式(現在知られているか、または今後作られるか否かを問いません)において、ライセンスされた権利を行使する権限、およびその行使に必要とされる技術的な改変を行う権限を付与します。許諾者は、あなたが、ライセンスされた権利を行使するために必要とされる技術的な改変(効果的な技術的保護手段を回避するために必要とされる技術的な改変を含みます)を禁止するいかなる権利または権限を放棄し、および/またはこれらの権利または権限を行使しないことに同意します。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/legalcode.ja">クリエイティブ・コモンズ (Creative Commons) — 表示-継承 4.0 国際</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>さらに <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> では技術的保護手段の回避を翻案と見なさないことで「改変禁止 <span><i class="fab fa-creative-commons-nd"></i></span>」条件でも技術的保護手段の回避を許諾している。</p>
<p>またこれとは別に,下流側(downstream)へ再配布を行う場合は技術的保護手段を適用してはならないともある。</p>
<figure>
<blockquote>
<q>あなたは、ライセンス対象物の受領者がライセンスされた権利を行使するのを制限されることになる場合には、ライセンス対象物に対して、いかなる追加条項または異なる条項も提案または課してはならず、あるいは、いかなる効果的な技術的保護手段も適用してはなりません。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/legalcode.ja">クリエイティブ・コモンズ (Creative Commons) — 表示-継承 4.0 国際</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p><a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> 下のマテリアルを再配布する場合には注意が必要である<sup id="fnref:2"><a href="#fn:2" class="footnote-ref" role="doc-noteref">2</a></sup>。</p>
<h2 id="other">その他,雑多なこと</h2>
<h3 id="proc">「技術的保護手段回避の許諾」に至る経緯</h3>
<p>何度も言うように技術的保護手段には「<a href="https://text.baldanders.info/cc-licenses/01-copyright/#fair-use">「公正な利用」や「著作権の制限」</a>更には「使用」まで制限してしまう」問題があり,さらに言えば <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> で許諾している利用も阻まれてしまうため <a href="https://creativecommons.org/" title="Creative Commons">Creative Commons</a> としてはこれを看過するわけにはいかなかった。
しかし <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> v2.x までは技術的保護手段について消極的な文言しかなかった。</p>
<figure>
<blockquote>
<q>あなたは、この利用許諾条項と矛盾する方法で本著作物へのアクセス又は使用をコントロールするような技術的保護手段を用いて、本作品又はその二次的著作物を利用してはならない。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.1/jp/legalcode">クリエイティブ・コモンズ リーガル・コード — 表示-継承 2.1 日本版</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p><a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> v3 作成時には「もっと強い文言にすべきではないか」という意見もあったが,結局は</p>
<figure lang="en">
<blockquote>
<q>When You Distribute or Publicly Perform the Work, You may not impose any effective technological measures on the Work that restrict the ability of a recipient of the Work from You to exercise the rights granted to that recipient under the terms of the License.</q>
</blockquote>
<figcaption><div>via <q><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/legalcode">Creative Commons Legal Code — Attribution-ShareAlike 3.0 Unported</a></q></div></figcaption>
</figure>
<figure>
<blockquote>
<q>あなたがこの作品を頒布、譲渡、公衆送信その他の方法で公衆に提供するにあたっては、本作品の受領者がこのライセンスの中で与えられている権利の行使を制限されるような技術的手段を本作品に適用してはならない。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://creativecommons.jp/2006/11/15/discussion-drm/">【CCPLv3.0】DRM条項の改正に関する議論 | クリエイティブ・コモンズ・ジャパン</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>というレベルにとどまったようである(v4 の「ダウンストリーム(下流側)の受領者」の文言とほぼ同じ)。</p>
<p>これが v4 では利用者側の技術的保護手段回避を許諾するという形で更に踏み込んでいる<sup id="fnref:3"><a href="#fn:3" class="footnote-ref" role="doc-noteref">3</a></sup>。
「技術的保護手段の回避」は著作(権)者によって許諾できる,というのがポイントだろう。
「技術的保護手段の回避」は複製権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第21条)の侵害と見なしうるので,「技術的保護手段の回避」を含めて複製を( <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> が要求する条件下で)認めてしまえばいいのである。</p>
<h3 id="drm">DRM の変遷</h3>
<p>これまで述べてきたように,いわゆる技術的保護手段が技術的に不十分でユーザの使用を不当に制限するものであることは明らかである。
これはコンテンツ・ホルダの側も認識しているようで, DRM (Digital Rights Management) の形も変わってきた。</p>
<p>ひとつは定額制のストリーミング・サービスの台頭である。
ストリーミング・サービスの利点は,コンテンツ・ホルダもユーザも「違法コピー」を考えなくていいことである。
ユーザはその場でコンテンツを「消費」するだけ。
定額制で何時でも何度でも見れるなら「コピっておく」必要がない。</p>
<p>欠点はコンテンツ・ホルダやサービス・プロバイダの力が大きくなりすぎることで,両者が癒着するとかなり酷いことになる。
実際,ストリーミング・サービスでの売り上げがクリエイターやアーティストに公平に分配されないなどの話もチラホラある。</p>
<p>もうひとつは DRM が「監視型」に移行したことである。
「電子透かし」や「電子指紋」を使ってネット上に流通するコンテンツを比較的容易に監視できるようになった。
これがうまく機能すれば一般ユーザのネット上での活動を妨げることなく悪質なものだけを排除することができる。</p>
<ul>
<li><a href="http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080812/156366/" title="コピーに自由を ―生まれ変わるDRM―(第3回) - 日経テクノロジーオンライン">コンテンツの識別で流通の価値をお金に変える</a></li>
</ul>
<p>しかし,一方でこれもコンテンツ・ホルダやサービス・プロバイダの力が大きくなりすぎる傾向がある。
コンテンツ・ホルダやサービス・プロバイダはボットなどを使って機械的に監視と排除を行うが,判断を間違えたり「<a href="https://text.baldanders.info/cc-licenses/01-copyright/#fair-use">公正な利用</a>」まで排除される例があるようだ。</p>
<p>このような感じで技術的保護手段が時代遅れになる一方で新しい形の DRM に対する問題も出てきている。
DRM についてはこれからも注視していく必要がある。</p>
<h3 id="double"><a href="http://www.japaneselawtranslation.go.jp/law/detail_main?id=83&vm=1" title="不正競争防止法">不正競争防止法</a>における「技術的制限手段」</h3>
<p>日本では<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a>のみならず<a href="http://www.japaneselawtranslation.go.jp/law/detail_main?id=83&vm=1" title="不正競争防止法">不正競争防止法</a>でも「技術的制限手段」を定義してアクセス・コントロールを規制している。</p>
<figure>
<blockquote>
<q>この法律において「技術的制限手段」とは、電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。)により影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録を制限する手段であって、視聴等機器(影像若しくは音の視聴若しくはプログラムの実行又は影像、音若しくはプログラムの記録のために用いられる機器をいう。以下同じ。)が特定の反応をする信号を影像、音若しくはプログラムとともに記録媒体に記録し、若しくは送信する方式又は視聴等機器が特定の変換を必要とするよう影像、音若しくはプログラムを変換して記録媒体に記録し、若しくは送信する方式によるものをいう。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://www.ron.gr.jp/law/law/fuseikyo.htm">不正競争防止法</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>もともと,<a href="http://www.japaneselawtranslation.go.jp/law/detail_main?id=83&vm=1" title="不正競争防止法">不正競争防止法</a>の「技術的制限手段」は DVD の CSS (Content Scramble System) や BD の AACS (Advanced Access Content System) 等を指したもので,<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a>と同じく WCT<sup id="fnref:4"><a href="#fn:4" class="footnote-ref" role="doc-noteref">4</a></sup> を受けて盛り込まれたものである。
更に近年では地上波デジタル放送の B-CAS 迂回やマジコン騒動などを受けて規制が強化された経緯がある<sup id="fnref:5"><a href="#fn:5" class="footnote-ref" role="doc-noteref">5</a></sup>。</p>
<p>つまり日本ではマテリアルへのアクセスは<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a>と<a href="http://www.japaneselawtranslation.go.jp/law/detail_main?id=83&vm=1" title="不正競争防止法">不正競争防止法</a>により二重に規制されている。
たとえば,マテリアルの著作(権)者が <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> によって技術的保護手段回避を許諾しているとしても<a href="http://www.japaneselawtranslation.go.jp/law/detail_main?id=83&vm=1" title="不正競争防止法">不正競争防止法</a>のほうで回避を禁止されるかも知れないわけだ。</p>
<p>こうしたリスクを避けるためにも <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> 下にあるマテリアルを『技術的保護手段』で縛ることのないよう許諾者側が留意する必要があるだろう。</p>
<h2>参考になる(かもしれない) Web ページ</h2>
<ul>
<li>
<p><a href="https://creativecommons.jp/2006/11/15/discussion-drm/">【CCPLv3.0】DRM条項の改正に関する議論 | クリエイティブ・コモンズ・ジャパン</a></p>
</li>
<li>
<p><a href="http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080812/156363/">コピーに自由を ―生まれ変わるDRM―(目次) - 日経テクノロジーオンライン</a></p>
</li>
<li>
<p><a href="https://mag.osdn.jp/08/10/26/2237236">「オープンソースDRM」の不可能性について | OSDN Magazine</a></p>
</li>
<li>
<p><a href="http://www.itmedia.co.jp/lifestyle/articles/0606/12/news005.html">小寺信良:「補償金もDRMも必要ない」――音楽家 平沢進氏の提言 (1/4) - ITmedia LifeStyle</a></p>
</li>
<li>
<p><a href="http://www-vacia.media.is.tohoku.ac.jp/member/o/s-yamane2004/articles/crypto/circumvention.html">Problem on anti-circumvention provision in Copyright protection プロテクト破り規制法案の問題点</a></p>
</li>
<li>
<p><a href="https://baldanders.info/blog/000295/">DRM に関する覚え書き — Baldanders.info</a></p>
</li>
<li>
<p><a href="https://baldanders.info/blog/000490/">監視をコントロールする — Baldanders.info</a></p>
</li>
<li>
<p><a href="https://wirelesswire.jp/2015/06/32173/">『デジタル音楽の行方』から10年経って - WirelessWire News(ワイヤレスワイヤーニュース)</a></p>
</li>
<li>
<p><a href="https://techcrunch.com/2015/07/02/prince-wont-stream-4-u/">テイラー効果広がる―プリンスもストリーミング条件に反発してSpotify他から楽曲を引き上げ | TechCrunch Japan</a></p>
</li>
<li>
<p><a href="http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1609/02/news120.html">YouTubeが著作者をあべこべに判断 音源を無断使用された音楽家の動画が再生できなくなるトラブルが発生 - ねとらぼ</a></p>
</li>
<li>
<p><a href="http://p2ptk.org/copyright/350">「フェアユースでも使用料を払え」というソニーミュージックの横暴と、それを許すYouTubeのコンテンツID – P2Pとかその辺のお話R</a></p>
</li>
<li>
<p><a href="http://p2ptk.org/copyright/346">Fox、番組にYouTube動画を無断使用した挙句に元動画を権利者削除 – P2Pとかその辺のお話R</a></p>
</li>
<li>
<p><a href="https://creativecommons.org/2017/02/22/copyright-filtering-mechanisms-dont-cant-respect-fair-use/">Copyright Filtering Mechanisms Don’t (and can’t) Respect Fair Use - Creative Commons</a></p>
</li>
<li>
<p><a href="https://text.baldanders.info/remark/2018/11/copy-control-and-access-control/">「技術的保護手段」と「技術的利用制限手段」</a></p>
</li>
</ul>
<div class="footnotes" role="doc-endnotes">
<hr>
<ol>
<li id="fn:1">
<p><a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a>第2条でいう「著作物、実演、レコード、放送又は有線放送」を指す。ちなみに <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> では同様のものを「マテリアル(material)」と定義している。これについては「<a href="https://text.baldanders.info/cc-licenses/02-creative-commons-licenses/">Creative Commons Licenses</a>」を参照のこと。 <a href="#fnref:1" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:2">
<p><a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> ではライセンスの再許諾(sublicense)を許可していない。詳しくは「<a href="https://text.baldanders.info/cc-licenses/02-creative-commons-licenses/">Creative Commons Licenses</a>」を参照のこと。 <a href="#fnref:2" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:3">
<p>この辺の経緯について書かれているまとまった文書が見つからないのだが,おそらく他の「自由なライセンス」との互換性を考えた結果ではないかと推測する。 <a href="#fnref:3" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:4">
<p>WIPO 著作権条約(WIPO Copyright Treaty)のこと。 <a href="#fnref:4" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:5">
<p>2018年も「技術的制限手段」に関して<a href="https://innoventier.com/archives/2018/08/6847" title="不正競争防止法の改正(技術的制限手段に関する不正競争行為の規律強化)について – イノベンティア">不正競争防止法の改正</a>が行われている。 <a href="#fnref:5" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
</ol>
</div>
二次的著作物と CC Licenses
tag:text.Baldanders.info,2016-01-26:/cc-licenses/04-derivative-works/
2016-01-26T20:29:34+09:00
2023-06-19T12:34:26+00:00
CC Licenses では「改変禁止」条件がなければ「翻案物を作成、複製および共有すること」を許諾する。また翻案物を受け取ったユーザは原著作者の許諾を(提示されている CC Licenses の条件に従って)自動的に得る。
Spiegel
https://baldanders.info/profile/
<p>今回は「二次的著作物」について。</p>
<ol>
<li><a href="#about">「二次的著作物」とは</a></li>
<li><a href="#ccl">CC Licenses による改変の許諾</a></li>
<li><a href="#cl">Copyleft のすすめ</a></li>
<li><a href="#parody">パロディについて</a></li>
<li><a href="#niji">二次創作のみを許可したい</a></li>
<li><a href="#nd">「改変禁止」が意図するもの</a></li>
</ol>
<h2 id="about">「二次的著作物」とは</h2>
<p><a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a>第2条では「二次的著作物」は以下のように定義されている。</p>
<figure>
<blockquote>
<q>著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物をいう。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048">著作権法</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>「創作」的であることが重要で,「既存の著作物の修正増減に創作性が認められるが、原著作物の表現形式の本質的な特徴が失われるに至っていない場合<sup id="fnref:1"><a href="#fn:1" class="footnote-ref" role="doc-noteref">1</a></sup>」に二次的著作物と見なされる。
たとえばフォーマット変換や機械翻訳(点字などへの置き換え)などは「逐語的コピー」と呼ばれ複製と見なされる<sup id="fnref:2"><a href="#fn:2" class="footnote-ref" role="doc-noteref">2</a></sup>。</p>
<p>具体的には</p>
<ul>
<li>翻訳</li>
<li>編曲</li>
<li>変形(美術、写真、建築物、地図・図形の著作物で用いられることが多い)</li>
<li>脚色</li>
<li>映画化</li>
<li>翻案(上述した以外の全て。コミカライズやノベライズ,文章の要約,あるいはプログラムのバージョンアップや他言語への移植なども含まれる)</li>
</ul>
<p>といった感じに分類されるが,一絡げに「翻案」または「改変」と表記されることが多い。
<a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> では二次的著作物に相当するものを「翻案物(Adapted Material)<sup id="fnref:3"><a href="#fn:3" class="footnote-ref" role="doc-noteref">3</a></sup>」としている。</p>
<figure>
<blockquote>
<q><strong>「翻案物」</strong>とは、著作権およびそれに類する権利の対象となり、ライセンス対象物について許諾者が有する著作権およびそれに類する権利に基づく許諾が必要とされるような形で、翻訳され、改変され、編集され、変形され、またはその他の方法により変更されたマテリアルで、ライセンス対象物から派生したか、またはライセンス対象物に基づくものを意味します。本パブリック・ライセンスにおいては、ライセンス対象物が音楽作品、実演または録音物で、これらが動画と同期させられる場合には、翻案物が常に作成されることになります。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/legalcode.ja">クリエイティブ・コモンズ (Creative Commons) — 表示-継承 4.0 国際</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>著作(権)者は自身の著作物に対して</p>
<ul>
<li>二次的著作物の作成に関する権利(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第27条)</li>
<li>二次的著作物の利用に関する原著作者の権利(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第28条)</li>
</ul>
<p>の2つの権利を持っている。
ポイントは二次的著作物の原著作者(元の著作物の著作者)も二次的著作物に対して一連の著作財産権を持っていることである。</p>
<figure>
<blockquote>
<q>二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048">著作権法</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>つまり,ユーザが二次的著作物を利用したいと考えるなら,二次的著作物の著作(権)者と原著作(権)者の双方から許可を得る必要がある。</p>
<h2 id="ccl">CC Licenses による改変の許諾</h2>
<p><a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> では「改変禁止 <span><i class="fab fa-creative-commons-nd"></i></span>」条件がなければ「翻案物を作成、複製および共有すること」を許諾する。
