インターネットという単一知性
12月に入って急に忙しくなり,クリスマスどころではない Spiegel です。
ここのところ Bruce Schneier さんが立て続けにエッセイを公開しているのだが,今回も面白い。
いわゆる「モノのインターネット(Internet of Things; IoT)」のもう少し先の未来(かもしれない)話。 今回はちょっと SF チックかな。
The real changes will happen when these AIs group together in a larger intelligence: A vast network of power generation and power consumption with each building just a node, like an ant colony or a human army.
[…]
It will call on humans as needed: to repair individual subsystems or to do things too specialized for the robots.
Bruce Schneier さんはこれを「新しいロボット」として話を展開する。
But our new robots are different. Their sensors and actuators are distributed in the environment. Their processing is somewhere else. They’re a network of individual units that become a robot only in aggregate.
This future requires us to see ourselves less as individuals, and more as parts of larger systems. It’s AI as nature, as Gaia—everything as one system. It’s a future more aligned with the Buddhist philosophy of interconnectedness than Western ideas of individuality. (And also with science-fiction dystopias, like Skynet from the Terminator movies.)
まぁ,確かに仏教の「諸法無我」の考え方に近いかもね。 これって「新しいロボット」の立場から見ればそうなんだろうけど,使役される人間から見れば「ネオ封建制(NEO-Feudalism)」そのものだよな。 そうなると,この「新しいロボット」を統御するのは誰? という話になってくる,当然ながら。
This turns our notion of security on its head. If massive, decentralized AIs run everything, then who controls those AIs matters a lot. It’s as if all the executive assistants or lawyers in an industry worked for the same agency. An AI that is both trusted and trustworthy will become a critical requirement.
私のような手塚治虫マンガに毒された世代としては『火の鳥 未来編』のハレルヤを連想せずにはいられないけどね(笑)
(以下,いつもの戯れ言)
ゼロ年代,夢の Web 2.0 の頃はこんな妄想をしていた。
そういえば Google は何か言ってなかったか。世界中の情報をグラフ化するとかどうとか。もし地球の外から今の地球を見たとき, 観測できる「知性」はただひとつしか存在しないかもしれない。「The Net」を自称する「知性」。ネットを構成する素子(=ヒトやコンピュータ)には決して認識できない存在。もとよりヒトごときがネット上の「創発」を認識することなどあり得ないのではないのか
この妄想は「ネットのテレビ化」で脆くも崩れ去ったわけだが,インターネットという神経ネットワークのノードが人間ではなく AI なら面白そうである。 ネット上の主要プレイヤーがヒトから機械にとって代わるのであれば,今度こそ地球上に知性が誕生すると期待していいのだろうか(笑)
ブックマーク
参考
- ハッキング思考 強者はいかにしてルールを歪めるのか、それを正すにはどうしたらいいのか
- ブルース・シュナイアー (著), 高橋 聡 (翻訳)
- 日経BP 2023-10-12 (Release 2023-10-12)
- Kindle版
- B0CK19L1HC (ASIN)
- 評価
Kindle 版が出てた!
- 新しい封建制がやってくる―グローバル中流階級への警告
- ジョエル コトキン (著), 寺下 滝郎 (翻訳), 中野 剛志 (その他)
- 東洋経済新報社 2023-11-01 (Release 2023-11-01)
- Kindle版
- B0CG5R6N2G (ASIN)
「ネオ封建制(NEO-Feudalism)」。ネーミングが胡散臭くて買う気がしなかったのだが,やっぱ読んでおいたほうがいいのか? まぁ,安いし,300ページくらいの量なら(笑)
- PLUTO デジタルVer.(1) (ビッグコミックス)
- 浦沢直樹×手塚治虫 (著), 長崎尚志プロデュース (著), 手塚プロダクション (著), 手塚眞 (読み手)
- 小学館 2004-09-30 (Release 2022-10-28)
- Kindle版
- B0BHYJKB5N (ASIN)
- 評価
今までの浦沢直樹さんの作品の中で一番なんじゃないだろうか。地上最大のロボット」って実はあまり印象にないんだよねぇ。全集なんかで読み返すと当時は(時代を反映した)結構な問題作だったらしいが,敢えてそれを選ぶってのが凄いよなぁ。オリジナルのラストはちょっと切ないというか物足りない終わり方をしているのだが,浦沢版ではいったいどうなるのか。楽しみである。
- 火の鳥 3
- 手塚治虫 (著)
- 手塚プロダクション (Release 2014-04-25)
- Kindle版
- B00JPXEATA (ASIN)
- 評価
おー。「火の鳥」の Kindle 版があるのか。表紙からして未来編かな。
- Brave Blazar (feat. MindaRyn)
- TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND (メインアーティスト)
- Lantis (Release 2023-12-13)
- MP3 ダウンロード
- B0CNSPHTF4 (ASIN)
- 評価
「ウルトラマンブレーザー」後期ED曲。 MindaRyn さんはよい。
- ときめきポポロン♪
- チマメ隊 (メインアーティスト)
- NBCUniversal Entertainment (Release 2016-05-25)
- MP3 ダウンロード
- B01FI3BM00 (ASIN)
- 評価
あざと可愛らしい曲。個人的にクリスマスソングとして聴いている(笑)
- “らしく”いきましょ
- 井上苑子 (メインアーティスト)
- King Records 2018-04-04 (Release 2018-04-04)
- MP3 ダウンロード
- B07BTBMG58 (ASIN)
- 評価
アニメ「セーラームーン SuperS」のED曲。原作者の武内直子さんの作詞らしい。可愛らしい曲。仕事で煮詰まってるときに聴くともうちょっと頑張ろうって気になる(笑)