『数学ガール/ポアンカレ予想』を読んだ(メタ話)
『数学ガール/ポアンカレ予想』,とりあえず読了(今再読中)。 やぁ,久しぶりの「数学ガール」本編だぜ!
実は今回の話の周辺って物理学やってる人には馴染みがある内容だったりする。 特に一般相対性理論では必須の知識。 でも独学で勉強してた(当時)中学生の私には少々難しかったんだよなぁ。
以前「数学ガール」の感想で「結城浩さんの本はよく整備された遊歩道を散歩するような気楽さと安心感がある」と書いたが,今回もそれは健在である。 子供の頃にこの本に出会ってたなら。
まぁ,私は数学の専門家ではないし,ラノベとして感想を書こうにも面白いか面白くないかの2値評価では話が続かないので(もちろんラノベとしても面白いよ),そういうのは他の方々にお任せして,私はメタな話で。
私が「数学ガール」シリーズを「上手い」と思うのは作品が細部まで練りこまれているからなんだろう。 「神は細部に宿る」というか,相当な量の「デバッグ」や「リファクタリング」を行ってると思わせる。 それは結城浩さんの tweets にも顕れているのだが。 そういうのを見せるのもプロモーションだよね。
ちょっと横道にそれるが,今いる業界に入ってまだペーペーの新人の頃にボスに口煩く言われたことのひとつは「仕事で一番大切なのは『終わらせる』こと」だった。 終わらせなければ「次」もない。
「終わらせる」には2つの意味があって
- 適切なゴールを設定すること
- 設定したゴールに辿り着くこと
を指す。
20年近く前にフリーになって痛感したのは前者だ。 従業員の頃はあまり前者を意識しなかった。 ゴールを設定するのは上の仕事だからね。 今だから思うことだが,当時のボスの言葉はそのまま自身にも向けていたのだろう。
いや,作品を完成までもっていける作家さんはそれだけで凄いなぁ,と改めて思ったのだった。 特に連載物はゴール設定が難しいんじゃないかと思ったり1。
実は,最近この感想を得たのは Web 小説の「ロイヤルウエディングお断り!」の完結時だったのだが,「数学ガール」シリーズって(書籍版に限っても)10年以上これを繰り返してるんだよね。 螺旋階段。
- 数学ガール/ポアンカレ予想
- 結城 浩 (著)
- SBクリエイティブ 2018-04-13 (Release 2018-04-14)
- Kindle版
- B07C46Q7PW (ASIN)
- 評価
ミレニアム懸賞問題のひとつであり21世紀にようやく証明された「ポアンカレ予想」に数学ガールたちが挑む。なんちゃって
- Java言語で学ぶリファクタリング入門
- 結城 浩 (著)
- SBクリエイティブ 2007-01-26 (Release 2014-03-12)
- Kindle版
- B00I8AT1EU (ASIN)
- 評価
結城浩さんによる「リファクタリング本」の Kindle 版。意外にも Java 以外でも応用できる優れもの。
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ほら,作家さんが終わらせたくても(金になるなら)周囲がそれを許さないとかありそうぢゃん(笑) ちなみに制作や連載の途中で中断したまま放置したり次の制作・執筆に移行する状態を「エターナる」とか「エタる」とか言うらしい。 ↩︎