「ぶっちゃけ,大体 Google のせい」。
例によって Mastodon/Bluesky の自 TL で見かけた記事の紹介だが,似たようなテーマの記事が並んでたので「面白い!」と思いつつ紹介してみる。
「GoogleのAI要約が検索よりマシに見えるのはなぜか」
最初の記事は p2ptk.org の記事。 p2ptk.org にはいつもお世話になっております。
- GoogleのAI要約が検索よりマシに見えるのはなぜか(ただし、どちらもクソ) » p2ptk[.]org
- 質の高いコンテンツの順位を下げ、労力をかけないスパムを優遇したGoogleは、ウェブ全域でグレシャムの法則を実演した。悪しきウェブページが良きウェブページを駆逐したのである。
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タイトルに「クソ」が付いてるので想像がつくだろうが Cory Doctorow 氏の記事の翻訳である。
邦文タイトルの「GoogleのAI要約が検索よりマシに見えるのはなぜか」の答えは明白である。 検索結果は求める「答え」じゃないから。
人は知りたいことの答えを(Web に)求めて検索するが,検索結果というのは答えに辿り着くためのヒントでしかない。 人はヒントを元に欲しい答えを(検索結果として挙がっている) Web ページ群から抽出していくのである。 今どきの AI 用語風に言うなら「蒸留」か?
一方,AI による回答は,あらかじめ Web にある有象無象の情報から「蒸留」した知識を元にしている。 つまり,それまで人間がやってたことを迂回して,欲しい結果のみを提供しているわけだ。 だから(喩え Google 検索が “enshittified” してなかったとしても)AI 要約が検索結果よりマシに見えるのは必然なのである。
でも記事が面白いのはここから。
さて、Googleを弁護するならば、「オープンなインターネット」は最近どうにもひどい。オープンなインターネット上で何か有用な情報を探そうとすれば、半ダースものポップアップやポップアンダー、そして「ディックオーバー」に埋もれる羽目になる。
[…]
AI検索要約の大きな利点は、こうしたナンセンスすべてから読み手を守ってくれる点にある。だが、そもそもそのナンセンスはどこから来たのか。
おおよそGoogleのせいだ。
おまけにこの10年、Googleは検索の優先順位に変更を加え続け、丹念に調査された信頼できるサイトよりも価値の低い粗製濫造サイトを優遇してきた。商品レビューを検索すれば、かつては信頼できたForbesのようなメディアではなく、役に立たないどころか危険ですらあるレビューで埋め尽くされた「サイトの評判の不正使用」の結果ばかりが表示される。そんなサイトが独立して運営される厳密な競合サイトよりもはるかに上位に表示されるのだ。
わたしはこの「おおよそ Google のせいだ(It turns out that this is largely Google’s fault)」というフレーズでバカウケした1。
いわゆるアフィリエイト・システムは Web におけるインセンティブを確実に変えた。 Web はもう知識の宝庫などではない。 広告手数料を(そして読み手の注目を)奪い合う戦場である。
そしてその戦場たる盤面を Google 自ら(AI によって)ひっくり返してしまったのだ!
(ノ`Д´)ノ彡┻━┻こんな痛快な話があるだろうか(笑)
AI は人の好奇心を削ぐか?
次の記事を紹介しよう。
- Google検索のAIモードはユーザーの好奇心を殺す? - YAMDAS現更新履歴
- Opinion | The Problem With Google’s A.I. Overview - The New York Times 「現在、米国における Google 検索の60%以上は、ユーザーがリンクをクリックすることなく終了している」という文章から始まるが、要は Google の AI モードの問題点を論じる文章である。生成 AI が質問に即座に回答を返すことで、かつてインターネットを彷徨うような旅だったものが、目的地に即座に到着できるようになった。リンクを辿ったり、予期せぬページにたどり着いたり、参照情報を追ったりする、検索における「探索段階」が消えつつあるわけだ。これは(ワ…
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yomoyomo さんのブログ記事である。 いつもお世話になっております。
前節からの流れで言えば,こちらの記事は Web という戦場で戦う方々の憂鬱という感じだろうか。
これは(ワタシを含む)ネット上にコンテンツを公開する人間にとって、ウェブサイトへのトラフィックが減少し、そこから収益を得るチャンスが減るので憂慮すべき事態である。
そして
でも、質問するユーザーからすれば、信頼できる答えをより早く得られて何が問題なの? と考えて不思議でもない。
と続く。 そこから「好奇心」の問題へと話を展開させている。
彼女が引き合いにするのは、興味深い質問への答えを探る「好奇心がある」状態にいる人は、その過程で遭遇した無関係な情報をもはるかに良く記憶するという研究である。答えを待つ間に、脳内の報酬回路が活性化され、海馬が記憶の形成を助ける準備が整うということらしい。
つまり、好奇心は脳全体を感受性が高まった状態に導くのだ。
でも,私に言わせれば因果関係が逆だ。 感受性が弱いあるいは押さえつけられた状況では,好奇心は縮退する。 日常生活に追われているとか将来に不安がある状況で好奇心など発揮しようがない。 日常生活で知らなければならないことを AI が的確に(正しいとは限らないが)答えてくれるなら,それでいいではないか。 試行錯誤など時間の無駄である。 たいむ・いず・まねー!
