政治パフォーマンスとしてのクラウドファンディング

no extension

国立科学博物館が資金調達のためクラウドファンディングを開始したニュースが話題になっているようだ。

既に目標金額を大きく超えて,かなりの資金を集めているらしい。

私も日本酒のクラウドファンディングには参加したことがあるので実感するところだが,クラウドファンディングはどうしても「ウケる」プロジェクトに資金が偏りがちである。 なので,いかに「ウケる」お題目を唱えるかが重要となる。 しかも「柳の下にいつも泥鰌(どじょう)はいない」のことわざの通り,同じようなプロジェクトが続くほど(話題性が落ちるので)資金調達が難しくなる。 「先にやったもん勝ち」なわけだ。 この辺はあからさまに市場原理が働いている感じである。

そういうわけで博物館運営や学術研究の資金調達にクラウドファンディングを用いるのは良し悪しな面がある。 それでも,どうしてもそうせざるを得ないのであれば,それは「政治が悪い」という話になる。 つまり今回のクラウドファンディングは,それ自体が政治パフォーマンスの色彩が強いものだと言える。 実際にテレビなどのメディアは食いついてるわけだし(笑) 国立科学博物館側がそこまで考えて実施したかどうかは知らないが。

見方を変えれば,今回のクラウドファンディングに参加した人たちは,この「政治パフォーマンス」に積極的に関与した人たちというわけだ。 そういうつもりで参加してるかどうかは知らないが。

まぁ,政治的に大きな意味を持つ訴訟に対して広く寄付を募ったり,最初期の Change.org みたいな仕組みを通して署名活動を行ったり,といったことは昔からあるわけで,そういった政治活動の変奏として考えるならクラウドファンディングを利用するっちうのも悪くないのかもしれない。

でも,最初に書いたとおり,クラウドファンディングはあからさまに市場原理が効いてくる。 今後,同じ手は使えなくなるかもしれない。 あるいは「クラファンで市場から資金を集めればいいのなら今後は政府からの経済的干渉はしないね」とか言われちゃうかもしれない。

私は数年前から「政治的無関心」を年間目標にしてるのでこれ以上の言及は避けるが,どうなるやらって感じである。