Firefox の DoH は無効にすべきか(もしくは水売りと水道局)
先日 Mozilla が DoH (DNS-over-HTTPS) を Firefox に正式に実装するとアナウンスがあったが
- What’s next in making Encrypted DNS-over-HTTPS the Default - Future Releases
- Mozilla Firefox to begin slow rollout of DNS-over-HTTPS by default at the end of the month • The Register
- FirefoxがDNSとの通信を暗号化する「DNS over HTTPS(DoH)」を正式に実装すると発表 - GIGAZINE
これに懸念を呈する面白い記事がある。
これは ISPA の言いがかりみたいな話ではなく,現在のインターネットの構造,ひいては社会システムに連動する問題提起だ。
そもそも件のブログ記事は DoH 自体には反対していない。
そして,問題は DoH が組み込まれる Firefox がアプリケーションに過ぎないこと, DoH のホストとして米国の Cloudflare を利用していることだと主張している。
これで思い出すのが,かつて言われた「水のような音楽」というやつだ。
もともと「水のような音楽」は DRM (Digital Right Management) で貞操帯のごとくがんじ搦めにされたコンテンツに対するアンチテーゼのようなものだった。
しかし,音楽にしろ映像にしろ,無料または定額制のストリーミングサービスが一般化し「水のような音楽」が合法的に利用できるようになって分かったことは 「水道水はミネラルウォーターより統制しやすい」 といういうことだった。
言ってみれば「水」を売るのが「水売り」から「水道局」に代わっただけで,むしろ「水道局」のほうが中央集権的で統制に向いているのは明らかである。 いずれにしろ利用者に自由なんてものはないのだ。
これは音楽や映像といったコンテンツに限らず電子メール等のメッセージング・サービスや(マイクロ)ブログにも言えることで,今回の Firefox への DoH 実装は インターネットによる統制 を更に更に推し進めていくだろう,というわけだ。
そういう意味でも ISPA の言いがかりはホンマに言いがかりなんだなぁ,と思ってしまう。
ちなみに件のブログでは
と書かれていて,これに関しては激しく同意する。
そういえば最近 Firefox 69 がリリースされて
一瞬喜んだが,私のケータイは 68.x から一向にアップグレードされる気配がない。
はっきり言おう。
本当に Mozilla がユーザのプライバシーを重視しているというのなら,検索サービスの既定を DuckDuckGo にすべき。 話はそれからだ。
ブックマーク
参考文献
- 超監視社会
- ブルース・シュナイアー (著), 池村 千秋 (翻訳)
- 草思社 2016-12-13 (Release 2017-02-03)
- Kindle版
- B01MZGVHOA (ASIN)
実は積ん読のまま読んでない。そろそろちゃんと最後まで読まないと。
- デジタル音楽の行方
- David Kusek (著), David Kusek (著), Gerd Leonhard (著), Gerd Leonhard (著), yomoyomo (著), yomoyomo (翻訳), 津田 大介 (翻訳)
- 翔泳社 2005-12-06
- 単行本
- 4798110035 (ASIN), 9784798110035 (EAN), 4798110035 (ISBN)
読んでない。絶賛絶版中? もはや歴史的価値の有無さえ不明。「デジタル」とタイトルに冠されているにも関わらず Kindle 化すらされてないことに出版側のやる気を感じる(笑)