また翻案物を受け取ったユーザは原著作者の許諾を(提示されている <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> の条件に従って)自動的に得る<sup id="fnref:4"><a href="#fn:4" class="footnote-ref" role="doc-noteref">4</a></sup>。</p>
<figure>
<blockquote>
<q>あなたから翻案物を受領した者は、あなたが適用した翻案者のライセンスの条件にしたがった翻案物におけるライセンスされた権利を行使できるという申出を自動的に許諾者から受け取ります。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/legalcode.ja">クリエイティブ・コモンズ (Creative Commons) — 表示-継承 4.0 国際</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>つまり,原マテリアルとその翻案物の双方が <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> で許諾されているなら,双方のライセンス条件に従って翻案物も利用することができる。</p>
<p>なお <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> では「表示 <span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i></span>」条件が必須になっているため,翻案物およびその複製や翻案物に対しても原著作者のクレジット表示が必要になる<sup id="fnref:5"><a href="#fn:5" class="footnote-ref" role="doc-noteref">5</a></sup>。</p>
<h2 id="cl">Copyleft のすすめ</h2>
<p>二次的著作物については原著作物の許諾条件と二次的著作物の許諾条件の両方に従う必要がある。
原著作物が <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> で許諾されている場合でも,その翻案物が <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> で許諾されていない場合は利用条件が著しく制限される場合がある(まぁ原著作物から派生させる手もあるのだが)。
また原著作物とその翻案物の双方が <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> で許諾されているとしても両者の条件が異なれば,やはりそれも制限になってしまう。</p>
<p>もし翻案物も含めてマテリアルを広く共有したいと望むのであれば「継承 <span><i class="fab fa-creative-commons-sa"></i></span>」条件を付加することをお勧めする。
「継承 <span><i class="fab fa-creative-commons-sa"></i></span>」条件が付加されている場合は,翻案物に対しても同等のライセンス<sup id="fnref:6"><a href="#fn:6" class="footnote-ref" role="doc-noteref">6</a></sup> を付加することが求められる。</p>
<p>このようなライセンスの仕組みは <a href="http://www.gnu.org/licenses/copyleft.html" title="コピーレフトって何? - GNUプロジェクト - フリーソフトウェアファウンデーション">Copyleft</a> と呼ばれている。
<a href="http://www.gnu.org/licenses/copyleft.html" title="コピーレフトって何? - GNUプロジェクト - フリーソフトウェアファウンデーション">Copyleft</a> の起源は <a href="https://www.gnu.org/copyleft/gpl.html">GNU GPL(General Public License)</a> であるが, <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> においても「継承 <span><i class="fab fa-creative-commons-sa"></i></span>」条件よって <a href="http://www.gnu.org/licenses/copyleft.html" title="コピーレフトって何? - GNUプロジェクト - フリーソフトウェアファウンデーション">Copyleft</a> もしくはそれに近いライセンスを構成できる<sup id="fnref:7"><a href="#fn:7" class="footnote-ref" role="doc-noteref">7</a></sup>。</p>
<p><a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> で「継承 <span><i class="fab fa-creative-commons-sa"></i></span>」条件が付くのは以下の2つである。</p>
<figure style='margin:0 auto;text-align:center;'>
<table>
<tbody>
<tr>
<th class='left fa-2x'><span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i> <i class="fab fa-creative-commons-sa"></i></span></th>
<th class='left'>表示-継承</th>
<td><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/">コモンズ証</a>(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/deed.ja">日本語</a>)<br><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/legalcode">法的条項</a>(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/legalcode.ja">日本語</a>)<br><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/rdf">メタデータ</a></td>
</tr><tr>
<th class='left fa-2x'><span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i> <i class="fab fa-creative-commons-nc"></i> <i class="fab fa-creative-commons-sa"></i></span></th>
<th class='left'>表示-非営利-継承</th>
<td><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/">コモンズ証</a>(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja">日本語</a>)<br><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/legalcode">法的条項</a>(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/legalcode.ja">日本語</a>)<br><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/rdf">メタデータ</a></td>
</tr>
</tbody>
</table>
<figcaption><div>Creative Commons Licenses Version 4.0 International</div></figcaption>
</figure>
<p><a href="http://www.gnu.org/licenses/copyleft.html" title="コピーレフトって何? - GNUプロジェクト - フリーソフトウェアファウンデーション">Copyleft</a> はプログラミングの世界でも「ウイルス的」と揶揄されることもあるが,共有を維持するには必要な仕掛けだと思う。
<a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> の使われ方を見ても,<a href="https://stateof.creativecommons.org/2015/">2015年時点</a>では「<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/" title="Creative Commons — Attribution-ShareAlike 4.0 International — CC BY-SA 4.0">表示-継承</a>」条件が37%で最も多い。
この機会に検討してみてはいかがだろうか。</p>
<p>なお <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> は<a href="https://text.baldanders.info/cc-licenses/01-copyright/#fair-use">「公正な利用(fair use)」や「著作権の制限」</a>として利用が認められていることに対しては効力が及ばないため, <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> の条件に関わらず利用可能である。</p>
<h2 id="parody">パロディについて</h2>
<p>海外では,パロディ・風刺について「公正な利用(fair use)」としてある程度認められている国もあるが,日本ではパロディに関する規定そのものがない。
そのため現状では「引用」か「翻案」かで線引されることになる<sup id="fnref:8"><a href="#fn:8" class="footnote-ref" role="doc-noteref">8</a></sup>。</p>
<p>商業作品の場合は(防衛のために)あらかじめオリジナル作品の著作(権)者から許可を得ていることもあるようだが,そうでない場合は特に悪質なものでない限り「黙認」されているのが現状のようだ。
しかし,いったん訴訟になった場合,パロディが「引用」として認められるのはかなり難しいと思われる。</p>
<h2 id="niji">二次創作のみを許可したい</h2>
<p><a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> では,どの条件の組み合わせでもマテリアルの複製や配布を(条件に従う限りは)制限しない。
これは <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> を適用したマテリアルやその翻案物がインターネット上に置かれることを前提にしたものだからである<sup id="fnref:9"><a href="#fn:9" class="footnote-ref" role="doc-noteref">9</a></sup>。
しかしインターネットに乗らないマテリアル(紙の書籍, CD や DVD/BD でパッケージされた楽曲や映像など)は旧来の流通経路でコントロールする必要があるため <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> とは馴染まない側面があるのも確かだ。</p>
<p>「複製・配布は許可できないが二次創作は許可したい」という需要に対応するため,かつて <a href="https://creativecommons.org/" title="Creative Commons">Creative Commons</a> では翻案のみを許可する「サンプリング・ライセンス(sampling license)」の作成が試みられた。
ただ,この試みはうまくいかなかったようで,現在サンプリング・ライセンスは retire している。</p>
<p>少なくとも <a href="https://creativecommons.org/" title="Creative Commons">Creative Commons</a> では翻案のみを許可するライセンス・ツールは存在しない。
このような要件がある場合は独自にライセンスを構築するしかない。</p>
<h3>同人マーク・ライセンス</h3>
<p>「二次創作のみを許可したい」という要件に対して,日本での試みとして「<a href="http://commonsphere.jp/doujin-license-1/" title="同人マーク・ライセンス 1.0 | commonsphere">同人マーク・ライセンス</a>」がある。
これは日本の「同人市場」という特殊商慣行に特化したライセンスで,原著作物の複製・配布を禁止する代わりに,二次的著作物の作成とその複製・配布を許可している。
ただしいくつか条件があって</p>
<figure>
<blockquote>
<q>許諾者は、利用者に対し、本作品について、全世界において、本作品の著作権の存続期間中、本ライセンスの各条項に従い、利用者自身が、二次創作同人誌を作成し、同人誌即売会において配布すること(有償および無償の場合双方を含みます。また、インターネット配信やCD、DVD等のデジタルメディアでの配布などのデジタルデータによる配布は除きます。以下同じ)を非独占的に許諾します。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="http://commonsphere.jp/doujin-license-1/">同人マーク・ライセンス 1.0</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>とあるとおり,媒体は「二次創作同人誌」に限られ,配布経路も「同人誌即売会」に限られる。
たとえば,同人誌即売会に出品しない(本来的な意味での)二次創作同人誌は原著作物に「<a href="http://commonsphere.jp/doujin-license-1/" title="同人マーク・ライセンス 1.0 | commonsphere">同人マーク・ライセンス</a>」があろうと(著作(権)者から別途許諾がない限り) NG である。</p>
<p>最近(2013年)になって「<a href="http://commonsphere.jp/doujin-license-1/" title="同人マーク・ライセンス 1.0 | commonsphere">同人マーク・ライセンス</a>」が提唱された背景には「環太平洋パートナーシップ(Trans-Pacific Partnership; TPP)協定」の知財分野における「著作権の非親告罪化」が挙げられる。
もし「著作権の非親告罪化」が日本で成立すれば同人市場は壊滅状態になると予想されている<sup id="fnref:10"><a href="#fn:10" class="footnote-ref" role="doc-noteref">10</a></sup>。
いわばこれは作家たちによる自己防衛的ライセンスであると言える。</p>
<p>同人市場に限らず日本では事後承諾的に著作物を利用する慣習があり(たとえば<a href="#parody">パロディ</a>や勝手翻訳など),こういったものも軒並み「著作権の非親告罪化」に引っかかることになるだろう。
しかもこれに(同じく TPP で決まった)「法定賠償制度」も加われば巨額の賠償金を払わされる可能性がある。
これにより日本においても「<a href="https://www.eff.org/issues/copyright-trolls">著作権トロル</a>」が台頭することになる。
むしろこちらの方が深刻である。
これについて文化庁は</p>
<figure>
<blockquote>
<q>著作権等侵害罪の一部非親告罪化については、TPP協定において非親告罪化が義務づけられている範囲及びその趣旨を踏まえつつ、我が国の二次創作文化への影響に十分配慮し、適切に非親告罪の範囲を定めること</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20151111_730105.html">TPPで“違法ダウンロード”適用拡大も、文化庁の審議会で再び検討か -INTERNET Watch</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>などとしているが,翻案は「二次創作文化」だけではなく日常生活の広い範囲に関わる「活動」である。
「<a href="https://text.baldanders.info/cc-licenses/01-copyright/">著作権と著作権法</a>」でも書いたが,ユーザを無視した知財政策を続けていると本当に「ガラパゴス」になっちゃうよ。</p>
<h2 id="nd">「改変禁止」が意図するもの</h2>
<p><a href="https://creativecommons.org/" title="Creative Commons">Creative Commons</a> は名前の通り「創造性の共有地<sup id="fnref:11"><a href="#fn:11" class="footnote-ref" role="doc-noteref">11</a></sup>」を創り広げることを目的(のひとつ)としている。
ならば <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> に「改変禁止 <span><i class="fab fa-creative-commons-nd"></i></span>」条件を加えることは <a href="https://creativecommons.org/" title="Creative Commons">Creative Commons</a> の目的に反するのではないだろうか。</p>
<p>これに関しては以下の記事が参考になる。</p>
<ul>
<li><a href="https://web.archive.org/web/20170312154035/http://d.hatena.ne.jp/ced/20060720/1153344179">by-nc-nd - 雑記帳(Internet Archive より)</a></li>
</ul>
<p>この記事によると <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> の機能は以下のふたつに分類できる。</p>
<ol>
<li>making derives (creation:創造)</li>
<li>dissemination (access:アクセス)</li>
</ol>
<p>この分類で考えるなら「改変禁止 <span><i class="fab fa-creative-commons-nd"></i></span>」条件は主に dissemination (access) にフォーカスしたものであると解釈することができる。</p>
<figure>
<blockquote>
<q>ここからが思考のアクロバットを必要とする部分。インターネットは「技術的」にはコピーが自由。けれども、インターネットとは別の次元でこれまで発展してきた著作権法は、このような「コピー自由」な環境が存在することを想定していなかった。で、現時点でも「コピー自由」な環境に著作権法は対応していない。だから、「技術的」にはインターネット上で簡単にコピー出来てしまう素材も、現実世界の著作権法の元ではその利用は違反となってしまう。それを解決するのがCCのby-nc-ndで、手を加えないならコピー自由、という行為をライセンスというかたちで保証している。これにより、素材のインターネット上での頒布が可能となる。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="http://d.hatena.ne.jp/ced/20060720/1153344179">by-nc-nd - 雑記帳</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>確かに「改変禁止 <span><i class="fab fa-creative-commons-nd"></i></span>」条件を加えると <a href="https://creativecommons.org/" title="Creative Commons">Creative Commons</a> が本来欲しい making derives (creation) としての機能は弱くなる。
しかし「改変禁止 <span><i class="fab fa-creative-commons-nd"></i></span>」条件を加えることによって,少なくとも(“all rights reserved” な状態と比較すれば) dissemination (access) は担保できる。</p>
<p>これも大事な「共有」の形である。
逃す手はないだろう。</p>
<h2>参考になる(かもしれない) Web ページ</h2>
<ul>
<li><a href="http://onm-tm.jp/news/%EF%BD%91%EF%BC%97%EF%BC%8E%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%81%AE%E8%91%97%E4%BD%9C%E6%A8%A9%E6%B3%95%E4%B8%8A%E3%81%AE%E5%8F%96%E6%89%B1%E3%81%84%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84">キャラクターの著作権法上の取扱いについて | 大島・西村・宮永商標特許事務所</a></li>
<li><a href="http://otapol.jp/2014/09/post-1542.html">スクウェア・エニックスの著作権侵害の可能性はグレー!? 『ハイスコアガール』問題について福井健策弁護士に話をうかがってみた|おたぽる</a></li>
<li><span><a href="http://www.law.nihon-u.ac.jp/publication/pdf/chizai/4/04.pdf">米国著作権法におけるパロディとフェア・ユース/差止め請求 −パロディに関する裁判例と,小説の続編出版が問題とされた最近の事例から− <sup><i class="far fa-file-pdf"></i></sup></a></span></li>
<li><span><a href="http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seminar/contents_symposium/08/pdf/akamatsu.pdf">二次創作における「意思表示システム」の提唱 <sup><i class="far fa-file-pdf"></i></sup></a></span></li>
<li><a href="http://www.yamdas.org/column/technique/cctrans.html">クリエイティブ・コモンズ・ライセンスのブログ翻訳のススメ</a></li>
<li><a href="https://blog.creativecommons.org/2015/10/08/cc-by-sa-4-0-now-one-way-compatible-with-gplv3/">CC BY-SA 4.0 now one-way compatible with GPLv3 - Creative Commons Blog - Creative Commons</a> (<a href="http://creativecommons.jp/2016/01/25/cc-by-sa-%EF%BC%88%E8%A1%A8%E7%A4%BA-%E7%B6%99%E6%89%BF%EF%BC%89-4-0%E3%81%8B%E3%82%89gpl-v3%E3%81%B8%E3%81%AE%E4%B8%80%E6%96%B9%E5%90%91%E3%81%AE%E4%BA%92%E6%8F%9B%E3%81%8C%E5%AE%9F%E7%8F%BE/">日本語訳</a>)</li>
<li><a href="https://stateof.creativecommons.org/2015/">Creative Commons — State of the Commons 2015 — It’s been a remarkable year, most notably for the more than 1.1 billion works under one of the CC licenses, CC0, or the public domain mark.</a></li>
<li><a href="http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20151111_730105.html">TPPで“違法ダウンロード”適用拡大も、文化庁の審議会で再び検討か -INTERNET Watch</a></li>
<li><a href="https://creativecommons.org/campaigns/trans-pacific-partnership-would-harm-user-rights-and-the-commons/">Trans-Pacific Partnership Would Harm User Rights and the Commons - Creative Commons - Creative Commons</a></li>
<li><a href="https://text.baldanders.info/remark/2018/11/copyright-law-is-revised/">年末年始に施行される改正著作権法に関する覚え書き</a> : 2018年末施行の改正著作権法から特定の条件下で非親告罪が適用されることとなった</li>
<li><a href="https://news.yahoo.co.jp/byline/kuriharakiyoshi/20201008-00201963/">知財高裁でBL同人作品の無断コピーは著作権侵害という当たり前の判決(栗原潔) - 個人 - Yahoo!ニュース</a> : 後半の「キャラクタの二次的著作物」の権利関係は参考になる</li>
</ul>
<div class="footnotes" role="doc-endnotes">
<hr>
<ol>
<li id="fn:1">
