List of Derivative-Works - text.Baldanders.info
tag:text.Baldanders.info,2020-10-12:/tags
2020-10-12T11:17:49+09:00
帰ってきた「しっぽのさきっちょ」
https://text.baldanders.info/images/avatar.jpg
https://text.baldanders.info/images/avatar.jpg
キャラクタの権利
tag:text.Baldanders.info,2020-10-12:/remark/2020/10/rights-of-narrative-characters/
2020-10-12T02:17:49+00:00
2020-12-06T02:39:52+00:00
これからこういった「言いがかり」は増えてくるだろうし,その中には本当に非親告罪として訴訟の対象になることもあるだろう。
Spiegel
https://baldanders.info/profile/
<p>先週の話題だが,興味深い記事があるので紹介しておく。</p>
<ul>
<li><a href="https://news.yahoo.co.jp/byline/kuriharakiyoshi/20201008-00201963/">知財高裁でBL同人作品の無断コピーは著作権侵害という当たり前の判決(栗原潔) - 個人 - Yahoo!ニュース</a></li>
</ul>
<p>前半の猥褻云々については何となく触りたくないのでスルーするとして(興味のある方はリンク先の記事をどうぞ),個人的に面白いと思ったのは以下の判決文に絡む後半の話。</p>
<figure>
<blockquote><q>したがって、本件各漫画のキャラクターが原著作物のそれと同一あるいは類似であるからといって,これによって著作権侵害の問題が生じるものではない</q></blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/748/089748_hanrei.pdf">『令和2年(ネ)第10018号損害賠償請求控訴事件』判決文</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<figure>
<blockquote><q>仮に著作権侵害の問題が生ずる余地があるとしても,それは,主人公等の容姿や服装など基本的設定に関わる部分の複製権侵害に限られるものであって,その他の部分については,二次的著作権が成立し得るものというべきである(なお,本件各漫画の内容に照らしてみれば,主人公等の容姿や服装など基本的設定に関わる部分以外の部分について,オリジナリティを認めることは十分に可能というべきである。)</q></blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/748/089748_hanrei.pdf">『令和2年(ネ)第10018号損害賠償請求控訴事件』判決文</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>私はその筋の専門家ではないので不正確かもしれないが,いわゆる知的財産権(等)については以下のように分類している。</p>
<ul>
<li>「表現」に関する権利は著作権</li>
<li>「アイデア」に関する権利は特許権</li>
<li>「キャラクタ」等に関する権利は商標権または意匠権</li>
<li>実在の人物に関する権利は肖像権(パブリシティ権)</li>
</ul>
<p>実際,商業作品では作品のロゴやキャラクタを商標登録することは普通に行われている<sup id="fnref:1"><a href="#fn:1" class="footnote-ref" role="doc-noteref">1</a></sup>。
今回対象となっている同人作品が本当に「キャラクタの権利」を侵害しているか否かは別のチャネルで争われるべきものである。</p>
<p>もっとも,原著作(権)者がそれを言うならまだしも,原作の関係者でも件の同人作品の関係者でもない第三者がそれをゆーな,って感じではあるが(笑)</p>
<p>実は「<a href="https://text.baldanders.info/cc-licenses/">改訂3版: CC Licenses について</a>」セクションの「<a href="https://text.baldanders.info/cc-licenses/03-moral-rights/">人格権と CC Licenses</a>」で「キャラクタの権利」について言及しているのだが,これは「同一性保持権」の文脈だったので(実際,<span><a href="https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/748/089748_hanrei.pdf">件の判決文 <sup><i class="far fa-file-pdf"></i></sup></a></span> でも同一性保持権について言及がある)二次的著作物つまり翻案権について原著作(権)者でもない第三者があれこれ言うシチュエーションは考えてなかった。</p>
<p>これって<a href="https://text.baldanders.info/remark/2018/11/copyright-law-is-revised/" title="年末年始に施行される改正著作権法に関する覚え書き">2018年末施行の改正著作権法</a>の影響だよね。
非親告罪の一部適用ってやつ。</p>
<p>おそらくこれからこういった「言いがかり」は増えてくるだろうし,その中には本当に非親告罪として訴訟の対象になることもあるだろう。
ホンマに面倒臭い世の中になったものである。</p>
<h2>ブックマーク</h2>
<ul>
<li><a href="https://www.jfsribbon.org/2020/11/blog-post_25.html">うぐいすリボン: 【講演】同人誌の無許諾ネット配信事件知財高裁判決について</a></li>
</ul>
<h2>参考図書</h2>
<div class="hreview">
<div class="photo"><a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4641243336?tag=baldandersinf-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/51LanI5bgAL._SL160_.jpg" width="117" alt="photo"></a></div>
<dl>
<dt class="item"><a class="fn url" href="https://www.amazon.co.jp/dp/4641243336?tag=baldandersinf-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1">著作権法 第3版</a></dt>
<dd>中山 信弘 (著)</dd>
<dd>有斐閣 2020-09-04</dd>
<dd>単行本</dd>
<dd>4641243336 (ASIN), 9784641243330 (EAN), 4641243336 (ISBN)</dd>
</dl>
<p class="description">第3版が出てた。第2版は図書館で借りて読んだが,途中でギブアップした。個人が興味本位で読める本ではないらしい(笑)</p>
<p class="powered-by">reviewed by <a href='#maker' class='reviewer'>Spiegel</a> on <abbr class="dtreviewed" title="2020-10-12">2020-10-12</abbr> (powered by <a href="https://affiliate.amazon.co.jp/assoc_credentials/home">PA-APIv5</a>)</p>
</div> <!-- 著作権法 第3版 -->
<div class="hreview">
<div class="photo"><a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4750515183?tag=baldandersinf-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/51guEQ4nFvL._SL160_.jpg" width="112" alt="photo"></a></div>
<dl>
<dt class="item"><a class="fn url" href="https://www.amazon.co.jp/dp/4750515183?tag=baldandersinf-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1">性表現規制の文化史</a></dt>
<dd>白田 秀彰 (著)</dd>
<dd>亜紀書房 2017-07-20 (Release 2017-07-20)</dd>
<dd>単行本(ソフトカバー)</dd>
