php2shell に関する覚え書き

no extension

正直に言って今回は対岸の火事だったのだが,世間的には大事になってる。 既にあちこちでまとめページができてるが,自分用の覚え書きとして,ここでも記しておく。

通称 php2shell は PHP 本体に見つかった2件の重大なリモートコード実行(RCE)脆弱性を指す。

CVE ID の末尾番号が十万台に達してるよ。 脆弱性の内容を Kagi Assistant に簡単に要約してもらった。

脆弱性 概要
CVE-2026-109618 メモリ不足(OOM)時の処理で,初期化途中の内部データが不正な状態で残り,リクエスト終了処理がそれを利用することでRCEにつながる可能性があります。詳細
CVE-2026-109619 リクエスト終了後に解放されたメモリを指す内部状態がワーカーに残り,同じワーカーが処理する後続リクエストで使われることで,use-after-freeやRCEにつながる可能性があります。詳細

両者とも CVSSv4 スコアが 9.2 (Critical) と非常に高い。 PHP 開発チームは,Webリクエストを処理するPHP環境を対象として挙げていて,これには PHP-FPM, Apache mod_php, php-cgi, FrankenPHP, LiteSpeed などが含まれる。 製品としては WordPress, Drupal, Joomla で実証済みだそうな。 もちろん他にもあるだろう。

修正バージョンは以下の通り。

PHP系列 修正版
PHP 8.5 8.5.12
PHP 8.4 8.4.27
PHP 8.3 8.3.36
PHP 8.2 8.2.35

ただし PHP 5.4 以降の全てのバージョンに影響があるらしいので,古いバージョンを使っている場合は注意が必要である。 国内の主要なホスティング事業者の対応状況については piyolog さんのまとめが参考になる。

今回の修正版は,元々 2026-10-22 (EST) に公開する予定だったらしい。 日本時間だと23日早々か。 ところが PoC を含む脆弱性情報が事前に漏れてしまったらしく,2026-10-21 の 14時 UTC に前倒しになったようだ。 これが日本時間の23時。 深夜残業確定の瞬間である。

テレビも 𝕏 も見ないので知らなかったが,総理大臣自ら特別国会閉会後の記者会見で珍しく言及したらしい。 どうやら公的機関に PHP システムが多くあるようで(実際にかなりの数のサービスがメンテナンスで止まった),必要な措置だったのだろう。 緊急時に(通常パスをすっ飛ばして)トップダウンで指示が出せるのはいいことである。

個人的には公開スケジュールが前倒しになったのが気になる。 対策はきちんと行っておくとして,もうしばらくは注視しておいたほうがよさそうだ。

Internet Archive の話を見ても凄い時代になったなぁ,と思う。 AI が脆弱性を見つけ攻撃し,AI が防御し修正する。 ウロボロスかよ! これに適応していかないといけないんだぜ。

なんにせよ,現場のエンジニアの方々におかれましてはお疲れ様でした。 ゆっくり寝て下さい。

そうそう。 今回の脆弱性は7月にあった wp2shell とは全く別である。 私は少し混同して,最初「また WordPress かよ」と思ってしまった(笑)

ブックマーク

参考

thumbs
体系的に学ぶ 安全なWebアプリケーションの作り方 第2版 | SBクリエイティブ
2011年3月刊行 「体系的に学ぶ 安全なWebアプリケーションの作り方」の改訂版。 Webアプリケーションに
 
評価     

[Comment] 通称「徳丸本」。 Web アプリケーションを作成する際にはまず読んでおきたい一冊。近々第3版が出るらしい。

Powered by linkcard

thumbs
ハッキング思考 強者はいかにしてルールを歪めるのか、それを正すにはどうしたらいいのか
富裕層、権力者、急成長企業はシステムをハッキングして成功した。AI時代にルールを味方につけるには、「正しいハッキングの考え方」が必要だ。
 
Release 2023-10-16
評価     

[Comment] Kindle 版あり

Powered by linkcard

photo
セキュリティはなぜやぶられたのか
ブルース・シュナイアー (著), 井口 耕二 (翻訳)
日経BP 2007-02-15
単行本
4822283100 (ASIN), 9784822283100 (EAN), 4822283100 (ISBN)
評価     

[Comment] 原書のタイトルが “Beyond Fear: Thinking Sensibly About Security in an Uncertain World” なのに対して日本語タイトルがどうしようもなくヘボいが中身は名著。とりあえず読んどきなはれ。ゼロ年代当時 9.11 およびその後の米国のセキュリティ政策と深く関連している内容なので,そのへんを加味して読むとよい。

reviewed by Spiegel on 2019-02-11 (powered by PA-APIv5)