かくて人は刺激に反応するだけのオートマトンと化す。
私は子供の頃から丸暗記が不得手で苦労している。 学校授業の数学は比較的得意だったが公式を暗記できず,公式を導くプロセスで覚えていた(なので使わないと忘れるw)。 だから,質問への答えを「探る」ことで記憶が強化されるというのは,個人的にはまぁまぁ共感できる。
でも,世の中にはひと目見ただけで丸暗記できる羨ましい人もいるだろう。 写真的記憶とか最たるものである。 ホンマに羨ましい。 そういう人にも通用する話なのだろうか。
そもそも,今の AI サービスはプロンプトを介した「対話」で構成されている。 私は Kagi Search と Kagi Assistant を半々くらいの割合で利用している(もちろん Google 検索は使わない)。 たとえば「島根県立美術館の公式 Web ページを知りたい」だったら,そのまま固有名詞を検索窓に入力すればいい。 でも「島根県立美術館の特徴は何?」という漠然とした疑問ならまず AI プロンプトに質問を投げる。
島根県立美術館は、1999年3月に開館した山陰最大規模の美術館です 1。おもな特徴は以下の通りです。
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「水との調和」をテーマにした建築: 戦後日本を代表する建築家・菊竹清訓(1928〜2011年)によって設計され 2,波打ち際に盛り上がった「洲浜(すはま)」をイメージした優美な形態が特徴です 3。チタン製の大屋根が日光を柔らかく反射し,対岸から見た際の風景との一体化も見どころです。
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宍道湖畔の絶好のロケーション: 宍道湖の東南岸に位置し,「日本の夕陽百選」にも選定された宍道湖の夕日を鑑賞できる絶好のスポットです 1。2階展示室の一画には展望テラスが設置されており 2,3月から9月は日没後30分まで開館を延長して,夕日をゆっくり鑑賞できるよう配慮されています。
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「水」をテーマとした多彩なコレクション: 「水と調和する美術館」を館のテーマとし,水が描かれた作品を多数収蔵・展示しています 1。コレクションは以下の5分野に重点を置いています 4。
| 分野 | 内容 |
|---|---|
| 水をテーマとする絵画 | クールベ,モネなど国内外の画家による水辺の作品 |
| 日本の版画(浮世絵) | 葛飾北斎の作品を1,600点以上所蔵(質・量ともに国内屈指)。常設の「北斎展示室」あり |
| 国内外の写真 | 近現代写真作品 |
| 木を素材とした彫刻 | 木彫を中心とした彫刻作品 |
| 島根の美術 | 島根ゆかりの作家や題材による作品 |
- 多彩なジャンルを扱う総合美術館: 絵画をはじめ,版画,工芸,写真,彫刻など多岐にわたるジャンルの作品を展示しており,浮世絵のコレクションは約3,000点にのぼるとも言われています 2。
まとめると,島根県立美術館は 「水との調和」をコンセプトにした名建築,宍道湖畔の夕陽百選の景観,そして北斎をはじめとする充実したコレクションが三位一体となった,山陰を代表する美術館と言えます。
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島根県立美術館 | 松江駅前エリアガイド (43%) ↩︎ ↩︎ ↩︎
そこから参考として挙がってるページを見て AI の回答を検証してもいいし,「葛飾北斎」や「クールベ」についてもっと踏み込んだ質問をしてもいい。 なんなら「足立美術館のほうが規模が大きくて客の入りが多いんじゃないの?」とかツッコミを入れてもいいだろう2。 でも,たとえば「島根県立美術館」をテーマにアフィリエイト記事を書くのなら,上の回答だけで十分に記事が書けるだろう。 内容が正しいかどうかは収入に関係ないのだから。
結城浩さんの『AIと生きる』の感想文でも少し書いたが,プロンプターとして AI にどのような役割を与えるのかが大事だろう。 AI は協働相手か,人生相談のカウンセラーか,それとも居酒屋トークの飲み友達か。 私たちはもう「生成 AI 以前」には戻れないが,AI によって人やものとのコミュニケーションは確実に変わっていくし,それに適応しなければならない。
好奇心の種はどこにでも転がっている。 お散歩カメラで無駄に多くシャッターを切る私が断言しよう。 それを上手く拾って育てられるかどうかは,その人の感受性によると思う。 感受性は忙殺される日常や不安で満ちる現在と未来では育たない。
AI が人の好奇心を削ぐのではなく,縮退してしまった好奇心を AI が暴き立てているのである。
ブックマーク
参考
- AIと生きる | SBクリエイティブ
- 「何でも答えてくれるAIと、私たちはどう付き合っていけばよいのだろう?」 「数学ガール」シリーズの結城浩が贈る
- Release 2026-03-05
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この記事のタイトルは “It turns out that this is largely Google’s fault” を Kagi Translate に翻訳させたものである。なので,タイトルのほうが直訳に近い。 ↩︎
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試しに本当に「足立美術館のほうが規模が大きくて客の入りが多いんじゃないの?」とツッコんでみたら「来場者数と敷地規模の両方で足立美術館が圧倒的に上です」などとしれっと訂正してくださりやがった(笑) ↩︎