<p><span><a href="http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/827/013827_hanrei.pdf">「アンコウ行灯事件」判決文 <sup><i class="far fa-file-pdf"></i></sup></a></span>より。 <a href="#fnref:1" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:2">
<p>他にも漫画のキャラクタなどを似せて描いた場合も,翻案ではなく,複製と見なされる場合がある。文脈とか,どの程度似てるかとかにもよるだろうけど。 <a href="#fnref:2" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:3">
<p><a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> は著作隣接権で保護されるものも含む形で許諾しているためこのような表現になる。詳しくは「<a href="http://creativecommons.jp/2015/07/15/cc%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B34-0-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E7%89%88%E3%81%AE%E5%85%AC%E9%96%8B/">CCライセンス・バージョン4.0 日本語版の公開 | クリエイティブ・コモンズ・ジャパン</a>」を参照のこと。 <a href="#fnref:3" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:4">
<p><a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> ではサブライセンスを禁止しているため,翻案物に対する許諾の一方を直に原著作者から得る,という形になっている。 <a href="#fnref:4" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:5">
<p>クレジット表示については<a href="https://text.baldanders.info/cc-licenses/02-creative-commons-licenses/#attribution">前に書いた記事</a>を参照のこと。 <a href="#fnref:5" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:6">
<p>「同等のライセンス」として同じ条件の <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> (他バージョンを含む)が挙げられる。また「<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/" title="Creative Commons — Attribution-ShareAlike 4.0 International — CC BY-SA 4.0">表示-継承</a>」については <a href="http://artlibre.org/licence/lal/en/">Free Art License</a> 1.3 や <a href="https://www.gnu.org/copyleft/gpl.html">GNU GPL</a>v3 も互換性のあるライセンスとして認められている。 <a href="#fnref:6" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:7">
<p>ただし厳密に <a href="http://www.gnu.org/licenses/copyleft.html" title="コピーレフトって何? - GNUプロジェクト - フリーソフトウェアファウンデーション">Copyleft</a> と言えるのは「<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/" title="Creative Commons — Attribution-ShareAlike 4.0 International — CC BY-SA 4.0">表示-継承</a>」条件のみである。 <a href="#fnref:7" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:8">
<p>パロディはいわゆる「パクり」(一般的には「剽窃」)とは異なる。「替え歌」や短歌の「本歌取り」もパロディの一種と考えられる。米国における parody と fair use の関係については「<span><a href="http://www.law.nihon-u.ac.jp/publication/pdf/chizai/4/04.pdf">米国著作権法におけるパロディとフェア・ユース/差止め請求 −パロディに関する裁判例と,小説の続編出版が問題とされた最近の事例から− <sup><i class="far fa-file-pdf"></i></sup></a></span>」が参考になる。 <a href="#fnref:8" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:9">
<p>そもそもインターネットはコピーの連鎖で成り立っているものだし,無理に制限しようとすればユーザ側の「使用」や「公正な利用」まで侵害しかねない。 <a href="#fnref:9" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:10">
<p>さる調査によると<a href="http://www.gamespark.jp/article/2016/01/19/63159.html">2015年の同人誌市場は757億円規模</a>だそうだ。そりゃあ狙われるよねぇ(笑) まぁ同人市場は同人誌だけじゃないし同人誌と言ってもいろいろあるので,二次創作が実際にどの程度かは分からないけど数十億から数百億の規模でもおかしくないだろう。 <a href="#fnref:10" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:11">
<p>翻訳は「<a href="http://www.ibm.com/developerworks/jp/xml/library/x-think18/">XML的思索:創造性の共有 機械可読ライセンスによるクリエイティブな作品の育成と流通</a>」のタイトルから拝借した。リンク切れててゴメン(<a href="https://web.archive.org/web/20091202161418/http://www.ibm.com/developerworks/jp/xml/library/x-think18/">Internet Archive</a>)。 <a href="#fnref:11" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
</ol>
</div>
人格権と CC Licenses
tag:text.Baldanders.info,2016-01-20:/cc-licenses/03-moral-rights/
2016-01-20T21:31:46+09:00
2023-06-19T12:34:26+00:00
前回紹介した「Creative Commons Licenses」の内容を踏まえた上で今回は「著作者人格権」と CC Licenses との関係について解説する。
Spiegel
https://baldanders.info/profile/
<p><a href="https://text.baldanders.info/cc-licenses/02-creative-commons-licenses/">前回紹介した「Creative Commons Licenses」</a>の内容を踏まえた上で今回は人格権と <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> との関係について解説する。</p>
<ol>
<li><a href="#about">「著作者人格権」とは</a></li>
<li><a href="#other">その他の「人格権」</a></li>
<li><a href="#ccl">CC Licenses では(可能なかぎり)人格権は行使されない</a></li>
</ol>
<h2 id="about">「著作者人格権」とは</h2>
<p>まずは「著作者人格権」から。</p>
<p>著作者人格権は<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第18条から第20条にかけて定められている。
すなわち以下の3つの権利の総称である。</p>
<ul>
<li>公表権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第18条)</li>
<li>氏名表示権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第19条)</li>
<li>同一性保持権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第20条)</li>
</ul>
<p>また「著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない」(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第59条)。
つまり著作者以外の人に譲渡できないし,著作者以外の人がこれを行使することもできない<sup id="fnref:1"><a href="#fn:1" class="footnote-ref" role="doc-noteref">1</a></sup>。
また著作者人格権は著作者の死後も機能するとされている<sup id="fnref:2"><a href="#fn:2" class="footnote-ref" role="doc-noteref">2</a></sup>。</p>
<p>このうちもっとも強力な権利が「同一性保持権」である。</p>
<figure>
<blockquote>
<q>著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048">著作権法</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>とあるように著作者は著作物の改変をいつでも禁止することができる<sup id="fnref:3"><a href="#fn:3" class="footnote-ref" role="doc-noteref">3</a></sup>。
このような強い権利は他の国にはない(同一性保持権自体は他の国でも見られるが限定的)。
このため日本の著作権ライセンスの中には,許諾者による「同一性保持権」の不行使を明示しているものもある。</p>
<h2 id="other">その他の「人格権」</h2>
<p>著作隣接権のひとつである「実演家の権利」には「実演家の人格権」というのがある。
具体的には</p>
<ul>
<li>氏名表示権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第90条)</li>
<li>同一性保持権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第90条)</li>
</ul>
<p>の2つである。
著作者人格権と同じく一身専属性を持ち譲渡できないし,実演家の死後も機能する(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第101条)。
ただし同一性保持権については</p>
<figure>
<blockquote>
<q>実演家は、その実演の同一性を保持する権利を有し、自己の名誉又は声望を害するその実演の変更、切除その他の改変を受けないものとする。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048">著作権法</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>とあるとおり「自己の名誉又は声望を害する」場合のみという制限がある。</p>
<p>著作権ではないが「パブリシティ権」や「プライバシー権」といったものも人格権の一種として挙げられるだろう<sup id="fnref:4"><a href="#fn:4" class="footnote-ref" role="doc-noteref">4</a></sup>。
著作権法上は問題なくとも,これらの人格権によって著作物が利用できない場合はある,ということは覚えておいたほうがいいと思う。</p>
<h2 id="ccl">CC Licenses では(可能なかぎり)人格権は行使されない</h2>
<p>さて,上述した人格権について <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> はどうしているかというと,許諾範囲を逸脱しない限り許諾者は人格権を行使しないことになっている。</p>
<figure>
<blockquote>
<q>同一性保持の権利のような著作者人格権は、本パブリック・ライセンスのもとではライセンスされません。パブリシティ権、プライバシー権、および/または他の類似した人格権も同様です。ただし、可能なかぎり、許諾者は、あなたがライセンスされた権利を行使するために必要とされる範囲内で、また、その範囲内でのみ、許諾者の保持する、いかなるそのような権利を放棄し、および/または主張しないことに同意します。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/legalcode.ja">クリエイティブ・コモンズ (Creative Commons) — 表示-継承 4.0 国際</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>人格権の一身専属性を考えればこのような表現になるということだろう。
ただし「可能なかぎり」という条件がついている。</p>
<p>この点について,以前のバージョンでは比較的明確に書かれていて,たとえば 2.1 日本版では</p>
<figure>
<blockquote>
<q>原著作者及び実演家の名誉又は声望を害する方法で原著作物を改作、変形もしくは翻案して生じる著作物は、この利用許諾の目的においては、二次的著作物に含まれない。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.1/jp/legalcode">クリエイティブ・コモンズ リーガル・コード — 表示-継承 2.1 日本版</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>とあり,原著作者の名誉・声望を害する改変は二次的著作物に含めない,としている。
また 3.0 Unported でも同様に</p>
<figure lang="en">
<blockquote>
<q>Except as otherwise agreed in writing by the Licensor or as may be otherwise permitted by applicable law, if You Reproduce, Distribute or Publicly Perform the Work either by itself or as part of any Adaptations or Collections, You must not distort, mutilate, modify or take other derogatory action in relation to the Work which would be prejudicial to the Original Author's honor or reputation.</q>
</blockquote>
<figcaption><div>via <q><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/legalcode">Creative Commons Legal Code — Attribution-ShareAlike 3.0 Unported</a></q></div></figcaption>
</figure>
<p>となっている<sup id="fnref:5"><a href="#fn:5" class="footnote-ref" role="doc-noteref">5</a></sup>。</p>
<p>この辺の文言が 4.0 International でなくなった理由はよく分からないが,“<a href="https://creativecommons.org/Version4/">What’s New in 4.0</a>” には</p>
<figure lang="en">
<blockquote>
<q>The 4.0 license suite uniformly and explicitly waives moral rights held by the licensor where possible to the limited extent necessary to enable reuse of the content in the manner intended by the license. Publicity, privacy, and personality rights held by the licensor are expressly waived to the same limited extent. While many understand these rights to be waived when held by the licensor in 3.0 and earlier versions, version 4.0’s treatment makes the intended outcome clear.</q>
</blockquote>
<figcaption><div>via <q><a href="https://creativecommons.org/Version4/">What's New in 4.0 - Creative Commons</a></q></div></figcaption>
</figure>
<p>との記述があり,あえて「名誉・声望を害する改変」部分の記述を削った可能性もある<sup id="fnref:6"><a href="#fn:6" class="footnote-ref" role="doc-noteref">6</a></sup>。</p>
<h3>キャラクタの権利</h3>
<p>キャラクタやキャラクタの名前の利用については著作権ではなく商標権(工業デザインの場合は意匠権)で保護されることが多い<sup id="fnref:7"><a href="#fn:7" class="footnote-ref" role="doc-noteref">7</a></sup>。
この場合, <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> は商標権や意匠権についてはライセンスしないので,個別に許可を得る必要がある。</p>
<p>実在の人物やその人物の延長上のキャラクタ(「デーモン小暮閣下」など)に対しては「パブリシティ権」が適用される。
パブリシティ権は肖像権の一種と考えられ「氏名・肖像から生じる経済的利益ないし価値を排他的に支配する権利<sup id="fnref:8"><a href="#fn:8" class="footnote-ref" role="doc-noteref">8</a></sup>」と定義されている<sup id="fnref:9"><a href="#fn:9" class="footnote-ref" role="doc-noteref">9</a></sup>。
<a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> では,これまで述べた通り,パブリシティ権についてもライセンスしないが「可能なかぎり」行使しない,となっている。</p>
<h2>参考になる(かもしれない) Web ページ</h2>
<ul>
<li><a href="http://creativecommons.jp/2006/11/15/ccplv3-discussion/">【CCPLv3.0】著作者人格権(同一性保持権)に関する議論 | クリエイティブ・コモンズ・ジャパン</a></li>
<li><a href="https://creativecommons.org/Version4/">What’s New in 4.0 - Creative Commons - Creative Commons</a> (<a href="http://qiita.com/nyampire/items/c03904bd27bd8812aad3">日本語参考訳</a>)</li>
<li><a href="http://internet.watch.impress.co.jp/docs/special/fukui/20160517_757708.html">【ネット著作権】 人名・グループ名を作品タイトルに使ってはいけない? ~水曜日のカンパネラ「ヒカシュー」騒動と疑似著作権~ - INTERNET Watch</a></li>
</ul>
<div class="footnotes" role="doc-endnotes">
<hr>
<ol>
<li id="fn:1">
<p>近年はあまり見なくなったが, Web サービスの中にはユーザのコンテンツの著作権をサービス・プロバイダに譲渡し著作者人格権の不行使を要求するものがある。著作者人格権は譲渡できないため,著作者人格権の不行使も無効になると思われる。ただし個別契約の中で著作者人格権の不行使を約束する場合はあり得る。ちなみに「職務著作(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第15条)」の場合は所属する法人が著作者となるため,個々人に著作者人格権は発生しない。 <a href="#fnref:1" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:2">
<p>「著作物を公衆に提供し、又は提示する者は、その著作物の著作者が存しなくなつた後においても、著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害となるべき行為をしてはならない」(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第60条)。 <a href="#fnref:2" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:3">
<p>ただしこれにはいくつか例外がある。学校教育の目的上やむを得ない場合,建築物の模様替えやリフォーム,プログラムの不具合修正や改善,などである。ちなみに「著作権の制限」(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第30-50条)は著作者人格権には及ばないのでご注意を。 <a href="#fnref:3" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:4">
<p>ただし日本には明示的な「プライバシー権」は存在しない。「個人情報保護法」は(人格権ではなく)個人にまつわる<strong>情報</strong>の取り扱いについて定めた法律である。 <a href="#fnref:4" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:5">
<p><a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> 3.0 では著作者人格権に関する議論が国際的にも行われたようだ。くわしくは「<a href="http://creativecommons.jp/2006/11/15/ccplv3-discussion/">著作者人格権(同一性保持権)に関する議論</a>」が参考になる。 <a href="#fnref:5" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:6">
<p>この辺は GPL などの他ライセンスとの互換性を考える上で重要なポイントでもある。 <a href="#fnref:6" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:7">
<p>基本的にキャラクタや名前には著作権はない。このため防衛のためにキャラクタやキャラクタの名前を商標登録することが多いらしい。ただし創作上の文脈としてキャラクタや名前が書(描)かれている場合は著作物の一部として認められる場合がある。 <a href="#fnref:7" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:8">
<p><span><a href="http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/A730EBEA9CA60D6249256C7F0023A16E.pdf">「ダービースタリオン事件」判決文 <sup><i class="far fa-file-pdf"></i></sup></a></span>より。 <a href="#fnref:8" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:9">
<p>ただし作品上の架空のキャラクタや無機物やペット等にはパブリシティ権は適用されない。 <a href="#fnref:9" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
</ol>
</div>
Creative Commons Licenses
tag:text.Baldanders.info,2015-11-08:/cc-licenses/02-creative-commons-licenses/
2015-11-08T20:10:15+09:00
2023-06-19T12:34:26+00:00
今回はいよいよ Creative Commons Licenses について解説する。
Spiegel
https://baldanders.info/profile/
<p><a href="https://text.baldanders.info/cc-licenses/01-copyright/" title="著作権と著作権法 — 改訂3版: CC Licenses について">前回</a>は著作権についてざくっと説明したので,今回はいよいよ Creative Commons Licenses (以降 “<a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a>” と略称する)について解説する。</p>
<ol>
