データ駆動社会と監視資本主義

no extension

MIT Technology Review 日本版は当然ながら翻訳記事が多いのだが日本人の書いた記事もあるらしい(笑)

ちなみに著者の田中恵子さんは GLOCOM の中の人のようだ。

そういや最近 Lawrence Lessig 教授が来日するとかしたとかいう記事を何処かで見たような。 同じ MIT Technology Review だっけ?

なお,このインタビュー記事に関しては yomoyomo さんの優れた解説記事があり,あれ以上はどう書いても蛇足にしかならないだろうと思ってブログ記事にはしないつもりだったが,やっぱ記録を残しておくのは大事だよね,ということで覚え書きとして残しておく。

「データ駆動社会」というと分かりにくいが Jock Young の『排除型社会』(原書は1999年に出ている)で言うところの「保険統計主義」で置き換えれば分かりやすいだろう。 このブログでは何度も引用しているが,もう一度挙げておく。

後期近代社会における社会統制の基調にあるもの、それは「保険統計主義」である。 すでにみたように〔第2章の表2-2(一一九頁)〕、ここでは正義を追求することよりも被害を最小限にすることが求められている。 そして犯罪や逸脱の原因を探ったところで犯罪という社会問題は解決しないとみなされている。 保険統計主義の中心にあるのはリスク計算である。 それは精度の高い確率論的解析であり、そこで注意が向けられるのは問題の原因ではなく、その問題が起こる蓋然性である。 保険統計主義にとって重要なのは、正義ではなく、被害の最小化である。 それが目的とするのは、世界から犯罪をなくすことではなく、損害を最小限にする効果的手段である。 それが追求するのは、ユートピアをつくりだすことではなく、敵意に満ちたこの世界に塀で囲まれた小さな楽園をできるだけ多くつくりだすことである。 (p.170)
via 排除型社会

「データ駆動社会」のベースにあるものがこの「保険統計主義」であるなら,社会が「監視資本主義」へ向かうのは当然の成り行きと言える。 それはインターネットが云々とかビッグデータや AI 技術が云々とか言う以前に既定路線として運命づけられたものだったのかもしれない。 もしくは前世紀から言われていることの「再放送」に過ぎないのか。

ところで,これだけお世話になっている MIT Technology Review 日本版に今だにお金を払う気にならずにいるのだが,はっきり言って訳文が「信用できない」のだ(英語不得手だからこそ)。 せめて原文へのリンクと翻訳者のクレジットを入れてくれないものだろうか。 話はそれからだ。

ブックマーク

参考図書

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排除型社会―後期近代における犯罪・雇用・差異
ジョック ヤング
Jock Young (原著), 青木 秀男 (翻訳), 伊藤 泰郎 (翻訳), 岸 政彦 (翻訳), 村澤 真保呂 (翻訳)
洛北出版 2007-03
Book 単行本
ASIN: 4903127044, EAN: 9784903127040
評価     

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超監視社会
ブルース・シュナイアー
池村 千秋 (翻訳)
草思社 2016-12-13 (Release 2017-02-03)
eBooks Kindle版
ASIN: B01MZGVHOA

実は積ん読のまま読んでない。そろそろちゃんと最後まで読まないと。

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