AI と哲学?
この記事は2017年7月頃に Facebook の TL に書き散らしてた記事を再構成したものです。
ちなみに『そろそろ、人工知能の真実を話そう』は読んでません。 正直,哲学とかお腹いっぱいなのでもういいって感じですが,この本は面白そうなので,時間ができたら読んでもいいかもしれない。
もし読んで考えが変わったら読書感想文でも書くかな(笑)
AI の議論には2つの方向性がある。 ひとつは「人を超える知性」の創造で,もうひとつは「スマートな機械」の台頭だ。
前者はいわゆる「近代の夢」であり,それこそ「フランケンシュタインの怪物」から「鉄腕アトム」まで人々が夢(悪夢を含む)見てきたことなのだ。 しかし,これに関して人類は挫折し続けている。 現在においてもまだ無理だろう。 また「人を超える知性」の創造は大抵の宗教で禁忌とされている(何故ならそれは人ではなく神の御業だから)。 AI 恐怖症患者が抱く嫌悪感の要因(のひとつ)はこの辺にあると思う。
後者は「情報化社会」の先に必然的に訪れるものだ。 これはかつて『第三の波』で予言され今のところ概ねその通りに進行している。 それは一方で「労働者」という名で美化された(私を含む)奴隷達の解放であり,もう一方で私たちの多くが自らの存在理由を見失う暗い未来でもある。 情報化社会は「労働者」の存在が資本主義の必要条件ではないと示しつつあるからだ。
AI を巡る議論では両者は明確に区別する必要がある。 しかし,「人を超える知性」であれ「スマートな機械」であれ,哲学はそれを記述できない。 哲学どころか「人を逸脱する存在」を真面目に議論できる(宗教ではなく)学問は古今東西存在しない。 既存のどんな学問に当てはめようとしても全て机上の空論に終わるだろう。
問題はそこなのである。
- そろそろ、人工知能の真実を話そう (早川書房)
- ジャン=ガブリエル ガナシア (著), 小林 重裕・他 (翻訳), 伊藤 直子 (監修)
- 早川書房 2017-05-25 (Release 2017-05-31)
- Kindle版
- B071FHBGW8 (ASIN)
- 評価
シンギュラリティは起きない。
- 社会は情報化の夢を見る (河出文庫)
- 佐藤俊樹 (著)
- 河出書房新社 2010-09-03 (Release 2016-07-29)
- Kindle版
- B01J1I8PRQ (ASIN)
- 評価
1996年に出版された『ノイマンの夢・近代の欲望―情報化社会を解体する』の改訂新装版。しかし内容はこれまでと変わりなく,繰り返し語られる技術決定論を前提とする安易な未来予測を「情報化」社会論だとして批判する。