Typst のお勉強を始めた
先週の 2025-02-19 (現地時間) に Typst 0.13 がリリースされたニュースが Bluesky の私の TL に流れてきて「そういやそんなのあったな」と思い出した。
個人的に思う Typst 最大のメリットはシングルバイナリで提供されていて,それだけで PDF ファイルを生成できること。 というわけで重い腰を上げて調べてみることにした。
Typst 勉強用に久しぶりに新しいセクションを作った。 いやぁ,やり方をすっかり忘れてたよ(笑)
Typst を触ってみた感想は,良くも悪くも「Markdown 以上 $\mathrm{\LaTeX}$ 未満」。
たとえば $\mathrm{\LaTeX}$ でガチの執筆をしている人には Typst はまだ力不足だと思う。 逆に Markdown で満足している人には Typst は過剰スペックに見えるかもしれない。 あと Typst 0.13 から HTML 形式へのエクスポート機能がサポートされたが,これはドキュメント要素を単純に HTML の要素に置き換えているだけみたいで,今のところスタイルの制御もない。 将来バージョンはどうなるか分からないが,過剰な期待しないほうがいいだろう。 とはいえ既存の CMS と組み合わせれば使い道があるかもしれない。
あくまで個人の意見だが,ドキュメントの作成・管理でもっとも重要なのは再利用しやすいか否かだと思う。 その点,テンプレートを作りやすくレイアウトとデータの分離がしやすい(多分) Typst は向いていると思う。 何より入力がテキストファイルなのは強い。 さらに Typst フォント周りに気をつければマルチプラットフォームでいける(バイナリ自体はOSおよびアーキテクチャごとに提供されている)。
ところでこれは愚痴なのだが,そろそろ OS ごとに勝手なフォントが入ってる状況はどうにかならないのだろうか。 たとえば Sans Serif なフォントとして Helvetica を使いたいとするじゃん。 macOS には昔からこれが標準で入ってるけど他の OS にはない。 その代わりの代替フォントとして Windows なら Arial, Linux だと Liberation Sans があったりするが,名前が全然違う(デザインも微妙に違うけど)のでフォント指定が煩雑になる。 日本語フォントだともっと酷いよね。
そりゃあ NOTO フォントを入れるとかすればプラットフォーム間で合わせられるよ。 でも,そういう「インストール」自体がハードルが高いんだってば(自分が,じゃなくて,相手にそういうことをしてもらうのが)。 LibreOffce でもアプリケーション自体はマルチプラットフォーム対応なのに,フォント周りで地味に苦労してるんだよな。
少なくとも標準フォントに関してはプラットフォーム間で差異がないようにして欲しい。 NOTO フォントでもいいから。
愚痴はこのくらいにして…
既に個人的な書類送付状など定形書式で簡単なものなら Typst → PDF → 紙に印刷 という流れができ始めた。 次は議事録,その次はいよいよ設計書かなぁ。 いずれ勤務先にそういう提案ができるところまで持っていきたいものである。 音声の文字起こしとか生成 AI のおかげでだいぶ楽になってきたし Typst みたいな組版ツールと組み合わせれば面白そうなんだけど。
まだちゃんと調べてないが Typst には if
/else
とか for
/while
とか break
/return
とかの制御構造があり,更に JSON や YAML や CSV などのデータ・ファイルを読み込む機能もある(プレーンテキストも読める)。
これらの機能を上手く使えばドキュメントのレイアウトやロジックとデータを分離することができそうである。
今後はこの辺の制御を中心に調べる予定。
もう少しゆっくりなペースでね。
参考文献
- Typst完全入門: LaTeXより簡単、Markdownより強力、美しいドキュメント作成術
- doitsu (著)
- 2024-12-08 (Release 2024-12-08)
- Kindle版
- B0DPXBNTRS (ASIN)
- 評価
マークアップ言語および組版ツールである Typst についての解説。 Kindle 版のみの提供。固定レイアウトではないためレイアウトが崩れまくって読みにくい。この手の技術解説書は固定レイアウトの Kindle 版か,いっそ PDF で出してほしい。でも Typst についてまとまった解説のある日本語の本は他に見当たらなかったのでありがたい。
- [改訂第9版]LaTeX美文書作成入門
- 奥村 晴彦 (著), 黒木 裕介 (著)
- 技術評論社 2023-12-09 (Release 2023-12-09)
- 単行本(ソフトカバー)
- 4297138891 (ASIN), 9784297138899 (EAN), 4297138891 (ISBN)
- 評価
2023年末に出てるのに気が付かなかった orz
今回は版元で PDF 版を買った。