パッケージの管理(モジュール対応版)

随分前に「go get コマンドでパッケージを管理する」を書いたのだが,内容が古すぎて使い物にならなくなっている。 この記事を全面改訂してもいいのだが,個人的には当時の試行錯誤っぷりに懐かしい気分になったので,これはそのまま手を加えず新たに記事を起こすことにした。 特にパッケージとモジュールの関係に注意して読んでいただければ幸いである。

前提条件

作業プラットフォームは UbuntuGo コンパイラのバージョンは 1.13.x (またはそれ以上) とする。 環境構築手順は以下を参考にどうぞ。

各環境変数の値(一部)は以下の通り。

$ go env GOPATH
GO111MODULE=""
GOARCH="amd64"
GOCACHE="/home/username/.cache/go-build"
GOENV="/home/username/.config/go/env"
GOHOSTARCH="amd64"
GOHOSTOS="linux"
GOOS="linux"
GOPATH="/home/username/go"
...

プラットフォームによって環境変数の値は異なるが凡その振る舞いは同じなので,適当に読み替えていただきたい。

ちなみに GO111MODULE の値として以下を設定できる。

内容
on 常にモジュール対応モードで動作する
off 常に GOPATH モードで動作する
auto $GOPATH 以下のディレクトリにあるパッケージは GOPATH モードで,それ以外はモジュール対応モードで動作する

GO111MODULE 未定義時の既定は auto。 なお,バージョン 1.13 からは auto$GOPATH 以下のディレクトリで作業していても go.mod によるモジュール定義がされている場合はモジュール対応モードで動作するようになった。

ありのまま今おこった事を話すぜ!

パッケージ hello を作って実行してみる

まずは $GOPATH/src/hello ディレクトリを作成し,以下のソースコード hello.go を記述する。

package hello

import "fmt"

func Hello(s string) {
	if s == "" {
		s = "there"
	}
	fmt.Println("Hello", s)
}

ついでに動作確認を兼ねてテスト用に example_test.go ファイルも作っておこう。 中身はこんな感じ。

package hello_test

import "hello"

func ExampleHello() {
	hello.Hello("World")
	//Output:
	//Hello World
}

これで

$ go test ./...
ok  	hello	0.001s

とかなればパッケージ hello の完成である。

次にパッケージ hello を使うコードを書いてみる。 $GOPATH/src/sample ディレクトリを作成し,以下のソースコード sample.go を記述する。

package main

import "hello"

func main() {
	hello.Hello("World")
}

先程のサンプル関数 ExampleHello() と同じ内容なので出力結果は同じになる筈である。 このコードをコンパイル&実行してみる。

$ go run sample.go 
Hello World

うんうん。 ここまでは問題なし。

パッケージをモジュール化する

では,パッケージ hellosample をモジュール化してみよう。

まずはパッケージ hello から。

$ go mod init hello
go: creating new go.mod: module hello

$ go test ./...
ok  	hello	(cached)

よーし,うむうむ,よーし。

つぎはパッケージ sample

$ go mod init sample
go: creating new go.mod: module sample

$ go run sample.go 
build command-line-arguments: cannot load hello: cannot find module providing package hello

ありゃりゃーん。 コンパイルに失敗しちゃったよ。 パッケージ hello をロードできないと言っている。 ロード?

ここで $GOPATH/pkg/linux_amd64 ディレクトリを見るも hello に対応するコンパイル済みバイナリは存在しない。 それもその筈で,最近の Go コンパイラは外部パッケージのロードとコンパイルをモジュール毎に $GOPATH/pkg/mod および $GOCACHE ディレクトリ下で行っている1。 したがってモジュール対応モードでは $GOPATH/src 下にある外部パッケージのコードは参照しないのだ。

さて,困ったね。

解決法1: 強制的に GOPATH モードにする

環境変数 GO111MODULE の値を off にすることにより, go.mod の有無に依らず強制的に GOPATH モードでビルドすることができる。 上述の例であれば

$ go env -w GO111MODULE=off

$ go run sample.go 
Hello World

とすればよい2

ただし Go コンパイラの開発側は GOPATH を将来的に無くす方向で議論および開発を進めているため(後方互換性の観点からバージョン 1.x のうちは大丈夫だろうが)このやり方はあまりオススメできない。 暫定措置というやつである。

解決法2: replace ディレクティブを使う

sample パッケージの go.mod に以下のディレクティブを追記することで,ローカルにある hello パッケージのコードを参照するようになる。

replace hello => ../hello

replace ディレクティブは非常に便利なのだが,どうしても環境依存の記述になってしまうのが欠点である。 たとえば外部の CI/CD サービスと組み合わせる場合はローカルの環境と同じになるように設定をチューニングする必要があるかもしれない。 これも暫定措置だよね。

解決法3: モジュール・パッケージ構成を再設計する

まぁ,身も蓋もない話だが,最終的にはモジュールおよびパッケージの構成を再設計するしかないだろう。

今回の例で言えば sample パッケージの構成を

$ tree sample
sample
├── go.mod
├── hello
│   ├── example_test.go
│   └── hello.go
└── sample.go

1 directory, 4 files

として sample.go

package main

import "sample/hello"

func main() {
	hello.Hello("World")
}

と書き換えればいい。 hello パッケージを sample モジュール内のサブ・パッケージとして再構成するのである。

Go 言語における「モジュール」は「パッケージ(群)+バージョン」であり,しかもバージョン管理は git 等 VCS の機能に依るところが大きい。 故に「1モジュール=1リポジトリ」を目安にすべきだろう(でないとバージョン管理が煩雑になる)。 その上で「モジュール=リポジトリ」内に関係の密なパッケージ(群)を組み込んでいくというのが Go 言語プログラミング設計の基本的な進め方になると思うのだが,どうだろう。

ブックマーク

参考図書

photo
プログラミング言語Go (ADDISON-WESLEY PROFESSIONAL COMPUTING SERIES)
Alan A.A. Donovan (著), Brian W. Kernighan (著), 柴田 芳樹 (翻訳)
丸善出版 2016-06-20
単行本(ソフトカバー)
4621300253 (ASIN), 9784621300251 (EAN), 4621300253 (ISBN), 9784621300251 (ISBN)
評価     

著者のひとりは(あの「バイブル」とも呼ばれる)通称 “K&R” の K のほうである。この本は Go 言語の教科書と言ってもいいだろう。

reviewed by Spiegel on 2016-07-13 (powered by PA-APIv5)


  1. 古いバージョンの Go コンパイラでは環境変数 GOCACHEoff をセットすることでキャッシュ利用を無効化することができたが,最近のバージョンでは off は設定できなくなっている。 ↩︎

  2. コマンド go env -w で設定した環境変数の値を削除するには -u オプションを使う。例えば go env -u GO111MODULE のように使う。 ↩︎