<dd>4750515183 (ASIN), 9784750515182 (EAN), 4750515183 (ISBN)</dd>
</dl>
<p class="description">しまった!積ん読状態のまま引っ越しのドサクサで処分しちゃってるよ。読み直さないと。図書館に置いてないかな。</p>
<p class="powered-by">reviewed by <a href='#maker' class='reviewer'>Spiegel</a> on <abbr class="dtreviewed" title="2017-10-13">2017-10-13</abbr> (powered by <a href="https://affiliate.amazon.co.jp/assoc_credentials/home">PA-APIv5</a>)</p>
</div> <!-- 性表現規制の文化史 -->
<div class="footnotes" role="doc-endnotes">
<hr>
<ol>
<li id="fn:1">
<p>「キャラクタ」そのものに著作権は関与しないとしても「キャラクタを使った表現」には当然ながら著作権が適用される。それが二次的著作物にあたるかどうかの線引きは割と微妙らしい。その辺を考えているかは知らないが,作家さん同士で「キャラクタの貸し借り」のやりとりは(口頭レベルでも)割とあると聞く。 <a href="#fnref:1" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
</ol>
</div>
週末スペシャル: NIST SP 800-175B Draft
tag:text.Baldanders.info,2016-03-20:/remark/2016/03/20-stories/
2016-03-20T10:09:04+00:00
2020-09-24T01:37:18+00:00
NIST SP 800-175B Draft / 翻案は「二次創作」を指すものではない / 引っ越しの際に真っ先に捨てるのは「本」
Spiegel
https://baldanders.info/profile/
<ol>
<li><a href="#nist">NIST SP 800-175B Draft</a></li>
<li><a href="#adapt">翻案は「二次創作」を指すものではない</a></li>
<li><a href="#book">引っ越しの際に真っ先に捨てるのは「本」</a></li>
</ol>
<h2 id="nist">NIST SP 800-175B Draft</h2>
<ul>
<li><span><a href="http://csrc.nist.gov/publications/drafts/800-175/sp800-175b_draft.pdf">NIST Special Publication 800-175B Guideline for Using Cryptographic Standards in the Federal Government: Cryptographic Mechanisms <sup><i class="far fa-file-pdf"></i></sup></a></span></li>
</ul>
<p>519行目より</p>
<figure lang="en">
<blockquote>
<q>SKIPJACK is referenced in FIPS 185 and s pecified in a classified document. SKIPJACK is no longer considered adequate for the protection of federal information and has been withdrawn as a FIPS. The use of SKIPJACK for applying cryptographic protection (e.g., encryption) is not approved, although it is permissible to use the algorithm for decrypting information.</q>
</blockquote>
<figcaption><div>via <q><a href="http://csrc.nist.gov/publications/drafts/800-175/sp800-175b_draft.pdf">NIST Special Publication 800-175B</a></q></div></figcaption>
</figure>
<p>SKIPJACK 暗号は NSA が1990年代に考えた 80bits 鍵長のブロック暗号で,当時「強い」と言われていた DES よりも暗号強度が高かった。
NSA はこの暗号アルゴリズムと「鍵預託(key escrow)」機能を持つ公開鍵暗号システムを組み合わせたものをコンピュータ・チップに内蔵させた。
これが Clipper Chip である。</p>
<p>AT&T は自社の電話暗号化システムに Clipper Chip を搭載する契約を政府と結んだ(見返りに AT&T は政府という大口の顧客を得ることになる)。
一方,1992年末にクリントンが大統領に選出され,その副大統領ゴアによる「情報ハイウェイ」構想が打ち立てられた。
FBI や NSA はこの機に乗じて Clipper Chip を売り込んだ<sup id="fnref:1"><a href="#fn:1" class="footnote-ref" role="doc-noteref">1</a></sup>。</p>
<p>実際には Clipper Chip は大きな批判にさらされた。
「自宅の玄関の鍵のコピーを警察署に預けなければならないとしたらどうするか?」(Steven Levy 著『<a href="https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4314009071/baldandersinf-22/">暗号化</a>』より)というわけだ。
Clipper Chip は Big Brother Chip と揶揄された。
最終的に鍵預託の仕様に欠陥が見つかったことなどがきっかけで Clipper Chip は凋落し電話やパソコンに使われることはなかった。</p>
<p>鍵預託の仕様は1994年に <span><a href="http://csrc.nist.gov/publications/fips/fips185/fips185.pdf">FIPS 185 <sup><i class="far fa-file-pdf"></i></sup></a></span> として標準化されたが,これが正式に obsolete となったのはようやく2015年である。
SKIPJACK 暗号も当時は強力と言われていたが,今や 80bits ぽっちの暗号が(古い資産を復号する以外の)役に立たないことは皆さんご存知の通り。</p>
<p>しかしこの20年余りの間,大規模テロが起こるたびに米国政府(というか FBI)は同じような試みを繰り返しては失敗している。
国防上の理由と称して国民をテロリストと同列に監視対象に入れようとしているわけだ。</p>
<ul>
<li><a href="https://www.schneier.com/blog/archives/2016/03/cryptography_is.html">Cryptography Is Harder Than It Looks - Schneier on Security</a></li>
</ul>
<h2 id="adapt">翻案は「二次創作」を指すものではない</h2>
<ul>
<li><a href="http://dotplace.jp/archives/21269">北本かおり×ドミニク・チェン×山内康裕:二次創作とライセンス 「ただコンテンツを眺めるだけじゃなく、自由に使うことによって文化が成長する。」 - DOTPLACE</a></li>
<li><a href="http://dotplace.jp/archives/21441">北本かおり×ドミニク・チェン×山内康裕:二次創作とライセンス 「非親告罪化には、著者の『許可したいです』という意思を発露する手段が奪われていく感じがします。」 - DOTPLACE</a></li>
<li><a href="http://dotplace.jp/archives/21458">北本かおり×ドミニク・チェン×山内康裕:二次創作とライセンス 「海賊版を禁止して広がるのを止めてしまうのか、『いいから出しちゃえ』って進んだ人が結局最後に勝つのか。」 - DOTPLACE</a></li>
</ul>
<p>現行の(ベルヌ条約にもとづく)著作権法はあらゆる「表現」に対して自動的に著作権を付与する。
それこそ風呂場の鼻歌やコースターの裏の落書きにも著作権が付与されてしまう。</p>
<p>「著作権」がクリエイターや出版社だけの問題であるならば,このリンク先の議論は有効だと思う。
しかし実際にはそうではないのだ。
著作権の非親告罪化を「二次創作」への脅威として捉えるのは問題の矮小化である。</p>
<p>山田奨治さんの『<a href="https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4622073455/baldandersinf-22/">〈海賊版〉の思想</a>』のあとがきにこんな記述がある。</p>