<li><a href="#scope">CC Licenses の対象となるもの</a></li>
<li><a href="#conditions">CC Licenses が示す利用条件</a></li>
<li><a href="#grant">CC Licenses が許諾するもの</a></li>
<li><a href="#layer">CC Licenses の3つのレイヤ</a></li>
<li><a href="#versions">CC Licenses のバージョン</a></li>
<li><a href="#etc">その他 雑多なこと</a>
<ol>
<li><a href="#attribution">「クレジット表示」について</a></li>
<li><a href="#non-commercial">CC Licenses における「非営利」とは</a></li>
<li><a href="#compatible">CC Licenses と互換性のあるライセンス</a></li>
<li><a href="#royalty-free">CC Licenses における「無償」とは</a></li>
<li><a href="#non-sublicensable">CC Licenses における「再許諾不可」とは</a></li>
<li><a href="#non-exclusive">CC Licenses における「非排他的」とは</a></li>
<li><a href="#limit">責任の制限と消費者契約法</a></li>
<li><a href="#agent">未成年が許諾者の場合</a></li>
</ol>
</li>
</ol>
<h2 id="scope">CC Licenses の対象となるもの</h2>
<p><a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> は著作権およびその類似の権利で保護されるあらゆるものが対象になる。
たとえば<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a>で保護される以下の著作物も対象になる(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第10条から12条)。</p>
<ul>
<li>言語の著作物</li>
<li>音楽の著作物</li>
<li>舞踊又は無言劇の著作物</li>
<li>美術の著作物</li>
<li>建築の著作物</li>
<li>地図又は図形の著作物</li>
<li>映画の著作物</li>
<li>写真の著作物</li>
<li>プログラムの著作物<sup id="fnref:1"><a href="#fn:1" class="footnote-ref" role="doc-noteref">1</a></sup></li>
<li>二次的著作物</li>
<li>編集著作物</li>
<li>データベースの著作物</li>
</ul>
<p>また<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a>で定められた以下の「著作隣接権」で保護されるものもライセンスの対象にできる。</p>
<ul>
<li>実演家による実演<sup id="fnref:2"><a href="#fn:2" class="footnote-ref" role="doc-noteref">2</a></sup></li>
<li>レコード製作者により製作されたレコード<sup id="fnref:3"><a href="#fn:3" class="footnote-ref" role="doc-noteref">3</a></sup></li>
<li>放送事業者による放送<sup id="fnref:4"><a href="#fn:4" class="footnote-ref" role="doc-noteref">4</a></sup></li>
<li>有線放送事業者による有線放送<sup id="fnref:5"><a href="#fn:5" class="footnote-ref" role="doc-noteref">5</a></sup></li>
</ul>
<p>ただし <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> では他の知的財産権(特許権や商標権など)は対象外なため,これらの権利で保護されるものには効力が及ばない(または限定的)。</p>
<p><a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> ではこれらライセンスの対象になるものを「ライセンス対象物(licensed material)」あるいは「マテリアル(material)」と呼んでいる<sup id="fnref:6"><a href="#fn:6" class="footnote-ref" role="doc-noteref">6</a></sup>。
<a href="https://text.baldanders.info/cc-licenses" title="改訂3版: CC-License について — text.Baldanders.info">本シリーズ</a>でも「マテリアル」で統一することにする。</p>
<h2 id="conditions">CC Licenses が示す利用条件</h2>
<p>大雑把に言うと <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> は「ライセンス利用条件(license conditions)」と条件に対する「ライセンス付与(license grant)」で構成されている。
利用条件はライセンスの「許諾者(licensor)」が指定する。
当然ながら許諾者(達)はマテリアルに対して許諾可能な権利を持っていなければならない<sup id="fnref:7"><a href="#fn:7" class="footnote-ref" role="doc-noteref">7</a></sup>。</p>
<p><a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> が示す利用条件は以下の4つの条件の組み合わせである。</p>
<figure style='margin:0 auto;text-align:center;'>
<table>
<tbody>
<tr>
<th class='left fa-2x'><span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i></span></th>
<th class='left'>表示</th><td class='left'>マテリアルの<a href="#attribution">クレジットを表示</a>すること</td>
</tr>
<tr>
<th class='left fa-2x'><span><i class="fab fa-creative-commons-sa"></i></span></th>
<th class='left'>継承</th><td class='left'>改変したマテリアルについて,元のマテリアルのライセンスと<a href="#compatible">同等のライセンス</a>で公開すること</td>
</tr>
<tr>
<th class='left fa-2x'><span><i class="fab fa-creative-commons-nc"></i> <i class="fab fa-creative-commons-nc-jp"></i> <i class="fab fa-creative-commons-nc-eu"></i></span></th>
<th class='left'>非営利</th><td class='left'><a href="#non-commercial">営利目的での利用をしない</a>こと</td>
</tr>
<tr>
<th class='left fa-2x'><span><i class="fab fa-creative-commons-nd"></i></span></th>
<th class='left'>改変禁止</th><td class='left'>元のマテリアルを改変しないこと</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</figure>
<p>実際には「表示 <span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i></span>」は必須の条件<sup id="fnref:8"><a href="#fn:8" class="footnote-ref" role="doc-noteref">8</a></sup> になっていて,さらに「継承 <span><i class="fab fa-creative-commons-sa"></i></span>」と「改変禁止 <span><i class="fab fa-creative-commons-nd"></i></span>」は条件が衝突するため同時に指定できない。
結局以下に示す6つの組み合わせのみが有効になる。</p>
<figure style='margin:0 auto;text-align:center;'>
<table>
<tbody>
<tr>
<th class='left fa-2x'><span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i></span></th>
<td class='left'>表示</td>
</tr>
<tr>
<th class='left fa-2x'><span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i> <i class="fab fa-creative-commons-sa"></i></span></th>
<td class='left'>表示-継承</td>
</tr>
<tr>
<th class='left fa-2x'><span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i> <i class="fab fa-creative-commons-nc"></i></span></th>
<td class='left'>表示-非営利</td>
</tr>
<tr>
<th class='left fa-2x'><span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i> <i class="fab fa-creative-commons-nc"></i> <i class="fab fa-creative-commons-sa"></i></span></th>
<td class='left'>表示-非営利-継承</td>
</tr>
<tr>
<th class='left fa-2x'><span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i> <i class="fab fa-creative-commons-nd"></i></span></th>
<td class='left'>表示-改変禁止</td>
</tr>
<tr>
<th class='left fa-2x'><span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i> <i class="fab fa-creative-commons-nc"></i> <i class="fab fa-creative-commons-nd"></i></span></th>
<td class='left'>表示-非営利-改変禁止</td>
</tr>
</tbody>
</table>
</figure>
<h2 id="grant">CC Licenses が許諾するもの</h2>
<p>マテリアルを利用したいユーザは,ライセンスで指定された上述の条件の組み合わせを守る限り,以下の利用が許諾される。</p>
<ul>
<li><strong>対象となるマテリアルの全部または一部を複製および共有すること</strong>
<ul>
<li>マテリアルを複製する(複製)
<ul>
<li>著作隣接権に係るマテリアルの場合は録音・録画を含む</li>
</ul>
</li>
<li>マテリアルを公表・配布する(上演,演奏,上映,公衆送信等,口述,展示,頒布(映画の著作物のみ),譲渡・貸与(映画の著作物以外))
<ul>
<li>著作隣接権に係るマテリアルの場合は(有線放送を含む)放送と再放送,伝達,送信可能化を含む</li>
</ul>
</li>
</ul>
</li>
<li><strong>対象となるマテリアルの二次的著作物<sup id="fnref:9"><a href="#fn:9" class="footnote-ref" role="doc-noteref">9</a></sup> を作成,複製および共有すること</strong> (「改変禁止 <span><i class="fab fa-creative-commons-nd"></i></span>」条件がない場合)
<ul>
<li>マテリアルを改変(翻訳・編曲・変形・翻案等)する</li>
<li>マテリアルを改変したものを公表・配布する(二次的著作物の利用に関する原著作者の権利の不行使)</li>
</ul>
</li>
</ul>
<p>なお <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> は<a href="https://text.baldanders.info/cc-licenses/01-copyright/#fair-use">「公正な利用(fair use)」や「著作権の制限」</a>として利用が認められているものに対しては効力が及ばない。
<a href="https://text.baldanders.info/cc-licenses/01-copyright/#fair-use">「公正な利用」や「著作権の制限」</a>で認められる利用については条件に関係なく可能である。</p>
<p>許諾は全世界で適用される。
また,<a href="#royalty-free">無償(royalty-free)</a>かつ<a href="#non-sublicensable">再許諾不可(non-sublicensable)</a>かつ<a href="#non-exclusive">非排他的(non-exclusive)</a>に許諾される。</p>
<p>許諾者はマテリアルに付与したライセンスを取り消しできない。
したがって,少なくともライセンスの条件を守っていればマテリアルの利用を後から取り消されることはない<sup id="fnref:10"><a href="#fn:10" class="footnote-ref" role="doc-noteref">10</a></sup>。
またライセンスの効力は,著作権が存続する限り持続する(著作権の存続期間が過ぎればマテリアルは公有(public domain)に帰す)。</p>
<h2 id="layer">CC Licenses の3つのレイヤ</h2>
<p><a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> は以下の3つのレイヤで構成されている。</p>
<ul>
<li><strong>コモンズ証(commons deed)</strong> <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> の利用条件と許諾について Human-Readable な形で簡潔に記述したもの。</li>
<li><strong>法的条項(legal code)</strong> <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> の内容を Lawyer-Readable な形で記述した「利用許諾書」。 法的条項によって <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> が法的拘束力を持つことを担保する。</li>
<li><strong>メタデータ(metadata)</strong> マテリアルに関する情報を Machine-Readable な形で記述したもの。記述形式としては XML, RDFa, XMP などがあるが, Web 上では RDFa がよく用いられる。メタデータは Google などの検索サービスで解釈され,ネット上の数多のマテリアルを利用条件によって検索可能とする。</li>
</ul>
<p>マテリアルに対して <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> を指示する場合は,通常はコモンズ証へのリンクを示せばよい(コモンズ証のページから法的条項へリンクが張られている)。
各レイヤのリンクを以下に示す。</p>
<figure style='margin:0 auto;text-align:center;'>
<table>
<tbody>
<tr>
<th class='left fa-2x'><span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i></span></th>
<th class='left'>表示</th>
<td>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/">コモンズ証</a>
(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/deed.ja">日本語</a>)<br>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/legalcode">法的条項</a>
(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/legalcode.ja">日本語</a>)<br>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/rdf">メタデータ</a>
</td>
</tr>
<tr>
<th class='left fa-2x'><span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i> <i class="fab fa-creative-commons-sa"></i></span></th>
<th class='left'>表示-継承</th>
<td>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/">コモンズ証</a>
(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/deed.ja">日本語</a>)<br>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/legalcode">法的条項</a>
(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/legalcode.ja">日本語</a>)<br>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/rdf">メタデータ</a>
</td>
</tr>
<tr>
<th class='left fa-2x'><span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i> <i class="fab fa-creative-commons-nc"></i></span></th>
<th class='left'>表示-非営利</th>
<td>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/">コモンズ証</a>
(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/deed.ja">日本語</a>)<br>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/legalcode">法的条項</a>
(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/legalcode.ja">日本語</a>)<br>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/rdf">メタデータ</a>
</td>
</tr>
<tr>
<th class='left fa-2x'><span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i> <i class="fab fa-creative-commons-nc"></i> <i class="fab fa-creative-commons-sa"></i></span></th>
<th class='left'>表示-非営利-継承</th>
<td>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/">コモンズ証</a>
(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja">日本語</a>)<br>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/legalcode">法的条項</a>
(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/legalcode.ja">日本語</a>)<br>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/rdf">メタデータ</a>
</td>
</tr>
<tr>
<th class='left fa-2x'><span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i> <i class="fab fa-creative-commons-nd"></i></span></th>
<th class='left'>表示-改変禁止</th>
<td>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nd/4.0/">コモンズ証</a>
(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nd/4.0/deed.ja">日本語</a>)<br>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nd/4.0/legalcode">法的条項</a>
(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nd/4.0/legalcode.ja">日本語</a>)<br>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nd/4.0/rdf">メタデータ</a>
</td>
</tr>
<tr>
<th class='left fa-2x'><span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i> <i class="fab fa-creative-commons-nc"></i> <i class="fab fa-creative-commons-nd"></i></span></th>
<th class='left'>表示-非営利-改変禁止</th>
<td>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/">コモンズ証</a>
(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja">日本語</a>)<br>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/legalcode">法的条項</a>
(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/legalcode.ja">日本語</a>)<br>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/rdf">メタデータ</a>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
<figcaption><div>Creative Commons Licenses Version 4.0 International</div></figcaption>
</figure>
<p>RDFa を使って Web ページにメタデータを埋め込む方法については拙文「<a href="https://baldanders.info/spiegel/rdfa/">RDFa 入門</a>」が参考になるだろう。
ページ全体にライセンスを指示したいなら <code>head</code> 要素に</p>
<div class="highlight"><pre tabindex="0" class="chroma"><code class="language-html" data-lang="html"><span class="line"><span class="cl"><span class="p"><</span><span class="nt">link</span> <span class="na">rel</span><span class="o">=</span><span class="s">'cc:license'</span> <span class="na">href</span><span class="o">=</span><span class="s">'https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/'</span><span class="p">></span>
</span></span></code></pre></div><p>と記述するだけでもよい(HTML5 の場合)。</p>
<p>法的条項についてはテキストファイルでも提供されている。</p>
<figure style='margin:0 auto;text-align:center;'>
<table>
<tbody>
<tr>
<th class='left fa-2x'><span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i></span></th>
<th class='left'>表示</th>
<td><a href="https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/legalcode.txt">法的条項(テキスト版)</a></td>
</tr>
<tr>
