Windows 用の SSH クライアントソフトである PuTTY について ECDSA 署名に絡んで秘密鍵が漏洩するリスクがあるらしい。
上の引用の通り,対象となるのは PuTTY 0,68 から 0.80 までのバージョン。
最新の 0.81 で修正されている。
なお FileZilla, WinSCP, TortoiseGit, TortoiseSVN といったアプリケーションには PuTTY がバンドルされていることがあるので,これらのアップデート情報にも注意すること。
PuTTY は年に1,2回くらいの頻度でセキュリティ・アップデートが発生するので(ちゃんとメンテされてる証拠),バンドル品は使わないほうがいいと思うなぁ。
日本語カスタム版は PuTTY-ranvis がおすすめ。
こちらも 0.81 がリリースされた。
厄介なことに今回はアプリケーションを更新しただけではダメで,認証鍵を新しいものに差し替える必要があるかも知れない。
ただし対象となるのは NIST P-521 楕円曲線を使った ECDSA 鍵のみ。
それ以外はとりあえずセーフということで(笑)
今回の脆弱性は ECDSA 署名時に使用する nonce を生成するための乱数生成に起因するものらしい。
以前から DSA/ECDSA の実装上のネックとなっているのがこの乱数生成部分で,ここの実装をサボると秘密鍵の漏洩に繋がることが知られている。
まぁ,今回はサボったわけではないだろうが,何らかの不備があったということだろう。
というわけで,新たに認証鍵を作成するのなら EdDSA (ed25519 曲線) 鍵にすることをお勧めする。
EdDSA は2023年にリリースされた NIST FIPS 186-5 に標準として正式に組み込まれたので,仕事用でも大手を振って使ってよい。
以下未稿。
ブックマーク
参考
- 暗号技術入門 第3版 秘密の国のアリス
- 結城 浩 (著)
- SBクリエイティブ 2015-08-25 (Release 2015-09-17)
- Kindle版
- B015643CPE (ASIN)
- 評価
SHA-3 や Bitcoin/Blockchain など新しい知見や技術要素を大幅追加。暗号技術を使うだけならこれ1冊でとりあえず無問題。
reviewed by Spiegel on 2015-09-20 (powered by PA-APIv5)
- 暗号化 プライバシーを救った反乱者たち
- スティーブン・レビー (著), 斉藤 隆央 (翻訳)
- 紀伊國屋書店 2002-02-16
- 単行本
- 4314009071 (ASIN), 9784314009072 (EAN), 4314009071 (ISBN)
- 評価
20世紀末,暗号技術の世界で何があったのか。知りたかったらこちらを読むべし!
reviewed by Spiegel on 2015-03-09 (powered by PA-APIv5)