<figure>
<blockquote>
<q>図工の時間に、ある児童が行詰まってしまった。いいアイデアが、どうしても浮かばないのだ。先生は「お友だちが作っているのをみて、参考にしてごらん」という。そこで、図工の得意な子が何を作っているかをみにいったら、こういわれた。「ぼくのまねをすると、著作権のしんがいになるよ。」</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q>〈海賊版〉の思想</q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>非親告罪化した著作権法のもとで,「ある児童」が「図工の得意な子」の作品を翻案すればその子は犯罪者で「先生」も共犯者だ,「図工の得意な子」がそれに対してどう思うかに関わらず。
あるいは子どもがテレビの前でプリキュアダンスを踊ってそれをお父さんがビデオで撮ったなら,その親子も犯罪者確定である。</p>
<p>「<a href="https://text.baldanders.info/cc-licenses/01-copyright/">著作権と著作権法</a>」でも書いたが,ユーザにとって表現は他者とのコミュニケーション手段であり,コミュニケーションとしての表現はすべて翻案なのである。
もし非親告罪化を認めるのなら,それは明確に「表現の自由」の侵害である。</p>
<p>米国には fair use doctrine があり<sup id="fnref:2"><a href="#fn:2" class="footnote-ref" role="doc-noteref">2</a></sup>,上記のケースも fair use として認められるかもしれない。
しかし日本にはそのような仕組みはない。
それどころか</p>
<figure>
<blockquote>
<q>一般社団法人日本音楽著作権協会常務理事の浅石道夫氏が「エンドユーザーと権利者の対立を表にだして自らは存在感を消している。他人の財産(著作物)を使って利益を生み出す事業者による詭弁」と真っ向から切り捨てた。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="http://japan.cnet.com/news/business/35079134/">デジタル時代の「孤児作品」問題を解消するには--権利者団体が議論 - CNET Japan</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>などと言ってはばからないのが現状である。</p>
<h2 id="book">引っ越しの際に真っ先に捨てるのは「本」</h2>
<ul>
<li><a href="http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20160314_748044.html">引っ越しの際に出た不用品、トップは本、モノの所有に固執しない時代に? -INTERNET Watch</a></li>
</ul>
<p>紙の本の愛好者は様々な理由をつけて紙の本を擁護しようとするが,実際にはこんなもんである。
うちの母親は年金をもらう歳になってから積極的に本を読むようになったが(今まで我慢してたんだねぇ,ゴメン),読み終わった本は片っ端から売りに出しているらしい。</p>
<p>もはや多くの人にとって「本」は知識や教養の象徴ではなく,「読み捨て」の消費財である。
また「本」をそのような位置づけにしたのは他ならぬ作家と出版社である。
「本」がそういう位置付けなら,そりゃあブックオフや図書館を利用するほうが合理的だよね。
個人的には「本」も音楽や映像と同じく「水のように」なるべきだと思うな<sup id="fnref:3"><a href="#fn:3" class="footnote-ref" role="doc-noteref">3</a></sup>。
まぁ,もしそうなったら本屋は今のレコード・ショップ並にニッチに特化するしかないけど。</p>
<ul>
<li><a href="https://magazine-k.jp/2016/03/02/little-bookstore-in-northern-street/">北海道のシャッター通りに本屋をつくる « マガジン航[kɔː]</a></li>
<li><a href="https://magazine-k.jp/2016/03/17/beyond-cool-japan-04/">アメリカのインディペンデント書店が強いわけ « マガジン航[kɔː]</a></li>
</ul>
<h2 id="other">その他の気になる記事</h2>
<ul>
<li><a href="http://tasukumizuno.hatenablog.com/entry/2016/03/14/190655">オープンアクセス(OA)とクリエイティブコモンズ(CC) - 水野祐(@TasukuMizuno)のブログ</a></li>
<li><a href="http://www.sonydna.com/sdna/solution/report02.html">セキュリティ| レポート2015年度版ダウンロード | ソニーデジタルネットワークアプリケーションズ株式会社</a></li>
<li><a href="http://postd.cc/nobody-wants-use-your-product/">誰もあなたの製品を使いたいと思ってはいない : 製品をデザインするための考え方 | プロダクト・サービス | POSTD</a></li>
<li><a href="http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20160314_747958.html">電子書籍の利用率が2割弱で頭打ち、「利用意向なし」が増加、「関心なし」と合わせると6割以上に -INTERNET Watch</a> : 米国でも3割ちょっとらしいので,日本ならそんなもんだろう</li>
<li><a href="http://www.fsight.jp/articles/-/41026">シリアのクルド勢力がシリア北部の自治を宣言へ:池内恵 | 池内恵の中東通信 | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト</a>
<ul>
<li><a href="http://nationalinterest.org/feature/vladimir-putin-godfather-kurdistan-15358">Vladimir Putin, Godfather of Kurdistan? | The National Interest</a></li>
<li><a href="http://www.fsight.jp/articles/-/41028">シリアのクルド人勢力の自治への動きに関する報道:池内恵 | 池内恵の中東通信 | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト</a></li>
<li><a href="http://www.fsight.jp/articles/-/41027">シリアのクルド人勢力の自治政府宣言の背後に米露の協調・支持はあるのか?:池内恵 | 中東の部屋 | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト</a></li>
</ul>
</li>
<li><a href="https://wirelesswire.jp/2016/03/51254/">自動運転車のAIが「ドライバー」であるとした米国運輸省の回答の意味(前編)「NHTSAの発表は無人運転車に関するFMVSSの解釈を示しただけ」とは - WirelessWire News(ワイヤレスワイヤーニュース)</a>
<ul>
<li><a href="https://wirelesswire.jp/2016/03/51258/">自動運転車AIが「ドライバー」であるとした米国運輸省の回答の意味(後編)完全自動運転車が問う「人間とテクノロジー」の関係 - WirelessWire News(ワイヤレスワイヤーニュース)</a></li>
</ul>
</li>
</ul>
<h2>参考図書</h2>
<div class="hreview">
<div class="photo"><a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4314009071?tag=baldandersinf-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/51ZRZ62WKCL._SL160_.jpg" width="108" alt="photo"></a></div>
<dl>
<dt class="item"><a class="fn url" href="https://www.amazon.co.jp/dp/4314009071?tag=baldandersinf-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1">暗号化 プライバシーを救った反乱者たち</a></dt>