<th class='left fa-2x'><span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i> <i class="fab fa-creative-commons-sa"></i></span></th>
<th class='left'>表示-継承</th>
<td><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/legalcode.txt">法的条項(テキスト版)</a></td>
</tr>
<tr>
<th class='left fa-2x'><span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i> <i class="fab fa-creative-commons-nc"></i></span></th>
<th class='left'>表示-非営利</th>
<td><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/legalcode.txt">法的条項(テキスト版)</a></td>
</tr>
<tr>
<th class='left fa-2x'><span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i> <i class="fab fa-creative-commons-nc"></i> <i class="fab fa-creative-commons-sa"></i></span></th>
<th class='left'>表示-非営利-継承</th>
<td><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/legalcode.txt">法的条項(テキスト版)</a></td>
</tr>
<tr>
<th class='left fa-2x'><span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i> <i class="fab fa-creative-commons-nd"></i></span></th>
<th class='left'>表示-改変禁止</th>
<td><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nd/4.0/legalcode.txt">法的条項(テキスト版)</a></td>
</tr>
<tr>
<th class='left fa-2x'><span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i> <i class="fab fa-creative-commons-nc"></i> <i class="fab fa-creative-commons-nd"></i></span></th>
<th class='left'>表示-非営利-改変禁止</th>
<td><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/legalcode.txt">法的条項(テキスト版)</a></td>
</tr>
</tbody>
</table>
<figcaption><div>Creative Commons Licenses Version 4.0 International</div></figcaption>
</figure>
<h2 id="versions">CC Licenses のバージョン</h2>
<p>現在, <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> として日本で有効なバージョンは以下のとおり。</p>
<ul>
<li>バージョン 1.0 Generic</li>
<li>バージョン 2.0 Generic</li>
<li>バージョン 2.1 日本版</li>
<li>バージョン 2.5 Generic</li>
<li>バージョン 3.0 Unported</li>
<li>バージョン 4.0 International</li>
</ul>
<p>このうち,厳密に日本法を準拠法として明記し,かつ法的に日本に最適化されているバージョンは「バージョン 2.1 日本版」のみである。</p>
<figure style='margin:0 auto;text-align:center;'>
<table>
<tbody>
<tr>
<th class='left fa-2x'><span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i></span></th>
<th class='left'>表示</th>
<td>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by/2.1/jp/">コモンズ証</a><br>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by/2.1/jp/legalcode">法的条項</a><br>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by/2.1/jp/rdf">メタデータ</a>
</td>
</tr>
<tr>
<th class='left fa-2x'><span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i> <i class="fab fa-creative-commons-sa"></i></span></th>
<th class='left'>表示-継承</th>
<td>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.1/jp/">コモンズ証</a><br>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.1/jp/legalcode">法的条項</a><br>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.1/jp/rdf">メタデータ</a>
</td>
</tr>
<tr>
<th class='left fa-2x'><span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i> <i class="fab fa-creative-commons-nc-jp"></i></span></th>
<th class='left'>表示-非営利</th>
<td>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc/2.1/jp/">コモンズ証</a><br>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc/2.1/jp/legalcode">法的条項</a><br>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc/2.1/jp/rdf">メタデータ</a>
</td>
</tr>
<tr>
<th class='left fa-2x'><span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i> <i class="fab fa-creative-commons-nc-jp"></i> <i class="fab fa-creative-commons-sa"></i></span></th>
<th class='left'>表示-非営利-継承</th>
<td>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/2.1/jp/">コモンズ証</a><br>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/2.1/jp/legalcode">法的条項</a><br>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/2.1/jp/rdf">メタデータ</a>
</td>
</tr>
<tr>
<th class='left fa-2x'><span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i> <i class="fab fa-creative-commons-nd"></i></span></th>
<th class='left'>表示-改変禁止</th>
<td>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nd/2.1/jp/">コモンズ証</a><br>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nd/2.1/jp/legalcode">法的条項</a><br>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nd/2.1/jp/rdf">メタデータ</a>
</td>
</tr>
<tr>
<th class='left fa-2x'><span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i> <i class="fab fa-creative-commons-nc-jp"></i> <i class="fab fa-creative-commons-nd"></i></span></th>
<th class='left'>表示-非営利-改変禁止</th>
<td>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.1/jp/">コモンズ証</a><br>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.1/jp/legalcode">法的条項</a><br>
<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.1/jp/rdf">メタデータ</a>
</td>
</tr>
</tbody>
</table>
<figcaption><div>クリエイティブ・コモンズ・ライセンス バージョン 2.1 日本版</div></figcaption>
</figure>
<p>ただし,日本版以外のバージョンも日本発の作品であれば日本法を準拠法として解釈されるため通常は問題ない<sup id="fnref:11"><a href="#fn:11" class="footnote-ref" role="doc-noteref">11</a></sup>。</p>
<p>既に Generic / Unported の各バージョンを適用しているマテリアルについては,可能であれば 4.0 International 以降にアップデートすることを検討してみるべきだろう。
4.0 International では,コモンズ証や法的条項で公式な日本語訳が使えるほか,他の「自由なライセンス」との互換性が図られている。</p>
<h2 id="etc">その他 雑多なこと</h2>
<h3 id="attribution">「クレジット表示」について</h3>
<p><a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> 下で対象となるマテリアル(二次的著作物を含む)の全部または一部を複製および共有する際にはマテリアルの著作(権)者のクレジットを表示する必要がある。
クレジット表示としては以下のものがある(全部ではないが元のマテリアルで表示されていればそれら全てが対象)。</p>
<ul>
<li>著作(権)者名<sup id="fnref:12"><a href="#fn:12" class="footnote-ref" role="doc-noteref">12</a></sup></li>
<li>著作権表示</li>
<li>ライセンス表示</li>
<li>「無保証」を参照する表示</li>
<li>マテリアルを示す URI (またはハイパーリンク)</li>
</ul>
<p>ただし,この条件は</p>
<figure>
<blockquote>
<q>あなたがライセンス対象物を共有する媒体・方法・文脈に照らして、いかなる合理的な方法でも満たすことができます。
例えば、必要とされる情報を含むリソースのURIやハイパーリンクを付すことで条件を満たすことが合理的な場合があります。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/legalcode.ja">クリエイティブ・コモンズ (Creative Commons) — 表示-継承 4.0 国際</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>とあり,杓子定規に全部表示しなきゃいけないというわけではない。
要は複製物や改変物を利用する人に元の著作(権)者とライセンスが分かるようになっていればよい。</p>
<p>また,このクレジット表示は元の著作(権)者からの要請があれば削除しなければいけない。
これはちょっと変わっているように見えるが, <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> では「表示 <span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i></span>」条件が必須になっているため,わりと重要な条項である<sup id="fnref:13"><a href="#fn:13" class="footnote-ref" role="doc-noteref">13</a></sup>。</p>
<p>一方,マテリアルを <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> で公開する際には,少なくとも「著作(権)者名」「ライセンス」「公表年」を表示し URI で指示できるようにするとよい<sup id="fnref:14"><a href="#fn:14" class="footnote-ref" role="doc-noteref">14</a></sup>。</p>
<h3 id="non-commercial">CC Licenses における「非営利」とは</h3>
<p>巷にあるライセンスでは「営利」あるいは「商用」などのキーワードが付くことがあるが,どこまでが「営利」で「商用」なのか分かりにくいことが多い。
<a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> では「非営利 <span><i class="fab fa-creative-commons-nc"></i></span>」について</p>
<figure>
<blockquote>
<q>商業的な利得や金銭的報酬を、主たる目的とせず、それらに主に向けられてもいないことを意味します。本パブリック・ライセンスにおいては、デジタル・ファイル共有または類似した手段による、ライセンス対象物と、著作権およびそれに類する権利の対象となるその他のマテリアルとの交換は、その交換に関連して金銭的報酬の支払いがない場合は、非営利に該当します。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc/4.0/legalcode.ja">クリエイティブ・コモンズ (Creative Commons) — 表示-非営利 4.0 国際</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>と定義し「商業的な利得や金銭的報酬」が主目的でなければ「非営利 <span><i class="fab fa-creative-commons-nc"></i></span>」条件を満たすとしている<sup id="fnref:15"><a href="#fn:15" class="footnote-ref" role="doc-noteref">15</a></sup>。
後半の文言は分かりにくいが,これはファイル交換などオンラインでの取引を念頭に置いたもので,この場合でも金銭的報酬がなければ「非営利 <span><i class="fab fa-creative-commons-nc"></i></span>」条件を満たすとみなしている。</p>
<p>ここで微妙なのは,アフィリエイト広告のある Web ページに「非営利 <span><i class="fab fa-creative-commons-nc"></i></span>」条件のあるマテリアルを利用することができるかということだが, <a href="https://creativecommons.org/" title="Creative Commons">Creative Commons</a> 創設者のひとりである <a href="http://lessig.tumblr.com/">Lawrence Lessig</a> 教授の2008年当時の発言<sup id="fnref:16"><a href="#fn:16" class="footnote-ref" role="doc-noteref">16</a></sup> によると</p>
<figure lang="en">
<blockquote>
<q>I’ve asked the Wikipedia mailing list a while ago, and recently received another confirmation from Creative Commons’ Lawrence Lessig: <strong>yes, the CC organization believes this being OK is the best reading of the license.</strong></q>
</blockquote>
<figcaption><div>via <q><a href="http://blogoscoped.com/archive/2008-02-07-n77.html">Creative Commons “Non-Commercial” Content on Ad-Supported Sites</a></q></div></figcaption>
</figure>
<p>ということで,ひとまず問題ないようだ<sup id="fnref:17"><a href="#fn:17" class="footnote-ref" role="doc-noteref">17</a></sup>。</p>
<h3 id="compatible">CC Licenses と互換性のあるライセンス</h3>
<p>「継承 <span><i class="fab fa-creative-commons-sa"></i></span>」条件について「元のマテリアルのライセンスと同等のライセンスで公開すること」と書いたが,「同等のライセンス」とはどこまでを指すのか。
具体的には以下のページで示される。</p>
<ul>
<li><a href="https://creativecommons.org/compatiblelicenses">Compatible Licenses - Creative Commons</a></li>
</ul>
<p>基本的には <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> の同じ条件であれば他のバージョンであっても「同等のライセンス」とみなされる。
さらに「<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/">表示-継承 <span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i> <i class="fab fa-creative-commons-sa"></i></span></a>」については以下のライセンスも「同等のライセンス」と見なすことができる。</p>
<ul>
<li><a href="http://artlibre.org/licence/lal/en/">Free Art License</a> 1.3</li>
<li><a href="https://www.gnu.org/copyleft/gpl.html">GNU GPL (General Public License)</a> version 3<sup id="fnref:18"><a href="#fn:18" class="footnote-ref" role="doc-noteref">18</a></sup></li>
</ul>
<h3 id="royalty-free">CC Licenses における「無償」とは</h3>
<p><a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> は許諾に際して「無償(royalty-free)」であることを保証する。
ただしこれは,利用に対する許諾が無償で行われるという意味で,普通にマテリアルを売り買いすることに関しては「非営利 <span><i class="fab fa-creative-commons-nc"></i></span>」条件がなければ問題ない。</p>
<p>これには JASRAC のような著作権管理団体からの royalty 徴収も含むが「可能な限り」の但し書きがつく。</p>
<figure>
<blockquote>
<q>可能なかぎり、許諾者は、ライセンスされた権利の行使について、直接か、または任意のもしくは放棄可能な法定のもしくは強制的なライセンスに関する仕組みに基づく集中管理団体を介するかを問わず、あなたからライセンス料を得るいかなる権利も放棄します。その他一切の場合において、許諾者はそのようなライセンス料を得るいかなる権利も明確に保持します。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/legalcode.ja">クリエイティブ・コモンズ (Creative Commons) — 表示-継承 4.0 国際</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>この点については別の記事で解説する。</p>
<h3 id="non-sublicensable">CC Licenses における「再許諾不可」とは</h3>
<p><a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> ではマテリアルの再配布<sup id="fnref:19"><a href="#fn:19" class="footnote-ref" role="doc-noteref">19</a></sup> を行う際にライセンスの再許諾(sublicense)を許可していない。
再配布されたマテリアルにも自動的に元のライセンスが付与される。</p>
<figure style='margin:0 auto;text-align:center;'><div class="lightmode"><a href="./non-sublicense.svg"><img src="./non-sublicense.svg" srcset="./non-sublicense.svg 567w" sizes="(min-width:600px) 500px, 80vw" alt="再配布と許諾の関係" loading="lazy"></a></div><figcaption><div><a href="./non-sublicense.svg">再配布と許諾の関係</a></div></figcaption>
</figure>
<p>これは,たとえばマテリアルを著作(権)者ではない出版者(社)などが配布する際に勝手にライセンスを変えたり <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> にない制限を加えたりしてはいけないという意味である。
これにはいわゆる「技術的保護手段」も含まれる<sup id="fnref:20"><a href="#fn:20" class="footnote-ref" role="doc-noteref">20</a></sup>。</p>
<figure>
<blockquote>
<q>あなたは、ライセンス対象物の受領者がライセンスされた権利を行使するのを制限されることになる場合には、ライセンス対象物に対して、いかなる追加条項または異なる条項も提案または課してはならず、あるいは、いかなる効果的な技術的保護手段も適用してはなりません。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/legalcode.ja">クリエイティブ・コモンズ (Creative Commons) — 表示-継承 4.0 国際</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<h3 id="non-exclusive">CC Licenses における「非排他的」とは</h3>
<p><a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> では許諾は「非排他的(non-exclusive)」に行われる。
これは,あるマテリアルについて <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> を含む複数のライセンスを付与することが可能であることを指す。
たとえば「非営利 <span><i class="fab fa-creative-commons-nc"></i></span>」条件が付くマテリアルを営利目的で利用したい場合に,著作(権)者と別途契約して,報酬を払う代わりに営利目的での利用を許諾してもらう,といったことも(交渉次第では)可能である。</p>
<p>ただし,通常は排他的あるいは独占的ライセンスと <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> のようなライセンスは両立しないため,複数ライセンスの付与には注意が必要である。</p>
<p>余談だが, <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> の許諾者はライセンス利用条件に縛られない。
たとえば「非営利 <span><i class="fab fa-creative-commons-nc"></i></span>」条件を付与したマテリアルを許諾者自身が有料で取り引きする,といったことは自由にできる。</p>
<h3 id="limit">責任の制限と消費者契約法</h3>
<p><a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> には「責任制限」の項目があり対象のマテリアルに対していかなる表明も保証も行わないことになっている。</p>
<figure>
<blockquote>
<q>許諾者が別途合意しない限り、許諾者は可能な範囲において、ライセンス対象物を現状有姿のまま、現在可能な限りで提供し、明示、黙示、法令上、その他に関わらずライセンス対象物について一切の表明または保証をしません。
