『決してマネしないでください』
Hugo で HTML 構文混じりの Markdown を上手く処理できるか実験。
私は嗜好が他の人とは少しズレてるみたいで(マイナー志向というわけではないよ)他人様が薦めるものを面白いと感じることが少ないのだが,これはまぁまぁ面白かった。
タイトルから『子どもが体験するべき50の危険なこと』みたいなのを連想したのだけど,そうではなくて,科学史の trivial な話題を面白おかしく紹介する漫画らしい。 こういうの面白いけど飽きるのも早いんだよなぁ。
あぁでも蒸気滅菌装置で蒸かし芋を作るのは思いつかなかったなぁ。 ホンマ,アカデミック・エリアに居る人は経済観念がめちゃくちゃだよね(褒め言葉)。
科学とは失敗の歴史であり間違いの歴史でもある。 ひとつの成功の足元には八百万の蛍火の如き失敗や間違いが横たわっている。 その成功を正しく理解するためには,「過程」としての失敗や間違いも併せて識る必要がある。 これが「科学史」の学問としての存在意義だと思う。
これは通常の「歴史」とは少し意味合いが違う。 通常の「歴史」は「同じ轍を踏まない」ための教訓として役に立っているのだろうが,科学や技術においては成功と失敗を込みにして評価する必要がある。 つまり「◯◯で失敗した」というのなら,その失敗も込みで再現できなければならないし,その失敗も成功と同じように記述しなくてはならない。 論文=業績 と考えている人には許容できないだろうけど。
そしてその失敗を試してみようと考えるのが「科学者」や「技術者」としての正しい態度だと思う(実際には大昔の実験のなかには危なかったり(現在の)倫理的に無理なものもあるけどね)。 この作品を見て「ナトリウムの塊を池に投げ込むとか,やってみてー」とか思ったなら貴方は科学者に向いている(かもしれない)。
この作品は漫画なので,ただ面白おかしく読めればそれでいいのだろうけど,個人的にはあとがきに寄せられている文章が少し救いになってるな,とは思った。
そうそう。この作品が面白いと思った人には,以下に紹介する本もお勧めする。
- 決してマネしないでください。(1) (モーニングコミックス)
- 蛇蔵 (著)
- 講談社 2014-12-22 (Release 2014-12-22)
- Kindle版
- B00R2OALNI (ASIN)
- 評価
科学史の trivial な話題を面白おかしく紹介する漫画,らしい。
- 子どもが体験するべき50の危険なこと (Make: Japan Books)
- Gever Tulley (著), Julie Spiegler (著), 金井 哲夫 (翻訳)
- オライリージャパン 2011-05-26
- 単行本(ソフトカバー)
- 4873114985 (ASIN), 9784873114989 (EAN), 4873114985 (ISBN)
- 評価
ただ守るだけではダメなのよ。
- 闇をひらく光 〈新装版〉: 19世紀における照明の歴史
- ヴォルフガング・シヴェルブシュ (著), 小川 さくえ (翻訳)
- 法政大学出版局 2011-12-09
- 単行本
- 4588276484 (ASIN), 9784588276484 (EAN), 4588276484 (ISBN)
- 評価
新装版が出てるのか。Kindle 化希望。光とエネルギーを巡る近代史。街灯破壊運動など現代監視社会への暗合と思えるような点も面白い。
- テスラ―発明的想像力の謎
- 新戸 雅章 (著)
- 工学社 2002-02-01
- 単行本
- 4875932685 (ASIN), 9784875932680 (EAN), 4875932685 (ISBN), 9784875932680 (ISBN)
- 評価
正直,伝記本とは言いがたいが,読み物としては面白い。