昨年末に GnuPG による
という tweet を紹介したが,これに関する詳細記事が公開されている。
この記事では最初にこう述べられている。
当時を知ってる方は「あぁ,あれか」と思い出すだろうが,これがいわゆる Ägypten 計画である。
Ägypten 計画の成果のひとつは暗号化電子メールの2大フォーマットである S/MIME と PGP/MIME を透過的に扱えるようにすることだった。
今でこそ鍵管理も含めてそういったことは Thunderbird など手軽にできる MUA があるが,当時は割と画期的だったのだ。
営利企業に踊らされてネットの中立性をかなぐり捨てた某フランチャイズ国家や2020年代に入ってもまだ PPAP が云々とか言っている某野蛮国家とは比べ物にならないよね(笑)
私自身は MUA を Thunderbird へ乗り換えたこともあり Ägypten 計画以後の GnuPG 関連の商業的展開については関心を払ってこなかった。
2015年に GnuPG の財政的困窮が報じられてはじめて「まじすか!」と驚いたほどだ。
この記事をきっかけに寄付を中心とした GnuPG への継続的財政支援が行われるようになった。
さらに “A New Future for GnuPG” によると2019年末には BSI による VS-NfD の承認を得られたようだ。
VS-NfD 承認取得時のプレスリリース(ドイツ語)は以下の通り。
これにより GnuPG および GnuPG VS-Desktop はドイツにおいて商業的な事業展開ができるようになった。
某日本では DX DX と姦しいが,こうやって下回りを整えつつ,時代に合わせて適宜入れ替えを行えることが重要なんだよ。
ドイツで20年以上かけて積み上げてきたものを中身薄っぺらなデジタル庁だかが短期で達成できるわけ無いぢゃん(私は全く期待していない)。
というわけで “A New Future for GnuPG” は締めの言葉として
と書いている。
国家や市場による独占ではなく,暗号技術が「自由」の名の下に私達の手の中に残り続けますように。
そして OpenPGP やその実装のひとつである GnuPG が「自由」のための有効な手段として存在し続けますように。
参考図書
- 暗号化 プライバシーを救った反乱者たち
- スティーブン・レビー (著), 斉藤 隆央 (翻訳)
- 紀伊國屋書店 2002-02-16
- 単行本
- 4314009071 (ASIN), 9784314009072 (EAN), 4314009071 (ISBN)
- 評価
20世紀末,暗号技術の世界で何があったのか。知りたかったらこちらを読むべし!
reviewed by Spiegel on 2015-03-09 (powered by PA-APIv5)
- 暗号技術入門 第3版 秘密の国のアリス
- 結城 浩 (著)
- SBクリエイティブ 2015-08-25 (Release 2015-09-17)
- Kindle版
- B015643CPE (ASIN)
- 評価
SHA-3 や Bitcoin/Blockchain など新しい知見や技術要素を大幅追加。暗号技術を使うだけならこれ1冊でとりあえず無問題。
reviewed by Spiegel on 2015-09-20 (powered by PA-APIv5)