これには、権利の帰属、商品性、特定の利用目的への適合性、権利侵害の不存在、隠れた瑕疵その他の瑕疵の不存在、正確性または誤りの存在もしくは不存在を含みますが、これに限られず、既知であるか否か、発見可能であるか否かを問いません。
全部または一部の無保証が認められない場合、この無保証はあなたには適用されないこともあります。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/legalcode.ja">クリエイティブ・コモンズ (Creative Commons) — 表示-継承 4.0 国際</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<figure>
<blockquote>
<q>可能な範囲において、本パブリック・ライセンスもしくはライセンス対象物の利用によって起きうる直接、特別、間接、偶発、結果的、懲罰的その他の損失、コスト、出費または損害について、例え損失、コスト、出費、損害の可能性について許諾者が知らされていたとしても、許諾者は、あなたに対し、いかなる法理(過失を含みますがこれに限られません)その他に基づいても責任を負いません。
全部または一部の責任制限が認められない場合、この制限はあなたには適用されないこともあります。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/legalcode.ja">クリエイティブ・コモンズ (Creative Commons) — 表示-継承 4.0 国際</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>ただし「全部または一部の無保証(責任制限)が認められない場合、この無保証(制限)はあなたには適用されないこともあります」という部分がポイントで,たとえば日本の<a href="http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO061.html">消費者契約法</a>では</p>
<figure>
<blockquote>
<q>事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とする</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO061.html">消費者契約法</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>とあり(第1条),許諾者が事業者で<sup id="fnref:21"><a href="#fn:21" class="footnote-ref" role="doc-noteref">21</a></sup> かつ免責が無効であると判断された場合は許諾者は従う必要がある。</p>
<h3 id="agent">未成年が許諾者の場合</h3>
<p>日本の民法では未成年者(満20歳未満)が許諾を行う場合には法定代理人(親権者など)の同意を得る必要があり,法定代理人の同意がない場合には許諾が取り消されることがある。</p>
<p>許諾者が明らかに未成年であれば,法定代理人の同意の有無を確認したほうが安全である。
一方,未成年の許諾者は法定代理人の存在およびその同意があることを何らかの形で明示したほうがトラブルが少なくて済む。</p>
<h2>参考文献</h2>
<h3>参考になる(かもしれない) Web ページ</h3>
<ul>
<li><a href="http://machina.private.coocan.jp/">バーチャルネット法律娘 真紀奈17歳</a> : 古いコンテンツだが,このなかの「著作権法講座」は参考になる</li>
<li><a href="http://www.cric.or.jp/qa/index.html">著作権Q&A | 公益社団法人著作権情報センター CRIC</a></li>
<li><a href="http://www.yamdas.org/column/technique/cctrans.html">クリエイティブ・コモンズ・ライセンスのブログ翻訳のススメ</a></li>
<li><a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> Version 3 検討時の議論
<ul>
<li><a href="http://creativecommons.jp/2006/11/15/ccplv3-discussion/">【CCPLv3.0】著作者人格権(同一性保持権)に関する議論 | クリエイティブ・コモンズ・ジャパン</a></li>
<li><a href="http://creativecommons.jp/2006/11/15/discussion-drm/">【CCPLv3.0】DRM条項の改正に関する議論 | クリエイティブ・コモンズ・ジャパン</a></li>
<li><a href="http://creativecommons.jp/2006/11/16/ccplv3/">【CCPLv3.0】著作権管理団体を通じての報酬請求権に関する議論 | クリエイティブ・コモンズ・ジャパン</a></li>
</ul>
</li>
<li><a href="http://blogoscoped.com/archive/2008-02-07-n77.html">Creative Commons “Non-Commercial” Content on Ad-Supported Sites</a></li>
<li><a href="https://creativecommons.org/Version4/">What’s New in 4.0 - Creative Commons</a> (<a href="http://qiita.com/nyampire/items/c03904bd27bd8812aad3">日本語参考訳</a>)</li>
<li><a href="http://creativecommons.jp/2015/07/15/cc%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B34-0-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E7%89%88%E3%81%AE%E5%85%AC%E9%96%8B/">CCライセンス・バージョン4.0 日本語版の公開 | クリエイティブ・コモンズ・ジャパン</a></li>
<li><a href="https://blog.creativecommons.org/2015/10/08/cc-by-sa-4-0-now-one-way-compatible-with-gplv3/">CC BY-SA 4.0 now one-way compatible with GPLv3 - Creative Commons Blog - Creative Commons</a> (<a href="http://creativecommons.jp/2016/01/25/cc-by-sa-%EF%BC%88%E8%A1%A8%E7%A4%BA-%E7%B6%99%E6%89%BF%EF%BC%89-4-0%E3%81%8B%E3%82%89gpl-v3%E3%81%B8%E3%81%AE%E4%B8%80%E6%96%B9%E5%90%91%E3%81%AE%E4%BA%92%E6%8F%9B%E3%81%8C%E5%AE%9F%E7%8F%BE/">日本語訳</a>)</li>
<li><a href="https://creativecommons.org/2016/04/19/attribute-3d-printed-objects/">How should we attribute 3D printed objects? - Creative Commons</a>
<ul>
<li><a href="https://creativecommons.jp/2016/07/26/3d%e3%83%97%e3%83%aa%e3%83%b3%e3%83%88%e3%81%a7%e3%81%a7%e3%81%8d%e3%81%9f%e7%89%a9%e3%81%ab%e3%81%af%e3%81%a9%e3%81%ae%e3%82%88%e3%81%86%e3%81%aa%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%82%bb%e3%83%b3%e3%82%b9%e8%a1%a8/">3Dプリントでできた物にはどのようなライセンス表示をすべきか? | クリエイティブ・コモンズ・ジャパン</a></li>
</ul>
</li>
<li><a href="https://masudalaw.wordpress.com/2016/05/06/ccl-basics/">【解説】 クリエイティブ・コモンズ・ライセンス入門 【知財管理65巻6号掲載】 | 弁護士 増田雅史の記録帳</a></li>
<li><a href="http://www.slideshare.net/JEPAslide/ss-68121343">クリエイティブ・コモンズと著作権の新しい潮流</a></li>
<li><a href="https://qiita.com/spiegel-im-spiegel/items/0997f1693a24e3fd3a74">GitHub リポジトリに CC Licenses を設定したい - Qiita</a></li>
</ul>
<h3>参考図書</h3>
<div class="hreview">
<div class="photo"><a href="https://www.amazon.co.jp/dp/475710152X?tag=baldandersinf-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/41WPNBY7HZL._SL160_.jpg" width="110" alt="photo"></a></div>
<dl>
<dt class="item"><a class="fn url" href="https://www.amazon.co.jp/dp/475710152X?tag=baldandersinf-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1">クリエイティブ・コモンズ―デジタル時代の知的財産権</a></dt>
<dd>レッシグ,ローレンス (著), 敬士, 椙山 (著), 圭介, 上村 (著), 紘一郎, 林 (著), 絵美, 若槻 (著), 大洋, 土屋 (著), クリエイティブコモンズジャパン (編集), Lessig,Lawrence (原著)</dd>
<dd>NTT出版 2005-03-01</dd>
<dd>単行本</dd>
<dd>475710152X (ASIN), 9784757101524 (EAN), 475710152X (ISBN)</dd>
<dd>評価<abbr class="rating fa-sm" title="4"> <i class="fas fa-star"></i> <i class="fas fa-star"></i> <i class="fas fa-star"></i> <i class="fas fa-star"></i> <i class="far fa-star"></i></abbr></dd>
</dl>
<p class="description">残念ながら紙の本は実質的に絶版なんですよねぇ。是非デジタル化を希望します。</p>
<p class="powered-by">reviewed by <a href='#maker' class='reviewer'>Spiegel</a> on <abbr class="dtreviewed" title="2014-08-02">2014-08-02</abbr> (powered by <a href="https://affiliate.amazon.co.jp/assoc_credentials/home">PA-APIv5</a>)</p>
</div> <!-- クリエイティブ・コモンズ―デジタル時代の知的財産権 -->
<div class="hreview">
<div class="photo"><a href="https://www.amazon.co.jp/dp/B00DI8TMPU?tag=baldandersinf-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/51zmlOAOaFL._SL160_.jpg" width="106" alt="photo"></a></div>
<dl>
<dt class="item"><a class="fn url" href="https://www.amazon.co.jp/dp/B00DI8TMPU?tag=baldandersinf-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1">オープン化する創造の時代 著作権を拡張するクリエイティブ・コモンズの方法論 (カドカワ・ミニッツブック)</a></dt>
<dd>ドミニク・チェン (著)</dd>
<dd>ブックウォーカー 2013-06-25 (Release 2013-06-27)</dd>
<dd>Kindle版</dd>
<dd>B00DI8TMPU (ASIN)</dd>
<dd>評価<abbr class="rating fa-sm" title="5"> <i class="fas fa-star"></i> <i class="fas fa-star"></i> <i class="fas fa-star"></i> <i class="fas fa-star"></i> <i class="fas fa-star"></i></abbr></dd>
</dl>
<p class="description"><a href='https://baldanders.info/blog/000643/'>手軽に読める</a>。お薦め。</p>
<p class="powered-by">reviewed by <a href='#maker' class='reviewer'>Spiegel</a> on <abbr class="dtreviewed" title="2014-09-13">2014-09-13</abbr> (powered by <a href="https://affiliate.amazon.co.jp/assoc_credentials/home">PA-APIv5</a>)</p>
</div> <!-- オープン化する創造の時代 -->
<div class="footnotes" role="doc-endnotes">
<hr>
<ol>
<li id="fn:1">
<p>「プログラムの著作物」については <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> は向いてないかもしれない。「プログラムの著作物」については GNU GPL など FLOSS(Free/Libre and Open Source Software)用の「自由なライセンス」がおすすめである(参考: <a href="https://coliss.com/articles/build-websites/operation/work/choose-a-license-by-github.html">たくさんあるオープンソースライセンスのそれぞれの特徴のまとめ | コリス</a>)。 <a href="#fnref:1" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:2">
<p><a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a>では実演を「演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること」,実演家を「俳優、舞踊家、演奏家、歌手その他実演を行う者及び実演を指揮し、又は演出する者」と定義している(第2条)。 <a href="#fnref:2" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:3">
<p><a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a>ではレコードを「蓄音機用音盤、録音テープその他の物に音を固定したもの(音を専ら影像とともに再生することを目的とするものを除く)」,レコード製作者を「レコードに固定されている音を最初に固定した者」と定義している(第2条)。 DVD 映像などは「映画の著作物」に含まれるらしく,レコードには含まれない。 <a href="#fnref:3" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:4">
<p><a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a>では放送を「公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う無線通信の送信」,放送事業者を「放送を業として行う者」と定義している(第2条)。ちなみにインターネット通信は放送・有線放送ではなく「自動公衆送信」に分類される。 <a href="#fnref:4" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:5">
<p><a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a>では有線放送を「公衆送信のうち、公衆によつて同一の内容の送信が同時に受信されることを目的として行う有線電気通信の送信」,有線放送事業者を「有線放送を業として行う者」と定義している(第2条)。 <a href="#fnref:5" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:6">
<p>こう呼ぶようになった経緯については「<a href="http://creativecommons.jp/2015/07/15/cc%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B34-0-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E7%89%88%E3%81%AE%E5%85%AC%E9%96%8B/">CCライセンス・バージョン4.0 日本語版の公開 | クリエイティブ・コモンズ・ジャパン</a>」を参照のこと。 <a href="#fnref:6" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:7">
<p>ひとつのマテリアルに複数の著作(権)者が関わっている場合,マテリアルに <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> を付与するためには全ての権利者の間で合意が必要である。 <a href="#fnref:7" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:8">
<p>バージョン1では「表示 <span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i></span>」は任意だったが,実際には殆どの人が「表示 <span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i></span>」条件を指定していたため,(ライセンス選択の煩雑さを防ぐ意味もあり)バージョン2以降は必須になった。 <a href="#fnref:8" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:9">
<p><a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a>では二次的著作物を「著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物」と定義している(第2条)。「<a href="https://text.baldanders.info/cc-licenses/04-derivative-works/">二次的著作物と CC-Licenses</a>」で詳しく解説するが,二次的著作物については「創作的」であることが条件。フォーマット変換や機械翻訳(点字などへの置き換え)などは「逐語的コピー」と呼ばれ複製と見なされる。 <a href="#fnref:9" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:10">
<p>つまり許諾者は,ライセンスを付与する場合には妥当な条件であるか予め考慮する必要がある。 <a href="#fnref:10" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:11">
<p>国際取引の場合はどの国を準拠法とするかで問題になることがある。この場合はライセンスの説明に準拠法を併記するなどして利用者に知らせる必要がある。 <a href="#fnref:11" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:12">
<p>法的条項には「ライセンス対象物の作者その他クレジット表示される者として許諾者によって指定されている者を識別する情報」を「許諾者によってリクエストされた形が合理的である場合はその形で」とある。つまり,できるだけ表記を変えないようにってことらしい。 <a href="#fnref:12" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:13">
<p>これは <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> 初期に「嫌煙家の作った <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> 作品をタバコ広告で利用できるか」といった議論があり,利用そのものは取り消せないが,クレジット表示を止めさせることはできるんじゃないの,という話になった。これは,その時の議論をライセンスとして明文化したものといえる。 <a href="#fnref:13" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:14">
<p>© マークなどの「著作権表示」は不要。現在では「著作権表示」を要求する国や地域はほとんどど無い。また「無保証」は <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> 内で明記されているので敢えて表示する必要はない。ただし「無保証」の範囲を明示するのはアリ。 <a href="#fnref:14" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:15">
<p>一般的に「営利」「商用」という場合にはかなり広い範囲をさすようだ。たとえば企業における業務利用は全て(直接の金銭的報酬がなくとも)「営利」「商用」と見なされる。面白い例を挙げると, IPA が公開している「<a href="https://www.ipa.go.jp/osc/license1.html" title="GNU GPL v3 解説書:IPA 独立行政法人 情報処理推進機構">GNU GPL v3 逐条解説書</a>」は日本版(v2.1)の「<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.1/jp/">表示-非営利-改変禁止</a>」ライセンスになっているが「出版等営利目的での利用は禁止しますが、企業・団体等の内部における利用(講習会、勉強会等)を目的とした複製及び翻訳については、無償で許可します」という但し書きがある。おそらく <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> の「非営利 <span><i class="fab fa-creative-commons-nc"></i></span>」について拡大解釈しすぎないよう配慮したものと思われる(実際には「改変禁止 <span><i class="fab fa-creative-commons-nd"></i></span>」条件では翻訳は許諾範囲外だが,利用状況によって個別に許可を与えていると解釈できる。このように <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> は許諾範囲を広げる方向に対しては割と柔軟に運用できる)。 <a href="#fnref:15" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:16">
<p><a href="http://lessig.tumblr.com/">Lawrence Lessig</a> 教授は現在, <a href="https://creativecommons.org/" title="Creative Commons">Creative Commons</a> からは距離を置いて「政治と腐敗」をテーマに研究を行っているが,<a href="https://lessig2016.us/">2016年の米国大統領選に民主党候補として出馬意向を表明</a>した。 <a href="#fnref:16" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:17">
<p><a href="https://creativecommons.org/" title="Creative Commons">Creative Commons</a> 側は,マテリアルの取り引きによって金銭的報酬が発生するようなことでなければ「非営利 <span><i class="fab fa-creative-commons-nc"></i></span>」条件にかかることはないと考えているようである(あとは企業広告の素材として使う場合とか)。ただ,一時期流行ったアフィリエイト報酬を主目的とする「パクりサイト」の場合はダメな気がする。司法判断を仰ぐ必要があるかもしないけど。ちなみにこのサイトは「<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/">表示-継承 <span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i> <i class="fab fa-creative-commons-sa"></i></span></a>」条件を守っていただけるなら,いくらでもパクって稼いで構いませんよ(笑) <a href="#fnref:17" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:18">
