キャラクタの権利

no extension

先週の話題だが,興味深い記事があるので紹介しておく。

前半の猥褻云々については何となく触りたくないのでスルーするとして(興味のある方はリンク先の記事をどうぞ),個人的に面白いと思ったのは以下の判決文に絡む後半の話。

したがって、本件各漫画のキャラクターが原著作物のそれと同一あるいは類似であるからといって,これによって著作権侵害の問題が生じるものではない
『令和2年(ネ)第10018号損害賠償請求控訴事件』判決文より
仮に著作権侵害の問題が生ずる余地があるとしても,それは,主人公等の容姿や服装など基本的設定に関わる部分の複製権侵害に限られるものであって,その他の部分については,二次的著作権が成立し得るものというべきである(なお,本件各漫画の内容に照らしてみれば,主人公等の容姿や服装など基本的設定に関わる部分以外の部分について,オリジナリティを認めることは十分に可能というべきである。)
『令和2年(ネ)第10018号損害賠償請求控訴事件』判決文より

私はその筋の専門家ではないので不正確かもしれないが,いわゆる知的財産権(等)については以下のように分類している。

  • 「表現」に関する権利は著作権
  • 「アイデア」に関する権利は特許権
  • 「キャラクタ」等に関する権利は商標権または意匠権
  • 実在の人物に関する権利は肖像権(パブリシティ権)

実際,商業作品では作品のロゴやキャラクタを商標登録することは普通に行われている1。 今回対象となっている同人作品が本当に「キャラクタの権利」を侵害しているか否かは別のチャネルで争われるべきものである。

もっとも,原著作(権)者がそれを言うならまだしも,原作の関係者でも件の同人作品の関係者でもない第三者がそれをゆーな,って感じではあるが(笑)

実は「改訂3版: CC Licenses について」セクションの「人格権と CC Licenses」で「キャラクタの権利」について言及しているのだが,これは「同一性保持権」の文脈だったので(実際,件の判決文 でも同一性保持権について言及がある)二次的著作物つまり翻案権について原著作(権)者でもない第三者があれこれ言うシチュエーションは考えてなかった。

これって2018年末施行の改正著作権法の影響だよね。 非親告罪の一部適用ってやつ。

おそらくこれからこういった「言いがかり」は増えてくるだろうし,その中には本当に非親告罪として訴訟の対象になることもあるだろう。 ホンマに面倒臭い世の中になったものである。

参考図書

photo
著作権法 第3版
中山 信弘 (著)
有斐閣 2020-09-04
単行本
4641243336 (ASIN), 9784641243330 (EAN), 4641243336 (ISBN)

第3版が出てた。第2版は図書館で借りて読んだが,途中でギブアップした。個人が興味本位で読める本ではないらしい(笑)

reviewed by Spiegel on 2020-10-12 (powered by PA-APIv5)

photo
性表現規制の文化史
白田 秀彰 (著)
亜紀書房 2017-07-20 (Release 2017-07-20)
単行本(ソフトカバー)
4750515183 (ASIN), 9784750515182 (EAN), 4750515183 (ISBN)

しまった!積ん読状態のまま引っ越しのドサクサで処分しちゃってるよ。読み直さないと。図書館に置いてないかな。

reviewed by Spiegel on 2017-10-13 (powered by PA-APIv5)


  1. 「キャラクタ」そのものに著作権は関与しないとしても「キャラクタを使った表現」には当然ながら著作権が適用される。それが二次的著作物にあたるかどうかの線引きは割と微妙らしい。その辺を考えているかは知らないが,作家さん同士で「キャラクタの貸し借り」のやりとりは(口頭レベルでも)割とあると聞く。 ↩︎