<dd>スティーブン・レビー (著), 斉藤 隆央 (翻訳)</dd>
<dd>紀伊國屋書店 2002-02-16</dd>
<dd>単行本</dd>
<dd>4314009071 (ASIN), 9784314009072 (EAN), 4314009071 (ISBN)</dd>
<dd>評価<abbr class="rating fa-sm" title="5"> <i class="fas fa-star"></i> <i class="fas fa-star"></i> <i class="fas fa-star"></i> <i class="fas fa-star"></i> <i class="fas fa-star"></i></abbr></dd>
</dl>
<p class="description">20世紀末,暗号技術の世界で何があったのか。知りたかったらこちらを読むべし!</p>
<p class="powered-by">reviewed by <a href='#maker' class='reviewer'>Spiegel</a> on <abbr class="dtreviewed" title="2015-03-09">2015-03-09</abbr> (powered by <a href="https://affiliate.amazon.co.jp/assoc_credentials/home">PA-APIv5</a>)</p>
</div> <!-- 暗号化 プライバシーを救った反乱者たち -->
<div class="hreview">
<div class="photo"><a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4622073455?tag=baldandersinf-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1"><img src="https://m.media-amazon.com/images/I/41bepOIquwL._SL160_.jpg" width="111" alt="photo"></a></div>
<dl>
<dt class="item"><a class="fn url" href="https://www.amazon.co.jp/dp/4622073455?tag=baldandersinf-22&linkCode=ogi&th=1&psc=1">〈海賊版〉の思想‐18世紀英国の永久コピーライト闘争</a></dt>
<dd>山田 奨治 (著)</dd>
<dd>みすず書房 2007-12-20</dd>
<dd>単行本</dd>
<dd>4622073455 (ASIN), 9784622073451 (EAN), 4622073455 (ISBN)</dd>
<dd>評価<abbr class="rating fa-sm" title="5"> <i class="fas fa-star"></i> <i class="fas fa-star"></i> <i class="fas fa-star"></i> <i class="fas fa-star"></i> <i class="fas fa-star"></i></abbr></dd>
</dl>
<p class="description">「コピーライト永久独占を目論む大書店主に挑む〈海賊出版者〉ドナルドソンの肖像。法廷闘争を軸に著作権を史的に考察する。」(帯文より)</p>
<p class="powered-by">reviewed by <a href='#maker' class='reviewer'>Spiegel</a> on <abbr class="dtreviewed" title="2018-11-13">2018-11-13</abbr> (powered by <a href="https://affiliate.amazon.co.jp/assoc_credentials/home">PA-APIv5</a>)</p>
</div> <!-- 〈海賊版〉の思想‐18世紀英国の永久コピーライト闘争 -->
<div class="footnotes" role="doc-endnotes">
<hr>
<ol>
<li id="fn:1">
<p>クリントン政権は最初は暗号技術の輸出規制を撤廃しようと考えていた。それに対抗する方便として暗号チップに「鍵預託」機能を埋め込む方法を提案したわけだ。「鍵預託」を使えば暗号強度を損なうことなく,かつ米国政府はいつでも暗号通信の中身を解読できると売り込んだ。1993年に起きた世界貿易センター破壊テロも追い風になったようだ。 <a href="#fnref:1" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:2">
<p>ある利用が Fair use に該当するかどうかは「利用の目的や本質」「原作品の本質」「抜粋の量や実質性」「原作品の価値への影響」という4つの観点で議論される。 <a href="#fnref:2" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:3">
<p>漫画アプリとか一部は既にそうなってるけど。でもそれってもう「本」のメタファーから外れてる気はするけどね。 <a href="#fnref:3" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
</ol>
</div>
二次的著作物と CC Licenses
tag:text.Baldanders.info,2016-01-26:/cc-licenses/04-derivative-works/
2016-01-26T11:29:34+00:00
2023-06-19T12:34:26+00:00
CC Licenses では「改変禁止」条件がなければ「翻案物を作成、複製および共有すること」を許諾する。また翻案物を受け取ったユーザは原著作者の許諾を(提示されている CC Licenses の条件に従って)自動的に得る。
Spiegel
https://baldanders.info/profile/
<p>今回は「二次的著作物」について。</p>
<ol>
<li><a href="#about">「二次的著作物」とは</a></li>
<li><a href="#ccl">CC Licenses による改変の許諾</a></li>
<li><a href="#cl">Copyleft のすすめ</a></li>
<li><a href="#parody">パロディについて</a></li>
<li><a href="#niji">二次創作のみを許可したい</a></li>
<li><a href="#nd">「改変禁止」が意図するもの</a></li>
</ol>
<h2 id="about">「二次的著作物」とは</h2>
<p><a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a>第2条では「二次的著作物」は以下のように定義されている。</p>
<figure>
<blockquote>
<q>著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案することにより創作した著作物をいう。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048">著作権法</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>「創作」的であることが重要で,「既存の著作物の修正増減に創作性が認められるが、原著作物の表現形式の本質的な特徴が失われるに至っていない場合<sup id="fnref:1"><a href="#fn:1" class="footnote-ref" role="doc-noteref">1</a></sup>」に二次的著作物と見なされる。
たとえばフォーマット変換や機械翻訳(点字などへの置き換え)などは「逐語的コピー」と呼ばれ複製と見なされる<sup id="fnref:2"><a href="#fn:2" class="footnote-ref" role="doc-noteref">2</a></sup>。</p>
<p>具体的には</p>
<ul>
<li>翻訳</li>
<li>編曲</li>
<li>変形(美術、写真、建築物、地図・図形の著作物で用いられることが多い)</li>
<li>脚色</li>
<li>映画化</li>
<li>翻案(上述した以外の全て。コミカライズやノベライズ,文章の要約,あるいはプログラムのバージョンアップや他言語への移植なども含まれる)</li>
</ul>
<p>といった感じに分類されるが,一絡げに「翻案」または「改変」と表記されることが多い。
<a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> では二次的著作物に相当するものを「翻案物(Adapted Material)<sup id="fnref:3"><a href="#fn:3" class="footnote-ref" role="doc-noteref">3</a></sup>」としている。</p>
<figure>
<blockquote>
