おー,久しぶりにこのセクションに書くな。
ここ最近いろいろあって,ブログ記事を書く気分じゃなかった。
まぁ,ここのポリシーは「書きたくないときには書かない」だから(笑) 徐々に復帰… できるといいねぇ。
Generative AI は Copyright-Safe か?
起点はこの記事。
この記事で紹介されている文化庁の資料ってのがこれらしい。
いやいや。
これじゃ分からんが! しょうがない。
最初に挙げた記事を参考に見ていこう。
となると,問題は「既存著作物への依拠性」というわけだ。
これについて件の記事では以下のように示している。
これならだいぶ分かりやすい。
フローチャートっぽく書くとこんな感じか。
graph TB
A([start])-->B{生成者が既存著作物を\n知っているか}
B--知ってる-->Z([依拠姓あり])
B--知らない-->C{既存著作物が\n学習用データに\n含まれているか}
C--含まれていない-->X([依拠姓なし])
C--含まれている-->D{学習過程で\n特定のテキストと\nデータが強固に\n結びついているか}
D--結びついていない-->X
D--結びついている-->E{特定のテキストを\nプロンプトとして\n入力しているか}
E--入力していない-->X
E--入力している-->Z
んー。
イマイチ。
まぁいいや。
これを見ると判断のポイントが3つあることが分かる。
すなわち
- 学習用データ
- 学習過程
- プロンプト
である。
つまり生成物を公表する際,著作権侵害にあたるかどうかを判断するために上の3つの情報開示を要求される可能性があるということだ。
そして,この要求に応えられないサービスは copyright-safe とは言えないのではないかと思う。
また,利用者は生成時のプロンプトが(おそらくサービスプロバイダ経由で)開示される可能性を考慮する必要がある。
さらに記事では「AI開発・学習段階でも「著作権侵害」の可能性あり?」として
と解説し,さらに
と意見を述べている。
実は日本は言われているほど「AI 天国」ではないということかもしれない。
【おまけ】 享有と享受
話が横滑りしてスマン。
上で出てきた「享受」という法律用語は著作権法の「著作権の制限」に出てくる。
たとえば第三十条の四は「著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用」について書かれている。
これで思い出したのが山田奨治さんの『著作権は文化を発展させるのか: 人権と文化コモンズ』だった。
たとえば著作権法第十七条「著作者の権利」には
とある。
享有とか享受とかって難しい言葉がさらっと書いてあるよね。
しかも『人権と文化コモンズ』には
とか書いてあって「うへぇ」となった。
『人権と文化コモンズ』には享有や専有といった用語についてかなり深く考察しているので,読んでみることをお勧めする。
享受は享有と対になる言葉っぽいが,英語ではどちらも enjoy が法律用語として充てられているそうな(これも『人権と文化コモンズ』に書いてあった)。
前節の記事に出てくる「享受」を脳内で enjoy と読み直せばもう少し分かりやすくなるかもしれない(笑)
法律(用語)は難しいぜ。
ブックマーク
参考文献
- 著作権は文化を発展させるのか: 人権と文化コモンズ
- 山田 奨治 (著)
- 人文書院 2021-07-29 (Release 2021-07-29)
- Kindle版
- B099RTG3J7 (ASIN)
- 評価
著作権を「ユーザーの人権」という観点から捉え直す。その後 文化→コモンズ→文化コモンズ と進み,本当の意味で「文化の発展に寄与する」とはどういうことか考察していく。
reviewed by Spiegel on 2022-10-23 (powered by PA-APIv5)
- 日経サイエンス2023年5月号(特集:対話するAI ChatGPT)
- 日経サイエンス編集部 (編集)
- 日経サイエンス 2023-03-25 (Release 2023-03-25)
- 雑誌
- B0BXQ2HMQ5 (ASIN), 4910071150534 (EAN)
- 評価
特集記事が「話す AI 描く AI」ということで,いわゆる Generative AI に関する内容。大規模言語モデル(LLM)の解説も載っている。圏論の記事もあるよ。
reviewed by Spiegel on 2023-03-28 (powered by PA-APIv5)