例によって Bruce Schneier さんの記事経由:
RSA 公開鍵暗号の仕組みについては結城浩さんの『暗号技術入門』の第5章に分かりやすく解説されているので,まずはそちらを参照のこと。
今回のポイントとなる部分だけ紹介すると RSA 公開鍵暗号の鍵ペアを生成する際には最初に2つの大きな素数 $(p,q)$ を用意する。
$(p,q)$ を掛け合わせた $N=p \times q$ は公開鍵にも秘密鍵にも使われる値だが「2つの大きな素数を合成した値を(元の素数を知らずに)因数分解するのは難しい」ため $N$ から秘密鍵を推測するのは難しいとされている。
当然ながら素数 $(p,q)$ の組み合わせは第三者に知られないよう管理する必要がある。
ただし,素数 $(p,q)$ が互いに近い値の場合は容易に因数分解できることも大昔から知られている。
で,実際に一部の暗号製品で「鍵サイズは大きいけど容易に破られる暗号鍵」を生成してしまうものがあったそうで,これは CVE-2022-26320 として詳細が公開されている。
この脆弱性を報告した Hanno Böck さんは自身の記事の中で,更に SKS PGP 鍵サーバにも今回のような脆弱な RSA 公開鍵があったと言っている(実際に運用している鍵ではなさそうだが)。
また,破られやすい素数の組み合わせとして
と見積もっている。
ちなみに SSH で生成する RSA 鍵については
なんだそうな。
よかったね。
なお,記事の最後では
と締めている。
今回のケースは暗号製品や CA など暗号鍵を提供・運用する側の問題でユーザ側でできることは殆どないだろうが,とりあえず怪しげな暗号製品は使うなっちうことやね(笑)
参考図書
- 暗号技術入門 第3版 秘密の国のアリス
- 結城 浩 (著)
- SBクリエイティブ 2015-08-25 (Release 2015-09-17)
- Kindle版
- B015643CPE (ASIN)
- 評価
SHA-3 や Bitcoin/Blockchain など新しい知見や技術要素を大幅追加。暗号技術を使うだけならこれ1冊でとりあえず無問題。
reviewed by Spiegel on 2015-09-20 (powered by PA-APIv5)
- 暗号化 プライバシーを救った反乱者たち
- スティーブン・レビー (著), 斉藤 隆央 (翻訳)
- 紀伊國屋書店 2002-02-16
- 単行本
- 4314009071 (ASIN), 9784314009072 (EAN), 4314009071 (ISBN)
- 評価
20世紀末,暗号技術の世界で何があったのか。知りたかったらこちらを読むべし!
reviewed by Spiegel on 2015-03-09 (powered by PA-APIv5)