<q><strong>「翻案物」</strong>とは、著作権およびそれに類する権利の対象となり、ライセンス対象物について許諾者が有する著作権およびそれに類する権利に基づく許諾が必要とされるような形で、翻訳され、改変され、編集され、変形され、またはその他の方法により変更されたマテリアルで、ライセンス対象物から派生したか、またはライセンス対象物に基づくものを意味します。本パブリック・ライセンスにおいては、ライセンス対象物が音楽作品、実演または録音物で、これらが動画と同期させられる場合には、翻案物が常に作成されることになります。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/legalcode.ja">クリエイティブ・コモンズ (Creative Commons) — 表示-継承 4.0 国際</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>著作(権)者は自身の著作物に対して</p>
<ul>
<li>二次的著作物の作成に関する権利(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第27条)</li>
<li>二次的著作物の利用に関する原著作者の権利(<a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048" title="著作権法">著作権法</a> 第28条)</li>
</ul>
<p>の2つの権利を持っている。
ポイントは二次的著作物の原著作者(元の著作物の著作者)も二次的著作物に対して一連の著作財産権を持っていることである。</p>
<figure>
<blockquote>
<q>二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=345AC0000000048">著作権法</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>つまり,ユーザが二次的著作物を利用したいと考えるなら,二次的著作物の著作(権)者と原著作(権)者の双方から許可を得る必要がある。</p>
<h2 id="ccl">CC Licenses による改変の許諾</h2>
<p><a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> では「改変禁止 <span><i class="fab fa-creative-commons-nd"></i></span>」条件がなければ「翻案物を作成、複製および共有すること」を許諾する。
また翻案物を受け取ったユーザは原著作者の許諾を(提示されている <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> の条件に従って)自動的に得る<sup id="fnref:4"><a href="#fn:4" class="footnote-ref" role="doc-noteref">4</a></sup>。</p>
<figure>
<blockquote>
<q>あなたから翻案物を受領した者は、あなたが適用した翻案者のライセンスの条件にしたがった翻案物におけるライセンスされた権利を行使できるという申出を自動的に許諾者から受け取ります。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/legalcode.ja">クリエイティブ・コモンズ (Creative Commons) — 表示-継承 4.0 国際</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>つまり,原マテリアルとその翻案物の双方が <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> で許諾されているなら,双方のライセンス条件に従って翻案物も利用することができる。</p>
<p>なお <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> では「表示 <span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i></span>」条件が必須になっているため,翻案物およびその複製や翻案物に対しても原著作者のクレジット表示が必要になる<sup id="fnref:5"><a href="#fn:5" class="footnote-ref" role="doc-noteref">5</a></sup>。</p>
<h2 id="cl">Copyleft のすすめ</h2>
<p>二次的著作物については原著作物の許諾条件と二次的著作物の許諾条件の両方に従う必要がある。
原著作物が <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> で許諾されている場合でも,その翻案物が <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> で許諾されていない場合は利用条件が著しく制限される場合がある(まぁ原著作物から派生させる手もあるのだが)。
また原著作物とその翻案物の双方が <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> で許諾されているとしても両者の条件が異なれば,やはりそれも制限になってしまう。</p>
<p>もし翻案物も含めてマテリアルを広く共有したいと望むのであれば「継承 <span><i class="fab fa-creative-commons-sa"></i></span>」条件を付加することをお勧めする。
「継承 <span><i class="fab fa-creative-commons-sa"></i></span>」条件が付加されている場合は,翻案物に対しても同等のライセンス<sup id="fnref:6"><a href="#fn:6" class="footnote-ref" role="doc-noteref">6</a></sup> を付加することが求められる。</p>
<p>このようなライセンスの仕組みは <a href="http://www.gnu.org/licenses/copyleft.html" title="コピーレフトって何? - GNUプロジェクト - フリーソフトウェアファウンデーション">Copyleft</a> と呼ばれている。
<a href="http://www.gnu.org/licenses/copyleft.html" title="コピーレフトって何? - GNUプロジェクト - フリーソフトウェアファウンデーション">Copyleft</a> の起源は <a href="https://www.gnu.org/copyleft/gpl.html">GNU GPL(General Public License)</a> であるが, <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> においても「継承 <span><i class="fab fa-creative-commons-sa"></i></span>」条件よって <a href="http://www.gnu.org/licenses/copyleft.html" title="コピーレフトって何? - GNUプロジェクト - フリーソフトウェアファウンデーション">Copyleft</a> もしくはそれに近いライセンスを構成できる<sup id="fnref:7"><a href="#fn:7" class="footnote-ref" role="doc-noteref">7</a></sup>。</p>
<p><a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> で「継承 <span><i class="fab fa-creative-commons-sa"></i></span>」条件が付くのは以下の2つである。</p>
<figure style='margin:0 auto;text-align:center;'>
<table>
<tbody>
<tr>
<th class='left fa-2x'><span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i> <i class="fab fa-creative-commons-sa"></i></span></th>
<th class='left'>表示-継承</th>
<td><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/">コモンズ証</a>(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/deed.ja">日本語</a>)<br><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/legalcode">法的条項</a>(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/legalcode.ja">日本語</a>)<br><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/rdf">メタデータ</a></td>