<p>ただし, GPL の場合は「<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/">表示-継承 <span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i> <i class="fab fa-creative-commons-sa"></i></span></a>」から GPLv3 へ一方向のみの互換性である。 GPLv3 ライセンスのマテリアルを <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> の「<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/">表示-継承 <span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i> <i class="fab fa-creative-commons-sa"></i></span></a>」として扱うことはできない。 <a href="#fnref:18" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:19">
<p>ここで「再配布」は,マテリアルの利用者がマテリアルまたはマテリアルの複製を更に下流(downstream)へ公表・配布することを指す。 <a href="#fnref:19" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:20">
<p>更に言うと,マテリアルが「技術的保護手段」によって不当に保護されている場合は,ユーザは「技術的保護手段」を迂回することができる(許諾者は迂回を禁止する権利を放棄する)。「技術的保護手段」については「<a href="https://text.baldanders.info/cc-licenses/05-technological-measures/">CC Licenses における「技術的保護手段」の扱い</a>」で解説する。 <a href="#fnref:20" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:21">
<p><a href="http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H12/H12HO061.html">消費者契約法</a>における「事業者」は「法人その他の団体及び事業として又は事業のために契約の当事者となる場合における個人」(第2条)と定義されている。 <a href="#fnref:21" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
</ol>
</div>
著作権と著作権法
tag:text.Baldanders.info,2015-10-17:/cc-licenses/01-copyright/
2015-10-17T15:51:23+09:00
2023-07-23T08:26:26+00:00
まずは「著作権」について簡単におさらい。
Spiegel
https://baldanders.info/profile/
<p>まずは「著作権」について簡単におさらい。
なお,私は法の専門家ではないので説明が大雑把だったり間違いがあったりするかもしれませんが,平にご容赦。
(事実関係の間違いは指摘していただけると助かります)</p>
<ol>
<li><a href="#copyright">「新しい葡萄酒」は独占を望まない</a></li>
<li><a href="#about">著作権とは</a>
<ol>
<li><a href="#contents">「著作物」とは</a></li>
<li><a href="#creater">「著作者」とは</a></li>
<li><a href="#right-suite">「著作権」は権利の束</a></li>
<li><a href="#expire">著作権の発生と消尽</a></li>
</ol>
</li>
<li><a href="#user-side">ユーザから見た著作権</a>
<ol>
<li><a href="#fair-use">「公正な利用」と「著作権の制限」</a></li>
<li><a href="#licenses">「共有」のためのライセンス</a></li>
</ol>
</li>
</ol>
<h2 id="copyright">「新しい葡萄酒<sup id="fnref:1"><a href="#fn:1" class="footnote-ref" role="doc-noteref">1</a></sup>」は独占を望まない</h2>
<p>「著作権(copyright)」は「知的財産権(intellectual property)」の一種で,日本の<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a>第1条では以下のように書かれている。</p>
<figure>
<blockquote>
<q>この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048">著作権法</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>もちろんこんなものが建前だけのコンコンチキであることは皆さんご存知だろう。
そうでなければ「<a href="https://www.eff.org/issues/copyright-trolls" title="Copyright Trolls | Electronic Frontier Foundation">著作権トロル(copyright troll)</a>」みたいなものが跋扈するはずない。
大人の世界って汚いね。</p>
<p>著作権の起源は「出版特許」にあると言われている。
時の為政者から出版ギルドへ出版特許を「下賜」することにより,書籍流通の安定と統制を確保しようとしたらしい。
つまり著作権のもとになったものは,著作者のためではなく,もちろん読者(ユーザ)のためなんかではなく,ひたすら出版者の特権として生み出されたものなのである。</p>
<p>それから紆余曲折があって現在の著作権に近いかたちに整備されてきた。
現代の著作権の枠組みは1886年にできた「ベルヌ条約」がベースになっている。
かつての出版特許との違いは,著作権が,著作者と出版社,著作者と著作者,出版社と出版社,の間のパワーバランスを図る手段として機能していることである。</p>
<p>ただ,この時点でもまだユーザは創作・出版のプレイヤーではなかった。
というか,割と最近までユーザは著作権システムの埒外であった。
これが数十年前くらいから変わってきた。</p>
<p>変化のひとつは,プログラムコードを「著作物」として含めたことにより著者とユーザの区別が曖昧になり,著作物であるプログラム・コードを巡る「独占 vs 自由」の抗争が本格化してきたこと。
もうひとつは情報の符号化とそのことによる複製コストの劇的低下により既存の出版・流通による独占が意味を失いつつあること,である。
前者は FLOSS(Free/Libre and Open Source Software)というかたちでコンピュータ・ソフトウェア産業に大規模な構造変革をもたらし,発展を加速させている。
後者は現在進行形で,既存の出版・流通チャネルはこの変化に対して必死に抵抗を試みている<sup id="fnref:2"><a href="#fn:2" class="footnote-ref" role="doc-noteref">2</a></sup>。</p>
<p>こうした変化により著作者と出版社(者)とユーザの区別は曖昧になりつつある。
しかし,著作権の枠組みは19世紀から殆ど変わっておらず,一連の「大変化」に適合できてない。</p>
<p>著作者や出版社にとっての著作権システムとは,著作物の「独占」状態を如何にコントロールするかであった。
しかし,ユーザの場合は行動原理が異なる。
それはひとことで言うなら「共有」である。
何故ならユーザはコミュニケーションの手段(メディア)として著作物(=表現)を利用するからだ。</p>
<h2 id="about">著作権とは</h2>
<p>では,現行の<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a>はどのようなものか簡単に説明していく。</p>
<h3 id="contents">「著作物」とは</h3>
<p>まずは「著作物」の定義から。
これは<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a>第2条に記されている。</p>
<figure>
<blockquote>
<q>著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。 </q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048">著作権法</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>ちょっと分かりにくいけど,この条文のポイントは著作物が「創作的に表現」したものであるということ。
したがってアイデアは著作物に含まれない(アイデアは特許権で保護される)。
またキャラクタや名前も基本的には<sup id="fnref:3"><a href="#fn:3" class="footnote-ref" role="doc-noteref">3</a></sup> 著作物に含まれない(キャラクタや名前は商標権や意匠権で保護される)。</p>
<p>具体的に著作物とは何を指すかというと,<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第10条から12条で以下を挙げている。</p>
<ul>
<li>言語の著作物</li>
<li>音楽の著作物</li>
<li>舞踊又は無言劇の著作物</li>
<li>美術の著作物</li>
<li>建築の著作物</li>
<li>地図又は図形の著作物</li>
<li>映画の著作物</li>
<li>写真の著作物</li>
<li>プログラムの著作物</li>
<li>二次的著作物</li>
<li>編集著作物</li>
<li>データベースの著作物</li>
</ul>
<p>「プログラムの著作物」や「データベースの著作物」が「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」かどうかは甚だ怪しいところではあるが,これらは1996年の「著作権に関する世界知的所有権期間条約」(通称「WIPO著作権条約」または WCT)によって著作物であると決められてしまった。
日本の著作権法もこれに従う形となっている。</p>
<p>ちなみに,過去の判例により,ゲームソフトは「プログラムの著作物」ではなく「映画の著作物」に含まれることになった<sup id="fnref:4"><a href="#fn:4" class="footnote-ref" role="doc-noteref">4</a></sup> 。
(ここでは触れないが)「映画の著作物」は他の著作物に比べてかなり優遇されているため,ゲームソフトもそれに倣うことになってしまった。
やれやれ。</p>
<p>「二次的著作物」については「<a href="https://text.baldanders.info/cc-licenses/04-derivative-works/">二次的著作物と CC-Licenses</a>」で改めて紹介する。</p>
<p>例外として,以下のものには著作権は適用されない(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第13条)。</p>
<ol>
<li>憲法その他の法令</li>
<li>国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの</li>
<li>裁判所の判決、決定、命令及び審判並びに行政庁の裁決及び決定で裁判に準ずる手続により行われるもの</li>
<li>上の3つのものの翻訳物及び編集物で、国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が作成するもの</li>
</ol>
<p>ただし,各省庁が出す「◯◯白書」のようなものは上記の例外に含まれないので注意。</p>
<h3 id="creater">「著作者」とは</h3>
<p>「著作者」は「著作物を創作する者」(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第2条)である。
以上。
では面白くないので,もう少し具体的に<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第14条から。</p>
<figure>
<blockquote>
<q>著作物の原作品に、又は著作物の公衆への提供若しくは提示の際に、その氏名若しくは名称(以下「実名」という。)又はその雅号、筆名、略称その他実名に代えて用いられるもの(以下「変名」という。)として周知のものが著作者名として通常の方法により表示されている者は、その著作物の著作者と推定する。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048">著作権法</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>つまり創った人が誰か特定できるのであれば実名を名乗る必要はない。</p>
<p>もうひとつ。
「職務著作」という考え方がある(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第15条)。</p>
<figure>
<blockquote>
<q>法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048">著作権法</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<figure>
<blockquote>
<q>法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。 </q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048">著作権法</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>つまり企業・組織等の法人が著作者になることができる。
たとえば私は職業プログラマだが,私が仕事で書いたプログラムはその仕事を管轄する企業・組織が著作者となる<sup id="fnref:5"><a href="#fn:5" class="footnote-ref" role="doc-noteref">5</a></sup> <sup id="fnref:6"><a href="#fn:6" class="footnote-ref" role="doc-noteref">6</a></sup>。</p>
<h3 id="right-suite">「著作権」は権利の束</h3>
<p>さて,著作物に対して著作者が行使可能な「著作権」だが,これはひとつの権利ではなく複数の権利の束になっていて,それがが複雑怪奇に絡み合っている。
それぞれの権利の詳細についてはここでは述べないが,列挙だけしておく。</p>
<ul>
<li>著作者人格権
<ul>
<li>公表権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第18条)</li>
<li>氏名表示権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第19条)</li>
<li>同一性保持権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第20条)</li>
</ul>
</li>
<li>著作財産権
<ul>
<li>複製権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第21条)</li>
<li>上演権,演奏権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第22条)</li>
<li>上映権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第22条)</li>
<li>公衆送信権等(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第23条)
<ul>
<li>放送権,有線放送権</li>
<li>自動公衆送信権(放送,有線放送を除く)
<ul>
<li>送信可能化権</li>
</ul>
</li>
<li>伝達権</li>
</ul>
</li>
<li>口述権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第24条)</li>
<li>展示権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第25条)</li>
<li>頒布権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第26条:映画の著作物のみ)</li>
<li>譲渡権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第26条:映画の著作物以外)</li>
<li>貸与権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第26条:映画の著作物以外)</li>
<li>翻訳・翻案権等(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第27条:二次的著作物の作成に関する権利)
<ul>
<li>翻訳</li>
<li>編曲</li>
<li>変形</li>
<li>脚色</li>
<li>映画化</li>
<li>翻案</li>
</ul>
</li>
<li>二次的著作物の利用に関する原著作者の権利(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第28条)</li>
</ul>
</li>
<li>出版権(「複製権等保有者<sup id="fnref:7"><a href="#fn:7" class="footnote-ref" role="doc-noteref">7</a></sup>」が「出版」を引き受ける者に対して設定する権利で,権利者は出版の義務を伴う)
<ul>
<li>複製権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第80条)</li>
<li>公衆送信権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第80条)</li>
<li>修正・増減権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第82条:出版権者に対する複製権等保有者の権利)</li>
<li>撤回権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第84条:出版権者に対する複製権等保有者の権利)</li>
</ul>
</li>
<li>著作隣接権
<ul>
<li>実演家の権利
<ul>
<li>実演家の人格権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第90, 101, 102条)
<ul>
<li>氏名表示権</li>
<li>同一性保持権</li>
</ul>
</li>
<li>録音・録画権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第91条)</li>
<li>放送権・有線放送権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第92条)</li>
<li>送信可能化権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第92条)</li>
<li>二次使用料を受ける権利(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第95条)</li>
<li>譲渡権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第95条)</li>
<li>貸与権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第95条)</li>
</ul>
</li>
<li>レコード製作者の権利
<ul>
<li>複製権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第96条)</li>
<li>送信可能化権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第96条)</li>
<li>二次使用料を受ける権利(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第97条)</li>
<li>譲渡権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第97条)</li>
<li>貸与権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第97条)</li>
</ul>
</li>
<li>放送事業者の権利
<ul>
<li>複製権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第98条)</li>
<li>再放送権・有線放送権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第99条)</li>
<li>送信可能化権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第99条)</li>
<li>テレビジョン放送の伝達権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第100条)</li>
</ul>
</li>
<li>有線放送事業者の権利
<ul>
<li>複製権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第100条)</li>
<li>再放送権・有線放送権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第100条)</li>
<li>送信可能化権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第100条)</li>
<li>テレビジョン放送の伝達権(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第100条)</li>
</ul>
</li>
</ul>
</li>
</ul>
<h3 id="expire">著作権の発生と消尽</h3>
<p>現在の著作権はベルヌ条約に基づき著作物が創作された時点で自動的に付与される。
これを「無方式主義」と言う<sup id="fnref:8"><a href="#fn:8" class="footnote-ref" role="doc-noteref">8</a></sup>。
つまり思いつきの鼻歌だろうがコースターの裏の落書きだろうが,発生した時点でそれらには著作権が付与されてしまうのだ。</p>
<p>著作権のうち著作者人格権は「著作者の一身に専属し、譲渡することができない」(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第59条)<sup id="fnref:9"><a href="#fn:9" class="footnote-ref" role="doc-noteref">9</a></sup>。
一方,著作財産権については「その全部又は一部を譲渡することができる」(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第61条)<sup id="fnref:10"><a href="#fn:10" class="footnote-ref" role="doc-noteref">10</a></sup>。
したがって「著作者」と「著作権者」が異なる場合がありうる。
<a href="https://text.baldanders.info/cc-licenses" title="改訂3版: CC-License について — text.Baldanders.info">本シリーズ</a>では両者をまとめて「著作(権)者」と表記する場合がある。
しかしライセンスで許諾することができるのは厳密には「著作権者」の方である。</p>
<p>著作者人格権または実演家の人格権には期限が設けられてなく,死後も権利が継続される<sup id="fnref:11"><a href="#fn:11" class="footnote-ref" role="doc-noteref">11</a></sup>。
著作財産権については,<a href="https://text.baldanders.info/remark/2018/11/copyright-law-is-revised/" title="年末年始に施行される改正著作権法に関する覚え書き">2018年の著作権法改正で保護期間が延長された</a>。</p>
<figure style='margin:0 auto;text-align:center;'>
<table>
<thead><tr>
<th colspan="2">種類</th>
<th>改正前</th>
<th>改正後</th>
</tr></thead>
<tbody style="text-align:left;">
<tr>
<td rowspan="4">著作物</td>
<td>原則</td>
<td>著作者の死後50年</td>
<td>著作者の死後70年</td>
</tr>
<tr>
<td>無名・変名</td>
<td>公表後50年</td>
<td>公表後70年</td>
</tr>
<tr>
<td>団体名義</td>
<td>公表後50年</td>
<td>公表後70年</td>
</tr>
<tr>
<td>映画</td>
<td>公表後70年</td>
<td>公表後70年</td>
</tr>
<tr>
<td colspan="2">実演</td>
<td>実演が行われた後50年</td>
<td>実演が行われた後70年</td>
</tr>
<tr>
<td colspan="2">レコード</td>
<td>レコードの発行後50年</td>
<td>レコードの発行後70年</td>
</tr>
</tbody>
</table>
<figcaption><div><a href="http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/hokaisei/kantaiheiyo_hokaisei/pdf/r1408266_01.pdf">環太平洋パートナーシップ協定の締結及び環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律の概要(著作権法関係)</a></div></figcaption>
</figure>
