鬼(もの)のインターネット
もともとの Internet of Things はいわゆる Sensorware の文脈で語られたもののようだが,2010年代に入って定義が変質する(よくある話)。
たとえば「特定通信・放送開発事業実施円滑化法」には以下の記述がある。
また経産省の「IoTセキュリティガイドライン ver1.0 」では ITU の定義を引いて
と記してある。
ポイントは「モノ(things)」自体は単なる PC (Programmable Controller) に過ぎず(intelligent ではない),その制御は主にインターネット側の「(intelligent な)誰か」が行う点にある。 問題は「モノ」を制御する「誰か」も programmable (というか hackable)であることで,更にその「モノ」が無数(それこそ何億という単位で)にネットに繋がってしまっていることだ。 まるで「蛍火の光く神」の如く(笑)
つまり,今のインターネットでは,手段の如何に関わらず,より多くの「モノ」を自分たちの陣営に「包摂」した者こそが「覇権」を握るのである。 量こそ正義! まさに近代の夢,民主主義の典型ではないか(笑)
先日の DDoS のように,包摂された「モノ」が犯罪に使われれば確かにセキュリティ問題と言えるが,一方でこれが政治宣伝に利用されれば政治問題だし,軍事作戦に使われれば軍事問題である。 あるいはもっとつつましく家中のスマート家電を操って特定のお店でしか買い物をしないよう仕向ける,なんてなこともできるかもしれない。
まったく “The Democratization of Censorship” とはよく言ったものである。
ブックマーク
- 「モノのインターネット」–定義はどこまで拡散するのか - ZDNet Japan
- Sensorware(前編)
- エフセキュアブログ : スマートホームの安全を保つ方法
- モノのインターネットはすさまじく危険だ - そして多くはパッチ不可能である by Bruce Schneier (The Internet of Things Is Wildly Insecure - And Often Unpatchable)
- IoTデバイスがハッキングされやすい簡単な理由 | Business Security Insider Japan
- 我々は「モノのインターネット」からインターネットを守る必要がある、ところまで来てしまったのか - YAMDAS現更新履歴 : この記事のリンク先も必見