</tr><tr>
<th class='left fa-2x'><span><i class="fab fa-creative-commons-by"></i> <i class="fab fa-creative-commons-nc"></i> <i class="fab fa-creative-commons-sa"></i></span></th>
<th class='left'>表示-非営利-継承</th>
<td><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/">コモンズ証</a>(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja">日本語</a>)<br><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/legalcode">法的条項</a>(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/legalcode.ja">日本語</a>)<br><a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/rdf">メタデータ</a></td>
</tr>
</tbody>
</table>
<figcaption><div>Creative Commons Licenses Version 4.0 International</div></figcaption>
</figure>
<p><a href="http://www.gnu.org/licenses/copyleft.html" title="コピーレフトって何? - GNUプロジェクト - フリーソフトウェアファウンデーション">Copyleft</a> はプログラミングの世界でも「ウイルス的」と揶揄されることもあるが,共有を維持するには必要な仕掛けだと思う。
<a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> の使われ方を見ても,<a href="https://stateof.creativecommons.org/2015/">2015年時点</a>では「<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/" title="Creative Commons — Attribution-ShareAlike 4.0 International — CC BY-SA 4.0">表示-継承</a>」条件が37%で最も多い。
この機会に検討してみてはいかがだろうか。</p>
<p>なお <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> は<a href="https://text.baldanders.info/cc-licenses/01-copyright/#fair-use">「公正な利用(fair use)」や「著作権の制限」</a>として利用が認められていることに対しては効力が及ばないため, <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> の条件に関わらず利用可能である。</p>
<h2 id="parody">パロディについて</h2>
<p>海外では,パロディ・風刺について「公正な利用(fair use)」としてある程度認められている国もあるが,日本ではパロディに関する規定そのものがない。
そのため現状では「引用」か「翻案」かで線引されることになる<sup id="fnref:8"><a href="#fn:8" class="footnote-ref" role="doc-noteref">8</a></sup>。</p>
<p>商業作品の場合は(防衛のために)あらかじめオリジナル作品の著作(権)者から許可を得ていることもあるようだが,そうでない場合は特に悪質なものでない限り「黙認」されているのが現状のようだ。
しかし,いったん訴訟になった場合,パロディが「引用」として認められるのはかなり難しいと思われる。</p>
<h2 id="niji">二次創作のみを許可したい</h2>
<p><a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> では,どの条件の組み合わせでもマテリアルの複製や配布を(条件に従う限りは)制限しない。
これは <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> を適用したマテリアルやその翻案物がインターネット上に置かれることを前提にしたものだからである<sup id="fnref:9"><a href="#fn:9" class="footnote-ref" role="doc-noteref">9</a></sup>。
しかしインターネットに乗らないマテリアル(紙の書籍, CD や DVD/BD でパッケージされた楽曲や映像など)は旧来の流通経路でコントロールする必要があるため <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> とは馴染まない側面があるのも確かだ。</p>
<p>「複製・配布は許可できないが二次創作は許可したい」という需要に対応するため,かつて <a href="https://creativecommons.org/" title="Creative Commons">Creative Commons</a> では翻案のみを許可する「サンプリング・ライセンス(sampling license)」の作成が試みられた。
ただ,この試みはうまくいかなかったようで,現在サンプリング・ライセンスは retire している。</p>
<p>少なくとも <a href="https://creativecommons.org/" title="Creative Commons">Creative Commons</a> では翻案のみを許可するライセンス・ツールは存在しない。
このような要件がある場合は独自にライセンスを構築するしかない。</p>
<h3>同人マーク・ライセンス</h3>
<p>「二次創作のみを許可したい」という要件に対して,日本での試みとして「<a href="http://commonsphere.jp/doujin-license-1/" title="同人マーク・ライセンス 1.0 | commonsphere">同人マーク・ライセンス</a>」がある。
これは日本の「同人市場」という特殊商慣行に特化したライセンスで,原著作物の複製・配布を禁止する代わりに,二次的著作物の作成とその複製・配布を許可している。
ただしいくつか条件があって</p>
<figure>
<blockquote>
<q>許諾者は、利用者に対し、本作品について、全世界において、本作品の著作権の存続期間中、本ライセンスの各条項に従い、利用者自身が、二次創作同人誌を作成し、同人誌即売会において配布すること(有償および無償の場合双方を含みます。また、インターネット配信やCD、DVD等のデジタルメディアでの配布などのデジタルデータによる配布は除きます。以下同じ)を非独占的に許諾します。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="http://commonsphere.jp/doujin-license-1/">同人マーク・ライセンス 1.0</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>とあるとおり,媒体は「二次創作同人誌」に限られ,配布経路も「同人誌即売会」に限られる。
たとえば,同人誌即売会に出品しない(本来的な意味での)二次創作同人誌は原著作物に「<a href="http://commonsphere.jp/doujin-license-1/" title="同人マーク・ライセンス 1.0 | commonsphere">同人マーク・ライセンス</a>」があろうと(著作(権)者から別途許諾がない限り) NG である。</p>
<p>最近(2013年)になって「<a href="http://commonsphere.jp/doujin-license-1/" title="同人マーク・ライセンス 1.0 | commonsphere">同人マーク・ライセンス</a>」が提唱された背景には「環太平洋パートナーシップ(Trans-Pacific Partnership; TPP)協定」の知財分野における「著作権の非親告罪化」が挙げられる。
もし「著作権の非親告罪化」が日本で成立すれば同人市場は壊滅状態になると予想されている<sup id="fnref:10"><a href="#fn:10" class="footnote-ref" role="doc-noteref">10</a></sup>。
いわばこれは作家たちによる自己防衛的ライセンスであると言える。</p>
<p>同人市場に限らず日本では事後承諾的に著作物を利用する慣習があり(たとえば<a href="#parody">パロディ</a>や勝手翻訳など),こういったものも軒並み「著作権の非親告罪化」に引っかかることになるだろう。