<h2 id="user-side">ユーザから見た著作権</h2>
<p>著作権は著作物に対するあらゆる行為を権利化し独占しているわけではない。</p>
<p>前節で述べた権利群にまつわる行為を「利用」と呼ぶ。
それ以外の,たとえば「本を読む」「音楽を聞く」「映画を観る」といった行為は権利化されないため,自由に行うことができる。
こういった「利用」以外の行為を著作物の「使用」と呼ぶ。
つまり,著作権者は「利用」に関して他者をコントロールできるが,「使用」に関しては関知しない。</p>
<p>著作権を厳密に解釈するなら事前に許諾がなければ「利用」できないのだが,実際には事後承諾だったり利用後にお金を払ったりといった感じで,その場その場で ad hoc な運用になることが多い。
もし著作権を厳密に運用しようとすると著作物を巡る取引が硬直化するため,市場的にかなりのダメージなる可能性が高い。
「著作権に違反しているからダメ」という発想ではそれこそダメなのである。</p>
<h3 id="fair-use">「公正な利用」と「著作権の制限」</h3>
<p>こういった問題に対し,米国などでは「公正な利用(fair use)」という考え方がある。
ある利用パターンが社会的に見て「公正」であれば認めようというものだ。
実際にどのような場合に認められるかは司法の場で議論されることが多い<sup id="fnref:12"><a href="#fn:12" class="footnote-ref" role="doc-noteref">12</a></sup>。</p>
<p>一方日本では,「公正な利用」というものは存在しない。
その代わり<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a>では「著作権の制限」(第30-50条)を設けている。
以下に項目のみ列挙してみる<sup id="fnref:13"><a href="#fn:13" class="footnote-ref" role="doc-noteref">13</a></sup>。</p>
<ul>
<li>私的使用のための複製</li>
<li>付随対象著作物の利用</li>
<li>検討の過程における利用</li>
<li>技術の開発又は実用化のための試験の用に供するための利用</li>
<li>図書館等における複製等</li>
<li>引用</li>
<li>教科用図書等への掲載</li>
<li>教科用拡大図書等の作成のための複製等</li>
<li>学校教育番組の放送等</li>
<li>学校その他の教育機関における複製等</li>
<li>試験問題としての複製等</li>
<li>視覚障害者等のための複製等</li>
<li>聴覚障害者等のための複製等</li>
<li>営利を目的としない上演等</li>
<li>時事問題に関する論説の転載等</li>
<li>政治上の演説等の利用</li>
<li>時事の事件の報道のための利用</li>
<li>裁判手続等における複製</li>
<li>行政機関情報公開法 等による開示のための利用</li>
<li>公文書管理法 等による保存等のための利用</li>
<li>国立国会図書館法 によるインターネット資料及びオンライン資料の収集のための複製</li>
<li>翻訳、翻案等による利用</li>
<li>放送事業者等による一時的固定</li>
<li>美術の著作物等の原作品の所有者による展示</li>
<li>公開の美術の著作物等の利用</li>
<li>美術の著作物等の展示に伴う複製</li>
<li>美術の著作物等の譲渡等の申出に伴う複製等</li>
<li>プログラムの著作物の複製物の所有者による複製等</li>
<li>保守、修理等のための一時的複製</li>
<li>送信の障害の防止等のための複製</li>
<li>送信可能化された情報の送信元識別符号の検索等のための複製等</li>
<li>情報解析のための複製等</li>
<li>電子計算機における著作物の利用に伴う複製</li>
<li>情報通信技術を利用した情報提供の準備に必要な情報処理のための利用</li>
<li>複製権の制限により作成された複製物の譲渡</li>
</ul>
<p>クラクラする。</p>
<p>米国のような「公正な利用」がいいのか日本のような「著作権の制限」がいいのかは難しいところだ。
しかし,時代や価値観が大きく変化している真っ最中の現代において,日本のやりかたが「遅きに失している」ことは否めない<sup id="fnref:14"><a href="#fn:14" class="footnote-ref" role="doc-noteref">14</a></sup>。</p>
<h3 id="licenses">「共有」のためのライセンス</h3>
<p>ユーザ側から見た場合,「法」が整備されていくのを悠長に待っている訳にはいかない。
ならばいっそ,あらかじめ「共有」に必要な許諾を行うライセンスを作って運用するほうが理にかなっている。
そうして作られたライセンス・ツールのひとつが Creative Commons Licenses (<a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a>) である。</p>
<p>というわけで,ようやく前置き終わり。
次回から CC Licenses について解説していく。</p>
<h2>参考文献</h2>
<h3>参考になる(かもしれない) Web ページ</h3>
<ul>
<li><a href="http://machina.private.coocan.jp/">バーチャルネット法律娘 真紀奈17歳</a> : 古いコンテンツだが,このなかの「著作権法講座」は参考になる</li>
<li><a href="http://www.cric.or.jp/qa/index.html">著作権Q&A | 公益社団法人著作権情報センター CRIC</a></li>
<li><a href="http://japan.cnet.com/sp/copyright_study/">特集 : 18歳からの著作権入門 - CNET Japan</a></li>
<li><a href="http://www.hyuki.com/gnu/frcp.html">自由か著作権か?</a></li>
<li><a href="http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1602/29/news077.html">TwitterのGIFアニメ添付機能、ユーザーが「著作権侵害」に問われる可能性は?――福井弁護士に聞く (1/2) - ITmedia ニュース</a></li>
<li><a href="https://www.youtube.com/yt/copyright/ja/fair-use.html">フェアユース - YouTube</a></li>
<li><a href="http://bylines.news.yahoo.co.jp/kuriharakiyoshi/20170202-00067263/">JASRACが音楽教室からも著作権使用料を徴収しようとする法的根拠は何か?(栗原潔) - 個人 - Yahoo!ニュース</a>
<ul>
<li><a href="http://bylines.news.yahoo.co.jp/kuriharakiyoshi/20170203-00067314/">JASRACを気にせずに音楽を演奏できるのはどのような場合か(栗原潔) - 個人 - Yahoo!ニュース</a></li>
</ul>
</li>
<li><a href="https://news.yahoo.co.jp/byline/kuriharakiyoshi/20170227-00068168/">マリオコスプレ・カートレンタル業者の言い分を検証する(栗原潔) - 個人 - Yahoo!ニュース</a> : 貸与権に関する考察は興味深い</li>
<li><a href="http://www.kottolaw.com/column/001653.html">今後変わる? リンクについての著作権法上の考え方 岡本健太郎|コラム|骨董通り法律事務所 For the Arts</a></li>
<li><a href="https://www.businesslawyers.jp/articles/1311">令和5年改正著作権法の影響度と実務対応 - BUSINESS LAWYERS</a></li>
</ul>
<h3>参考図書</h3>
<div class="hreview">
<div class="photo"><a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4757102852?tag=baldandersinf-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/41YkbcP5IyL._SL160_.jpg" width="108" alt="photo"></a></div>
<dl>
<dt class="item"><a class="fn url" href="https://www.amazon.co.jp/dp/4757102852?tag=baldandersinf-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1">著作権2.0 ウェブ時代の文化発展をめざして (NTT出版ライブラリー―レゾナント)</a></dt>
<dd>名和 小太郎 (著)</dd>
<dd>NTT出版 2010-06-24</dd>
<dd>単行本(ソフトカバー)</dd>
<dd>4757102852 (ASIN), 9784757102859 (EAN), 4757102852 (ISBN)</dd>
<dd>評価<abbr class="rating fa-sm" title="5"> <i class="fas fa-star"></i> <i class="fas fa-star"></i> <i class="fas fa-star"></i> <i class="fas fa-star"></i> <i class="fas fa-star"></i></abbr></dd>
</dl>
<p class="description">名著です。今すぐ買うべきです。</p>
<p class="powered-by">reviewed by <a href='#maker' class='reviewer'>Spiegel</a> on <abbr class="dtreviewed" title="2014-08-02">2014-08-02</abbr> (powered by <a href="https://affiliate.amazon.co.jp/assoc_credentials/home">PA-APIv5</a>)</p>
</div> <!-- 著作権2.0 ウェブ時代の文化発展をめざして -->
<div class="hreview">
<div class="photo"><a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4622073455?tag=baldandersinf-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/41bepOIquwL._SL160_.jpg" width="111" alt="photo"></a></div>
<dl>
<dt class="item"><a class="fn url" href="https://www.amazon.co.jp/dp/4622073455?tag=baldandersinf-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1">〈海賊版〉の思想‐18世紀英国の永久コピーライト闘争</a></dt>
<dd>山田 奨治 (著)</dd>
<dd>みすず書房 2007-12-20</dd>
<dd>単行本</dd>
<dd>4622073455 (ASIN), 9784622073451 (EAN), 4622073455 (ISBN)</dd>
<dd>評価<abbr class="rating fa-sm" title="5"> <i class="fas fa-star"></i> <i class="fas fa-star"></i> <i class="fas fa-star"></i> <i class="fas fa-star"></i> <i class="fas fa-star"></i></abbr></dd>
</dl>
<p class="description">「コピーライト永久独占を目論む大書店主に挑む〈海賊出版者〉ドナルドソンの肖像。法廷闘争を軸に著作権を史的に考察する。」(帯文より)</p>
<p class="powered-by">reviewed by <a href='#maker' class='reviewer'>Spiegel</a> on <abbr class="dtreviewed" title="2018-11-13">2018-11-13</abbr> (powered by <a href="https://affiliate.amazon.co.jp/assoc_credentials/home">PA-APIv5</a>)</p>
</div> <!-- 〈海賊版〉の思想‐18世紀英国の永久コピーライト闘争 -->
<div class="hreview">
<div class="photo"><a href="https://www.amazon.co.jp/dp/B00SM7G6SI?tag=baldandersinf-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/41ZC-Qu61LL._SL160_.jpg" width="98" alt="photo"></a></div>
<dl>
<dt class="item"><a class="fn url" href="https://www.amazon.co.jp/dp/B00SM7G6SI?tag=baldandersinf-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1">18歳の著作権入門 (ちくまプリマー新書)</a></dt>
<dd>福井健策 (著)</dd>
<dd>筑摩書房 2015-01-10 (Release 2015-01-30)</dd>
<dd>Kindle版</dd>
<dd>B00SM7G6SI (ASIN)</dd>
<dd>評価<abbr class="rating fa-sm" title="4"> <i class="fas fa-star"></i> <i class="fas fa-star"></i> <i class="fas fa-star"></i> <i class="fas fa-star"></i> <i class="far fa-star"></i></abbr></dd>
</dl>
<p class="description">福井健策弁護士による「<a href="http://japan.cnet.com/sp/copyright_study/">18歳からの著作権入門</a>」の書籍化。</p>
<p class="powered-by">reviewed by <a href='#maker' class='reviewer'>Spiegel</a> on <abbr class="dtreviewed" title="2015-05-07">2015-05-07</abbr> (powered by <a href="https://affiliate.amazon.co.jp/assoc_credentials/home">PA-APIv5</a>)</p>
</div> <!-- 18歳の著作権入門 -->
<div class="hreview">
<div class="photo"><a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4641243336?tag=baldandersinf-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/51LanI5bgAL._SL160_.jpg" width="117" alt="photo"></a></div>
<dl>
<dt class="item"><a class="fn url" href="https://www.amazon.co.jp/dp/4641243336?tag=baldandersinf-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1">著作権法 第3版</a></dt>
<dd>中山 信弘 (著)</dd>
<dd>有斐閣 2020-09-04</dd>
<dd>単行本</dd>
<dd>4641243336 (ASIN), 9784641243330 (EAN), 4641243336 (ISBN)</dd>
</dl>
<p class="description">第3版が出てた。第2版は図書館で借りて読んだが,途中でギブアップした。個人が興味本位で読める本ではないらしい(笑)</p>
<p class="powered-by">reviewed by <a href='#maker' class='reviewer'>Spiegel</a> on <abbr class="dtreviewed" title="2020-10-12">2020-10-12</abbr> (powered by <a href="https://affiliate.amazon.co.jp/assoc_credentials/home">PA-APIv5</a>)</p>
</div> <!-- 著作権法 第3版 -->
<div class="hreview">
<div class="photo"><a href="https://www.amazon.co.jp/dp/B099RTG3J7?tag=baldandersinf-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/51TsccJ7LnS._SL160_.jpg" width="112" alt="photo"></a></div>
<dl>
<dt class="item"><a class="fn url" href="https://www.amazon.co.jp/dp/B099RTG3J7?tag=baldandersinf-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1">著作権は文化を発展させるのか: 人権と文化コモンズ</a></dt>
<dd>山田 奨治 (著)</dd>
<dd>人文書院 2021-07-29 (Release 2021-07-29)</dd>
<dd>Kindle版</dd>
<dd>B099RTG3J7 (ASIN)</dd>
<dd>評価<abbr class="rating fa-sm" title="5"> <i class="fas fa-star"></i> <i class="fas fa-star"></i> <i class="fas fa-star"></i> <i class="fas fa-star"></i> <i class="fas fa-star"></i></abbr></dd>
</dl>
<p class="description">著作権を「ユーザーの人権」という観点から捉え直す。その後 文化→コモンズ→文化コモンズ と進み,本当の意味で「文化の発展に寄与する」とはどういうことか考察していく。
</p>
<p class="powered-by">reviewed by <a href='#maker' class='reviewer'>Spiegel</a> on <abbr class="dtreviewed" title="2022-10-23">2022-10-23</abbr> (powered by <a href="https://affiliate.amazon.co.jp/assoc_credentials/home">PA-APIv5</a>)</p>
</div> <!-- 著作権は文化を発展させるのか: 人権と文化コモンズ -->
<div class="footnotes" role="doc-endnotes">
<hr>
<ol>
<li id="fn:1">
<p>「<a href="https://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/53/3/53_3_131/_article/-char/ja/">グーグル・ブック・サーチ,あるいはバベルの図書館 新しいぶどう酒は新しい革袋に</a>」参照。ちなみに「新しい葡萄酒」というのはマタイ伝第9章17節に出てくる言葉で,(旧いユダヤ教に対する)キリスト教を指す。 <a href="#fnref:1" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:2">
<p>こうした抵抗のひとつが「<a href="https://www.eff.org/issues/copyright-trolls" title="Copyright Trolls | Electronic Frontier Foundation">著作権トロル</a>」といった形で現れているわけだ。 <a href="#fnref:2" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:3">
<p>ただし創作上の文脈としてキャラクタや名前が書(描)かれている場合は著作物の一部として認められる場合がある。 <a href="#fnref:3" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:4">
<p>ただし,全てのゲームが「映画の著作物」となるわけではない(参考: <a href="http://www.ben.li/essay/Second-handed-game.html">ビデオ・ゲームの中古販売と著作権法</a>)。 <a href="#fnref:4" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:5">
<p>別の企業・組織が発注したプログラムを請け負っている場合は,大抵は契約により,その企業・組織に権利が帰属する。 <a href="#fnref:5" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:6">
<p>法学者の<a href="http://orion.mt.tama.hosei.ac.jp/hideaki/indexj.htm">白田秀彰さん</a>はこの点を突いて著作権法の矛盾を指摘している: <a href="http://thinkcopyright.org/shirata0115.html">ほんとうの創作者利益について</a> <a href="#fnref:6" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:7">
<p><a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第79条では,著作物に対して複製権と公衆送信権を持つ著作権者を「複製権等保有者」と定義している。 <a href="#fnref:7" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:8">
<p>これに対して,(登録制にするなど)何らかの手続を踏むことで著作権が発生するやり方を「方式主義」という。いわゆる © マークは方式主義をとる国や地域(でかつ万国著作権条約(1955年)加盟国)に対して著作物に著作権があることを明示するためのマークである。現在ではほとんどの国や地域で無方式主義をとっているため © マークは必要ない。 <a href="#fnref:8" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:9">
<p>著作隣接権のうち「実演家の人格権」についても同様に譲渡できないし他者が行使することも出来ない(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第101条)。 <a href="#fnref:9" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:10">
<p>著作隣接権についても,「実演家の人格権」を除き,基本的には譲渡可能(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第103条)。 <a href="#fnref:10" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:11">
<p>ただし,人格権の侵害があったとしても,それが本当に著作者にとって害になるかどうかは考慮されるらしい。 <a href="#fnref:11" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:12">
<p>米国の fair use では「利用の目的や本質」「原作品の本質」「抜粋の量や実質性」「原作品の価値への影響」の4つの観点に基づいて「公正」かどうかが議論される。最近の例としては <a href="https://text.baldanders.info/remark/2015/google-books-library-project/">Google Books の Library Book Scan に関する訴訟</a>が参考になる。 <a href="#fnref:12" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:13">
<p>「著作権の制限」には項目ごとに細かい条件があって字面ほど自由に行使できるわけではない。たとえば「パロディ」は「著作権の制限」のどの項目にも該当しないため日本の著作権法では認められていないことになる。 <a href="#fnref:13" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:14">
<p><a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a>の標準的教科書と言われる『<a href="https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4641144699/baldandersinf-22/">著作権法</a>』第2版のなかで「<a href="http://www.techvisor.jp/blog/archives/5228">本書初版(2007)においては、フェアユース規定の導入には消極的な見解を述べていたが、本文で述べる理由のように、現在はフェアユース規定を早急に導入すべきであると言う見解に改めた</a>」と書かれているらしい。 <a href="#fnref:14" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
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