GnuPG 2.4.0 のリリース【セキュリティ・アップデートを含む】
入院中だったためリアクションが遅れたけど GnuPG 2.4.0 がリリースされた。 そして,25周年おめでとう!
そういえば昨年は030周年だったな(笑)
2.4 系がリリースされたことで,今後は 2.4 系が最新 stable 版としてメンテナンスされていく。 LTS 版である 2.2 系は 2.4 系の不具合や脆弱性の修正のみバックポートされることになるだろう。
そして,このバージョンから
となるそうだ。 うーん,試す環境がない。 Ubuntu は 2.2 系のまま突き進むのかなぁ。
CVE-2022-3515 GnuPG / Libksba Security Advisory
今回のリリースには Libksba のセキュリティ・アップデートを含んでいる。
これによると
だそうだ。 結構ヤバい。 “Updating this library is thus important.” とあるので早めのアップデートを。
Libksba のバージョンを確認するには
$ gpgconf --show-versions | grep KSBA
とすればいいらしい。 これで
* KSBA 1.6.3 (xxxxx)
てな風になっていれば OK かな。
CVSS:3.1/AV:N/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:H/I:H/A:H
- 深刻度: 緊急 (Score: 9.8)
基本評価基準 | 評価値 |
---|---|
攻撃元区分 | ネットワーク |
攻撃条件の複雑さ | 低 |
必要な特権レベル | 不要 |
ユーザ関与レベル | 不要 |
スコープ | 変更なし |
機密性への影響 | 高 |
完全性への影響 | 高 |
可用性への影響 | 高 |
GnuPG 関連パッケージ
GnuPG 関連の各パッケージのバージョンは以下の通り(数字は大体のビルド順)。
# | パッケージ名 | バージョン | 公開日 | 更新 |
---|---|---|---|---|
1 | Libgpg-error | 1.46 | 2022-10-07 | |
2 | Libgcrypt | 1.8.9 (LTS) | 2022-02-07 | |
Libgcrypt | 1.10.1 | 2022-03-28 | ||
3 | Libassuan | 2.5.5 | 2021-03-22 | |
4 | Libksba | 1.6.3 | 2022-12-06 | |
5 | nPth | 1.6 | 2018-07-16 | |
6 | ntbTLS | 0.3.1 | 2022-04-07 | |
7 | GnuPG | 2.2.41 (LTS) | 2022-12-09 | |
GnuPG | 2.4.0 | 2022-12-16 |
現在 GnuPG には 2.2 系と 2.4 系があり1, 2.4 系では AEAD (Authenticated Encryption with Associated Data) 等 RFC 4880bis で検討されている機能が実装されている。 2.2 系は 2.4 系のサブセットという位置づけで,少なくとも2024年末まではサポートが続けられる予定である。
そうそう。 Windows 版 pinentry の文字化けを解消した改良版を公開されている方がいる。ありがたや。
アップデートは計画的に。
ブックマーク
参考図書
- 暗号化 プライバシーを救った反乱者たち
- スティーブン・レビー (著), 斉藤 隆央 (翻訳)
- 紀伊國屋書店 2002-02-16
- 単行本
- 4314009071 (ASIN), 9784314009072 (EAN), 4314009071 (ISBN)
- 評価
20世紀末,暗号技術の世界で何があったのか。知りたかったらこちらを読むべし!
- 暗号技術入門 第3版 秘密の国のアリス
- 結城 浩 (著)
- SBクリエイティブ 2015-08-25 (Release 2015-09-17)
- Kindle版
- B015643CPE (ASIN)
- 評価
SHA-3 や Bitcoin/Blockchain など新しい知見や技術要素を大幅追加。暗号技術を使うだけならこれ1冊でとりあえず無問題。
-
厳密には1.4系もあるが,これは legacy 版と位置付けられており,よほどのバグか脆弱性がない限りは更新されない。もし今だに1.4系(あるいは既にサポートされていない2.0/2.1系)を使っているのなら2.2系以降にアップグレードすることを強くお勧めする。 ↩︎