しかもこれに(同じく TPP で決まった)「法定賠償制度」も加われば巨額の賠償金を払わされる可能性がある。
これにより日本においても「<a href="https://www.eff.org/issues/copyright-trolls">著作権トロル</a>」が台頭することになる。
むしろこちらの方が深刻である。
これについて文化庁は</p>
<figure>
<blockquote>
<q>著作権等侵害罪の一部非親告罪化については、TPP協定において非親告罪化が義務づけられている範囲及びその趣旨を踏まえつつ、我が国の二次創作文化への影響に十分配慮し、適切に非親告罪の範囲を定めること</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20151111_730105.html">TPPで“違法ダウンロード”適用拡大も、文化庁の審議会で再び検討か -INTERNET Watch</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>などとしているが,翻案は「二次創作文化」だけではなく日常生活の広い範囲に関わる「活動」である。
「<a href="https://text.baldanders.info/cc-licenses/01-copyright/">著作権と著作権法</a>」でも書いたが,ユーザを無視した知財政策を続けていると本当に「ガラパゴス」になっちゃうよ。</p>
<h2 id="nd">「改変禁止」が意図するもの</h2>
<p><a href="https://creativecommons.org/" title="Creative Commons">Creative Commons</a> は名前の通り「創造性の共有地<sup id="fnref:11"><a href="#fn:11" class="footnote-ref" role="doc-noteref">11</a></sup>」を創り広げることを目的(のひとつ)としている。
ならば <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> に「改変禁止 <span><i class="fab fa-creative-commons-nd"></i></span>」条件を加えることは <a href="https://creativecommons.org/" title="Creative Commons">Creative Commons</a> の目的に反するのではないだろうか。</p>
<p>これに関しては以下の記事が参考になる。</p>
<ul>
<li><a href="https://web.archive.org/web/20170312154035/http://d.hatena.ne.jp/ced/20060720/1153344179">by-nc-nd - 雑記帳(Internet Archive より)</a></li>
</ul>
<p>この記事によると <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> の機能は以下のふたつに分類できる。</p>
<ol>
<li>making derives (creation:創造)</li>
<li>dissemination (access:アクセス)</li>
</ol>
<p>この分類で考えるなら「改変禁止 <span><i class="fab fa-creative-commons-nd"></i></span>」条件は主に dissemination (access) にフォーカスしたものであると解釈することができる。</p>
<figure>
<blockquote>
<q>ここからが思考のアクロバットを必要とする部分。インターネットは「技術的」にはコピーが自由。けれども、インターネットとは別の次元でこれまで発展してきた著作権法は、このような「コピー自由」な環境が存在することを想定していなかった。で、現時点でも「コピー自由」な環境に著作権法は対応していない。だから、「技術的」にはインターネット上で簡単にコピー出来てしまう素材も、現実世界の著作権法の元ではその利用は違反となってしまう。それを解決するのがCCのby-nc-ndで、手を加えないならコピー自由、という行為をライセンスというかたちで保証している。これにより、素材のインターネット上での頒布が可能となる。</q>
</blockquote>
<figcaption><div><q><a href="http://d.hatena.ne.jp/ced/20060720/1153344179">by-nc-nd - 雑記帳</a></q>より</div></figcaption>
</figure>
<p>確かに「改変禁止 <span><i class="fab fa-creative-commons-nd"></i></span>」条件を加えると <a href="https://creativecommons.org/" title="Creative Commons">Creative Commons</a> が本来欲しい making derives (creation) としての機能は弱くなる。
しかし「改変禁止 <span><i class="fab fa-creative-commons-nd"></i></span>」条件を加えることによって,少なくとも(“all rights reserved” な状態と比較すれば) dissemination (access) は担保できる。</p>
<p>これも大事な「共有」の形である。
逃す手はないだろう。</p>
<h2>参考になる(かもしれない) Web ページ</h2>
<ul>
<li><a href="http://onm-tm.jp/news/%EF%BD%91%EF%BC%97%EF%BC%8E%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%81%AE%E8%91%97%E4%BD%9C%E6%A8%A9%E6%B3%95%E4%B8%8A%E3%81%AE%E5%8F%96%E6%89%B1%E3%81%84%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84">キャラクターの著作権法上の取扱いについて | 大島・西村・宮永商標特許事務所</a></li>
<li><a href="http://otapol.jp/2014/09/post-1542.html">スクウェア・エニックスの著作権侵害の可能性はグレー!? 『ハイスコアガール』問題について福井健策弁護士に話をうかがってみた|おたぽる</a></li>
<li><span><a href="http://www.law.nihon-u.ac.jp/publication/pdf/chizai/4/04.pdf">米国著作権法におけるパロディとフェア・ユース/差止め請求 −パロディに関する裁判例と,小説の続編出版が問題とされた最近の事例から− <sup><i class="far fa-file-pdf"></i></sup></a></span></li>
<li><span><a href="http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seminar/contents_symposium/08/pdf/akamatsu.pdf">二次創作における「意思表示システム」の提唱 <sup><i class="far fa-file-pdf"></i></sup></a></span></li>
<li><a href="http://www.yamdas.org/column/technique/cctrans.html">クリエイティブ・コモンズ・ライセンスのブログ翻訳のススメ</a></li>
<li><a href="https://blog.creativecommons.org/2015/10/08/cc-by-sa-4-0-now-one-way-compatible-with-gplv3/">CC BY-SA 4.0 now one-way compatible with GPLv3 - Creative Commons Blog - Creative Commons</a> (<a href="http://creativecommons.jp/2016/01/25/cc-by-sa-%EF%BC%88%E8%A1%A8%E7%A4%BA-%E7%B6%99%E6%89%BF%EF%BC%89-4-0%E3%81%8B%E3%82%89gpl-v3%E3%81%B8%E3%81%AE%E4%B8%80%E6%96%B9%E5%90%91%E3%81%AE%E4%BA%92%E6%8F%9B%E3%81%8C%E5%AE%9F%E7%8F%BE/">日本語訳</a>)</li>
<li><a href="https://stateof.creativecommons.org/2015/">Creative Commons — State of the Commons 2015 — It’s been a remarkable year, most notably for the more than 1.1 billion works under one of the CC licenses, CC0, or the public domain mark.</a></li>
