『数学ガールの物理ノート/ニュートン力学』を読む — 仕事と日々... じゃなくて
「数学ガール」にまた新しいシリーズ(?)が出たですよ。
個人的な話で恐縮だが,私は天文学を独学で勉強していた関係で三角関数やベクトルや微積分といった数学的な「道具」については中学生くらいで習得していた。 そう,私にとって数学は「道具・手段」という印象が強い。 なので「数学ガール」から見た物理学がどのように語られるのか,非常に興味があった。
ところで,学校で物理学を習った際に「仕事」という用語について戸惑わなかっただろうか。 私はかなーり戸惑った。 作中におけるテトラちゃんの戸惑いや違和感にはとても共感できる。
まぁ私の子供時代は「受験戦争」などと揶揄される頃で,学校の授業も「試験に出るか否か」で優先度が決められていたため,「仕事」についても定義をさらっと紹介されただけだった(「仕事」がどういうものか知らなくても試験問題は解けるのでw)。 そこを掘り下げるには独学しかなかったわけだ。
他に力学的な「エネルギー」の定義も日常で使う言葉とはギャップがある。 しかもパワーとエネルギーがごっちゃになってたりするし,燃料のことをエネルギーとか語る輩もいる。 あー,カルトだと霊的な何かだったりするよね(笑)
なので4章5章を丸々使って物理量としての「仕事」と「エネルギー」をきちんと定義し,数式を怒涛のように展開させる様子は素直に凄いと思った。 特に5章のミルカさんの台詞
には感動すら覚えてしまった。
こういう説明が聞きたかったんだよ。
この本を学生時代に読んでいれば orz
「コロナ」が蔓延する夏休みである。 どうせ引きこもるなら,この本を読書感想文の課題図書にするとか巻末の研究課題のいくつかをピックアップして自由研究にするなどしたら面白いだろう。 ちなみに Kindle 版は固定レイアウトなので,ブラウザから Kindle Cloud Reader で見ることができる。
- 数学ガールの物理ノート/ニュートン力学
- 結城 浩 (著)
- SBクリエイティブ 2021-07-15 (Release 2021-07-16)
- Kindle版
- B093PZLQMQ (ASIN)
- 評価
「数学ガールの物理ノート」ですってよ。この巻は「力学」の話。で仕事とエネルギーについての議論へと発展する。面白い!
- 数学ガールの秘密ノート/微分を追いかけて
- 結城 浩 (著)
- SBクリエイティブ 2015-04-17 (Release 2015-05-26)
- Kindle版
- B00Y9EYOIW (ASIN)
- 評価
三角関数や微分方程式は物理学,特に天文学を理解するには必須の道具。学校で教えてくれるのを待ってる暇はないのだよ。そして三角関数や微分(と積分)を理解すると理科も数学も抜群に面白くなる。
- 数学ガールの秘密ノート/積分を見つめて
- SBクリエイティブ 2017-06-29 (Release 2017-06-30)
- Kindle版
- B073F45B97 (ASIN)
- 評価
三角関数や微積分は物理学,特に天文学を理解するには必須の道具。学校で教えてくれるのを待ってる暇はないのだよ。そして,これらを通してものの位置や形について理解が進むと理科も数学も抜群に面白くなる。
- 数学ガールの秘密ノート/丸い三角関数
- 結城 浩 (著)
- SBクリエイティブ 2014-04-23 (Release 2015-04-18)
- Kindle版
- B00W6NCLJM (ASIN)
- 評価
丸と三角の楽しい関係。頑張れば小学生高学年でも大丈夫。
- 数学ガールの秘密ノート/ベクトルの真実
- 結城 浩 (著)
- SBクリエイティブ 2015-11-17 (Release 2015-12-03)
- Kindle版
- B018VE46YW (ASIN)
- 評価
図形(具象)と数式(抽象)の往復は楽しい。
- いかにして問題をとくか
- G. ポリア (著), Polya,G. (原著), 賢信, 柿内 (翻訳)
- 丸善 1975-04-01
- 単行本
- 4621045938 (ASIN), 9784621045930 (EAN), 4621045938 (ISBN)
- 評価
数学書。というか問いの立てかたやものの考え方についての指南書。のようなものかな。
- 天体物理学
- Arnab Rai Choudhuri (著), 森 正樹 (翻訳)
- 森北出版 2019-05-28
- 単行本
- 4627275110 (ASIN), 9784627275119 (EAN), 4627275110 (ISBN)
- 評価
興味本位で買うにはちょっとビビる値段なので図書館で借りて読んでいたが,やっぱり手元に置いておきたいのでエイヤで買った。まえがきによると,この手のタイプの教科書はあまりないらしい。内容は非常に堅実で分かりやすい。理系の学部生レベルなら問題なく読めるかな。
- 気象がわかる数式入門
- 二宮 洸三 (著)
- オーム社 2006-07-01
- 単行本
- 4274202712 (ASIN), 9784274202711 (EAN), 4274202712 (ISBN)
- 評価
気象に入る前に「次元」や「単位系」といった基本中の基本の話から始まり,そこから誤差論(の最初のほう)とかだんだんと核心に入っていく。順番に読んでいけば無理なく「気象」を始めとする物理学の初歩が理解できるよう構成されている教科書的な内容。これが私の子供の頃にあったらなぁ。
- 基礎物理学実験 増訂版
- 下村 健次 (編集), 井上 則好 (編集), 上垣内 孝彦 (編集), 大内 侃 (編集), 小此木 久一郎 (編集), 岡本 哲彦 (編集), 尾田 年充 (編集)
- 共立出版 1977-10-05
- 単行本
- 4320030885 (ASIN), 9784320030886 (EAN), 4320030885 (ISBN)
- 評価
学生時代,私はコレで実験の基礎を習いました。もちろん絶版本。