図書館で書棚へのドキワクを思い出す
その土地に長く住んでいる(または住む気でいる)のなら,その土地の図書館のアカウントを持つことが文明人として最低限の証だと思うのですよ(もちろん偏見)。
というわけで,引っ越し後の役所手続きに不備があって松江市役所に行ったついでに島根県立図書館にも寄ってきた。
県立図書館は県庁の裏手にある。
いやぁ,子供の頃のことなのに道順とか覚えてるもんだねぇ。
つか,あれから40年は経ってるのに今も変わらず「そこ」にあるって結構凄いことだよなぁ。
建物の外観とかはもはやうろ覚えだったが,林立する書棚を眺めていたら子供の頃のことを色々と思い出した。 バスや自転車で県立図書館に通ってたこととか,市内中の本屋を巡って本屋ごとのラインナップをほぼ把握してたこととか。
同時に「今の本屋」が私のようなタイプの本好きにとって如何につまらない存在になり果てたか実感できた気がする。
たとえば。
今回は特に目当ての本もなく「下見を兼ねて館内を廻って面白そうな本を借りれればラッキー」くらいの感覚だったので,とりあえずパソコン端末で「スウガクガール」をキーワードに本を検索してみる。 すると「第2一般資料室へ行け」と案内された。
第2一般資料室の「スウガクガール」を目指す間にも色々と目移りしそうな本が書棚に並んでいる。
そんで遂に「数学ガール」を発見するのだが
実はその隣の『「3」の発想』に強く興味を惹かれたりするわけだ。 結果としてこの本を「衝動借り」しましたよ(笑)
以上の出来事の中で「スウガクガール」がアンカーとなり次々と視覚的な「誤配」が起こっていることがお分かりだろうか。 これが「書棚へのドキワク」の本質だと思うのだ。
こういった「誤配」は Amazon のようなEコマースでは絶対に起きない。 いわんやEブックをや。 たとえば Amazon の「お気に入り」機能はよく出来ていると思うが,その時点で「流行ってる本」が対象であるため私個人に刺さりにくい(かといって過去の私の読書傾向を暴かれても困るわけだが)。 もちろん流行を追うだけの人ならそれでも構わないのだろうが,私が読みたいのは「(私にとって)面白そうな本」であって「流行りの本」ではないのだ。
今の本屋は私から見て「コンビニ」であって「本屋」ではない。 何でも揃ってるかも知れないが(どの店も)同じものしか揃えてない。 カップラーメンのコーナーのようにその時々の流行りを映しては消える泡沫の夢の世界。 そこに「ノイズ」はあっても「誤配」はない。 それならもっとも便利でノイズの少ない Amazon で買って何が悪い,という話である。
ブックマーク
- ブックオフは公共圏の夢を見るか « マガジン航[kɔː]
- 闘う図書館と情報の自由――ライブラリー・フリーダム・プロジェクト « マガジン航[kɔː]
- なぜ書店にヘイト本があふれるのか。理不尽な仕組みに声をあげた1人の書店主 | BUSINESS INSIDER JAPAN
- シリコンバレー101(916) 閉店もやむなし、Amazonの実店舗書店に私が行かなくなった理由 | TECH+
参考図書
- 新潮選書 「3」の発想 数学教育に欠けているもの
- 芳沢 光雄 (著)
- 新潮社 2009-10-24
- 単行本
- 4106036517 (ASIN), 9784106036514 (EAN), 4106036517 (ISBN)
- 評価
図書館で借りて読んだ。数学書の棚にあったが,中身は数学エッセイ? 読み物としては面白かった。