<li><a href="http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/20151111_730105.html">TPPで“違法ダウンロード”適用拡大も、文化庁の審議会で再び検討か -INTERNET Watch</a></li>
<li><a href="https://creativecommons.org/campaigns/trans-pacific-partnership-would-harm-user-rights-and-the-commons/">Trans-Pacific Partnership Would Harm User Rights and the Commons - Creative Commons - Creative Commons</a></li>
<li><a href="https://text.baldanders.info/remark/2018/11/copyright-law-is-revised/">年末年始に施行される改正著作権法に関する覚え書き</a> : 2018年末施行の改正著作権法から特定の条件下で非親告罪が適用されることとなった</li>
<li><a href="https://news.yahoo.co.jp/byline/kuriharakiyoshi/20201008-00201963/">知財高裁でBL同人作品の無断コピーは著作権侵害という当たり前の判決(栗原潔) - 個人 - Yahoo!ニュース</a> : 後半の「キャラクタの二次的著作物」の権利関係は参考になる</li>
</ul>
<div class="footnotes" role="doc-endnotes">
<hr>
<ol>
<li id="fn:1">
<p><span><a href="http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/827/013827_hanrei.pdf">「アンコウ行灯事件」判決文 <sup><i class="far fa-file-pdf"></i></sup></a></span>より。 <a href="#fnref:1" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:2">
<p>他にも漫画のキャラクタなどを似せて描いた場合も,翻案ではなく,複製と見なされる場合がある。文脈とか,どの程度似てるかとかにもよるだろうけど。 <a href="#fnref:2" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:3">
<p><a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> は著作隣接権で保護されるものも含む形で許諾しているためこのような表現になる。詳しくは「<a href="http://creativecommons.jp/2015/07/15/cc%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B34-0-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E7%89%88%E3%81%AE%E5%85%AC%E9%96%8B/">CCライセンス・バージョン4.0 日本語版の公開 | クリエイティブ・コモンズ・ジャパン</a>」を参照のこと。 <a href="#fnref:3" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:4">
<p><a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> ではサブライセンスを禁止しているため,翻案物に対する許諾の一方を直に原著作者から得る,という形になっている。 <a href="#fnref:4" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:5">
<p>クレジット表示については<a href="https://text.baldanders.info/cc-licenses/02-creative-commons-licenses/#attribution">前に書いた記事</a>を参照のこと。 <a href="#fnref:5" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:6">
<p>「同等のライセンス」として同じ条件の <a href="https://creativecommons.org/licenses/" title="ライセンスについて - Creative Commons">CC Licenses</a> (他バージョンを含む)が挙げられる。また「<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/" title="Creative Commons — Attribution-ShareAlike 4.0 International — CC BY-SA 4.0">表示-継承</a>」については <a href="http://artlibre.org/licence/lal/en/">Free Art License</a> 1.3 や <a href="https://www.gnu.org/copyleft/gpl.html">GNU GPL</a>v3 も互換性のあるライセンスとして認められている。 <a href="#fnref:6" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:7">
<p>ただし厳密に <a href="http://www.gnu.org/licenses/copyleft.html" title="コピーレフトって何? - GNUプロジェクト - フリーソフトウェアファウンデーション">Copyleft</a> と言えるのは「<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/" title="Creative Commons — Attribution-ShareAlike 4.0 International — CC BY-SA 4.0">表示-継承</a>」条件のみである。 <a href="#fnref:7" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:8">
<p>パロディはいわゆる「パクり」(一般的には「剽窃」)とは異なる。「替え歌」や短歌の「本歌取り」もパロディの一種と考えられる。米国における parody と fair use の関係については「<span><a href="http://www.law.nihon-u.ac.jp/publication/pdf/chizai/4/04.pdf">米国著作権法におけるパロディとフェア・ユース/差止め請求 −パロディに関する裁判例と,小説の続編出版が問題とされた最近の事例から− <sup><i class="far fa-file-pdf"></i></sup></a></span>」が参考になる。 <a href="#fnref:8" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:9">
<p>そもそもインターネットはコピーの連鎖で成り立っているものだし,無理に制限しようとすればユーザ側の「使用」や「公正な利用」まで侵害しかねない。 <a href="#fnref:9" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:10">
<p>さる調査によると<a href="http://www.gamespark.jp/article/2016/01/19/63159.html">2015年の同人誌市場は757億円規模</a>だそうだ。そりゃあ狙われるよねぇ(笑) まぁ同人市場は同人誌だけじゃないし同人誌と言ってもいろいろあるので,二次創作が実際にどの程度かは分からないけど数十億から数百億の規模でもおかしくないだろう。 <a href="#fnref:10" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
<li id="fn:11">
<p>翻訳は「<a href="http://www.ibm.com/developerworks/jp/xml/library/x-think18/">XML的思索:創造性の共有 機械可読ライセンスによるクリエイティブな作品の育成と流通</a>」のタイトルから拝借した。リンク切れててゴメン(<a href="https://web.archive.org/web/20091202161418/http://www.ibm.com/developerworks/jp/xml/library/x-think18/">Internet Archive</a>)。 <a href="#fnref:11" class="footnote-backref" role="doc-backlink">↩︎</a></p>
</li>
</ol>
</div>