SETI@home 20年間の区切り
SETI@home が休眠するらしい。
休眠する最大の理由はあらかたのデータ解析が終わったからのようだ。
とはいえ SETI@home プロジェクト自体は閉鎖されず,サイトとユーザ・アカウントは保持される。
科学的学術研究テーマとしての SETI (Search for Extra-Terrestrial Intelligence; 地球外知的生命探査) は広範囲かつ長期間の観測が要求される割に実りが少なく,分の悪い賭けといえる。
ボランティアとして参加する私達一般ユーザはともかく,プロジェクトを統括・運営するプロの研究者達は無償というわけにはいかない。 また(プロなのだから)区切られた期間できちんと結果を出さなければならない。 もちろんシステムを維持するためのコストもある(最初の頃はサーバや回線の確保が大変だった)。
もともと SETI@home は2年間の期限付きプロジェクトだった。 それが世界中で予想以上の反響を巻き起こし3年4年と延長され,ついには BOINC なる汎用プラットフォームを生み出した1。
BOINC 移行後は当時の熱狂も収まり(資金難に陥ることも度々あったが)ボランティア・ユーザが淡々と解析を行うスタイルで継続し,なんだかんだと正式稼働から20年も続いたわけだ。
天文学関連の学術プロジェクトで20年というのはさして長いわけではないだろうが(太陽観測なら2周期分に満たないw
),このテーマでよくもこれだけもったというのが正直な感想である。
現在の SETI@home は純粋に宇宙人探しをしているわけではなく AstroPulse2 などの関連プロジェクトに相乗りする形で運営されている。 したがって,今後 SETI@home と相乗り可能なプロジェクトが興れば再開される可能性がある。 あるいは全く違うアプローチのプロジェクトになるか。
SETI@home の次回作にご期待ください,といったところか(笑)
なお,私が参加している天文学関連の BOINC プロジェクトは(SETI@home 以外では)以下の通り。
BOINC では複数のプロジェクトを掛け持ちして効率よく回すのがコツである。 「計算機による信号傍受と解析は人類のためにこそ使いましょう」。
Happy analyzing !!
ブックマーク
参考図書
- ファースト・コンタクト―地球外知性体と出会う日 (文春新書)
- 金子 隆一 (著)
- 文藝春秋 1998-10-01
- 新書
- 4166600044 (ASIN), 9784166600045 (EAN), 4166600044 (ISBN)
- 評価
地球外文明探査の歴史を俯瞰する良書。是非ともデジタル化を希望する!
- SETI@homeファンブック―おうちのパソコンで宇宙人探し
- 野尻 抱介 (著)
- ローカス 2000-01-01
- 単行本
- 4898140866 (ASIN), 9784898140864 (EAN), 4898140866 (ISBN)
- 評価
内容は古いけど当時の「熱」を伝えた名著だと思うけどなぁ。著者の方が自己出版で Kindle で出してくれたらいいのに。