新元号「文字」という技術的負債

no extension

最初に言っておくと,私は「日常生活に元号は必要ない」と思っている。 私の自動車運転免許証は「平成33年まで有効」なんだぜ。 平成33年なんか永遠に来ないんだから,更新せずに死ぬまで(または免許証を返上するまで)使っていいってことか(笑)

経済産業省 国際電気標準課によれば「新元号の合字へコードを割り当てる検討が始まっている」。これまでの元号については「㍻」は「U+337B」、「㍼」は「U+337C」、「㍽」は「U+337D」、「㍾」は「U+337E」のコードがそれぞれ割り当てられている。新元号に割り当てるコードについては、ISO(国際標準化機構)の規格を議論する委員会「ISO/IEC JTC 1」(ISO/IEC合同技術委員会)の分科委員会で検討するという。

まじか。 いや,馬鹿か!

この手の「互換文字」は他の文字セット(既存の JIS 文字セットや Shift-JIS 外字など)との互換性のために収録されているものであり,本来あるべきではない「重複符号化」である。

もし Unicode に収録するとなると,それは Unicode だけの問題では済まなくなる。 少なくとも JIS X 0213 にも収録しないといけなくなるだろう。 するとまた文字セットのバージョン間の互換性問題が発生するわけだ。

更には文字を表示するフォントも用意しなくてはいけなくなる。 言っとくけど商用フォントだけじゃなくて Linux 等で使うフリー(自由)なフォントも影響を受けるんだからね。

そこまでのコストをかけ,リスクを犯してまでやる価値のあることなのか? 長くても数十年で代わる年号のために毎回こんな大騒ぎをするつもりなのか。 これに比べれば「うるう秒」とか可愛いもんだよな。

これは間違いなく 「技術的負債」 である。 技術的負債は取り除くのが「未来の子どもたち1」に対する正しい姿勢である。

改めて提案しよう。

「日常生活に元号は必要ない」

これを機会にまずは役所の書類から元号を一掃して西暦に統一すべき2。 役所の書類を書く度に変換表のページをグーグル先生に訊くのは面倒なんだってば(しかもそういうページに限ってケータイでは読みにくい)。

役所書類を西暦に統一すれば日本企業も追随するだろう。 そのうち「改元特需」とかいい出す輩が出るだろうけど,黙らせろ。

元号をなくせとまでは言わない。 宗教暦や宗教行事(冠婚葬祭など)には元号を用いたほうがいい場合もあるだろう。 そういうときは大手を振って元号を使えばよい。 大昔は「授時」とか「正朔を奉ず」とか言って為政者が代わる度に「臣民」に暦を与えるのがあたり前だったけど,近代国家で今だにそんなことをしてる国は珍しいと思うし,まぁ自慢してもいいだろう。 私はしないけど。

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  1. みんな好きでしょ,この言葉(笑) ↩︎

  2. 西暦だって歴史的にはリニアではないけど,現在および未来において西暦が断絶する可能性は(元号に比べれば)少ないだろう。人類が滅亡すれば別だが。 ↩︎