『Goプログラミング実践入門』を眺める
原書のタイトルが “Go Web Programming" となっている通り,『Goプログラミング実践入門』は「Web アプリケーションまたはサービスのプログラミング」について Go 言語のコードを使って解説している本である。 しかも「実践入門」というよりは基礎学習に近い内容。 したがって既に現場でばりばりコードを書いてる人には物足りないだろう。 そういう人は(少し前に出た本だけど)オライリー・ジャパンの『Go言語によるWebアプリケーション開発』のほうがいいかもしれない。
特徴的なのが, Echo のような有名どころのフレームワークは使わず, net
/http
や html
/template
といった標準パッケージのみで解説しているところ1。
大昔によくあった, TCP/IP の解説を C 言語コードで行ったり CGI (Common Gateway Interface) の解説を Perl のコードで行ってた技術解説本のようなノリがあってなかなか楽しく読めた。
Web アプリケーション以外でもそうだけど,フレームワークって「中身」がちゃんと分かってないと適切に使えないよね。
そういう意味ではよく出来てると思う。
個人的には context
パッケージについて解説があるとなおよかったが, Go 言語 の 1.6 をベースに書かれているので無理か。
参考図書
- Goプログラミング実践入門 標準ライブラリでゼロからWebアプリを作る impress top gearシリーズ
- Sau Sheong Chang (著), 武舎 広幸 (著), 阿部 和也 (著), 上西 昌弘 (著)
- インプレス 2017-03-17 (Release 2017-03-17)
- Kindle版
- B06XKPNVWV (ASIN)
- 評価
Web アプリケーションまたはサービスについて Go 言語のコードで解説。
- Go言語によるWebアプリケーション開発
- Mat Ryer (著), 鵜飼 文敏 (監修), 牧野 聡 (翻訳)
- オライリージャパン 2016-01-22
- 大型本
- 4873117526 (ASIN), 9784873117522 (EAN), 4873117526 (ISBN)
- 評価
日本語監訳者による解説(付録 B)が意外に役に立つ感じ。 Web アプリケーションだけでなく,サーバサイドで動く CLI アプリへの言及もある。良書だが今となってはちょっと内容が古い。
-
テストフレームワークや ORM (Object-Relational Mapping) についてはサードパーティのパッケージも紹介している。また RDBMS のドライバは標準パッケージとしては提供されないので,サードパーティのパッケージが使われている(『Goプログラミング実践入門』では PostgreSQL なので
github.com/lib/pq
を使用)。 ↩︎