悪意のコードを含む多数の分岐リポジトリが見つかった話
2022-08-03 頃の Twitter TL でちょっとした騒ぎを見かけたのだが,詳細記事が出たらしい。
最初は各リポジトリに悪意のコードがねじ込まれたのか? とリポジトリ・アクセスの認証周りを疑ったが,実はそうではなく
ということらしい。 GitHub の公式 tweet にも
とあり,ひと安心といったところ。
知らない人のために一応解説しておくと GitHub には pull request という仕組みがあり,他者のリポジトリにコードを貢献したい場合に自身のリポジトリに分岐(fork)させた上でコードを変更・追加し,そのコードを対象のリポジトリにマージするよう提案を行うことができる。 提案を受けた側は,そのコードのレビューを行った上で明示的な操作でコードを受け入れることができる。 もちろんダメなら拒否もできる。
Pull request は GitHub アカウントを持つユーザなら誰でも可能であり,その過程で悪意のコードを忍ばせることは形式上は可能である。 まぁ,普通は「そういう PR はレビューで拒否しましょうね」となるだろうし,一度そんなコードを送りつけた相手を二度と信用することはないだろう。 なので今回の件は spam の一種とみなすこともできる。 実際,アホみたいな数だしね。
気をつける点があるとすれば「悪意の PR」を送りつけるために作った分岐リポジトリのコードをうっかり取り込んでしまう場合だろう。 最初に紹介した記事では
と述べている。 言われんでも(笑)
それに続けて
と書かれているが,ぶっちゃけプロジェクトの外側にいる人から見てコミットに OpenPGP 署名があることは大した保証にはならない。 この辺は以前書いた拙文を参考にしてほしい。
オープンソース・プロジェクトであれば pull request を受け付けるメンテナの技量と判断が試されるところだろう。
ブックマーク
参考図書
- セキュリティはなぜやぶられたのか
- ブルース・シュナイアー (著), 井口 耕二 (翻訳)
- 日経BP 2007-02-15
- 単行本
- 4822283100 (ASIN), 9784822283100 (EAN), 4822283100 (ISBN)
- 評価
原書のタイトルが “Beyond Fear: Thinking Sensibly About Security in an Uncertain World” なのに対して日本語タイトルがどうしようもなくヘボいが中身は名著。とりあえず読んどきなはれ。ゼロ年代当時 9.11 およびその後の米国のセキュリティ政策と深く関連している内容なので,そのへんを加味して読むとよい。