今年も心臓リハビリ@がんばらない

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Java や Go の翻訳本でおなじみ柴田芳樹さんのブログで『心臓リハビリテーション入門』という本が紹介されていた。

私も他人事ではないので早速買って斜め読みしてみた。

五体満足のまま死ぬ人などいない(心臓はいずれ止まる)

昨年末のふりかえりでも書いたが,五体満足のまま死ぬ人などいない。 大きな怪我もなく運よく五体満足で生きてきた人も,いつか「治らない病」を得て身体の機能を失っていき,やがて心臓も止まって死ぬのである。

「健康寿命」なる不遜な言葉がある。 件の本では「健康寿命」のことを「健康上の理由で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義しているようだ。 現代の「健康」という言葉の裏面には障害や怪我や病気を忌避するネガティブなイメージがつきまとう。 それらから逃れるために人は過剰に「健康」を求める。

でもね。 世の中には「治らない病」なんて今でもアホほどあるし,自分は健康だと思っている人もいつかは死に至る「治らない病」に罹るのよ。 人間の寿命が伸びて癌や心不全で亡くなる人が増えるのは当たり前の話なのだ。 日本では,いわゆる寿命と「健康寿命」との間には10歳程度のギャップがあるそうな。 つまり,そういうことである。

「『心不全は安静が第一』は過去の話!」らしい

私が20数年前に死にかけたときは,とにかく激しい運動は避けて安静にしているように言われた。 でも「激しい運動を避ける」ってどこまでならOKなのか。 当時の私が「残りの人生ぜんぶ余生だ」と思ったのも無理からぬことだろう(言い訳)。

一昨年の年末に心筋梗塞で入院したときは理学療法士の方に色々とアドバイスをいただいた。 これは本当にありがたかった。 できることとできないことの境界を示してもらい,その上で日常生活で気をつけることをアドバイスしてもらった。

心臓リハビリテーション入門』の帯にはデカデカと「『心不全は安静が第一』は過去の話!」と書かれている。 心臓の調子が悪いなら脚の筋肉を鍛えればいいのである。 そのためには有酸素運動による運動療法を継続していくことが重要である。 アドバイスしていただいた理学療法士の方には「効果が見えるようになるのは5年後」と言われた。 なかなかの長期計画だ。 それでも死を待つだけの漫然とした残り人生よりはきっと面白いに違いない。

「運動」「食事」「ストレスマネージメント」

というわけで,前置きが長くなったが『心臓リハビリテーション入門』の紹介。

ぶっちゃけ1章と2章は読み飛ばしてよい。 最初に脅すような文言を散りばめるタイプのマッチポンプな書籍構成って,正直に言って苦手なんだよね。

3,4,5章は心臓リハビリの三本柱である「運動」「食事」「ストレスマネジメント」について詳しく書かれているので参考になると思う。 大体は主治医や理学療法士の方にアドバイスしていただいた通りの内容だったけど。 自身には関係ないという方でも周囲に心臓に持病があって心臓リハビリやってるよという人がいたら読んでみてもいいだろう。

6章は心臓リハビリ施設に行けという,まぁ,宣伝みたいな章である(笑) でも,「運動」や「食事」はある程度自分でコントロールできるけど「ストレスマネジメント」は独りでは難しいことも多いだろう。 持病を抱えると多少は(かなり?)周囲の助けが必要になる。 それを気に病んでしまうとなかなか,ねぇ。 ちなみに松江市内では松江市立病院,松江赤十字病院,松江生協病院といった大きな病院にはリハビリテーション施設と専門医がいるらしい。 医院・クリニックや診療所ではなさそうかな。

今年も心臓リハビリ@がんばらない

私自身は1昨年の退院時に「まずは 4 METs を目指す」ようアドバイスされたが,これは通勤とかで時速16km以下で自転車に乗るレベルの活動量で,既にクリアしている。

件の本には載ってなかったが,運動強度を計る目安として心拍数ゾーンというのがある。 これは最大心拍数を基準に5つのゾーンに分けたもので1

  • ゾーン1:最大心拍数の50〜60%,ウォームアップやクーリングダウン
  • ゾーン2:最大心拍数の60〜70%,ジョギングや LSD
  • ゾーン3:最大心拍数の70〜80%,ジョギングやペース走
  • ゾーン4:最大心拍数の80〜90%,インターバルやレペティション
  • ゾーン5:最大心拍数の90〜1000%,インターバルやタイムトライアル

といった感じらしい。 実は自転車でも LSD (Long Slow/Steady Distance) は注目されているそうで,基礎トレーニングとしてゾーン2を維持しながら1時間以上走り続ける(またはローラー台などで漕ぎ続ける)のだそうだ。 すぐに効果が現れるようなものではないみたいだが,長期的な視点で身体の土台を作る上では重要なんだとか。

ゾーン2だと息切れせず喋りながら運動できる程度の強度なので心臓リハビリにもちょうどいい。 というわけで,最近はゾーン2を意識しながら自転車やフィットネスバイクに乗っている。 アクティビティ中の心拍数ゾーンは Fitbit や Garmin などの活動量計で簡単に分かるので便利である。

休日のサイクリング&お散歩カメラは丁度いい気晴らし (ストレスマネジメント) になって助かっている。 これは今後も続けたいものである。

食事に関しては完全に家族に感謝だ。 独り暮らしだと食事のコントロールはなかなか難しい。 すっかり減塩生活に慣れたおかげでインスタントラーメンは味が濃すぎて全く食べなくなった。 でも1,2ヶ月ごとなら天一でこってりラーメンは食べれる。

新年早々の天一 | Flickr

その後めっちゃ走るけど(笑)

というわけで,今年も日常生活のついでに心臓リハビリを緩く長く頑張らずに続けていく所存である。 ただ死なないための「健康寿命」などク◯喰らえだと思っているが,病と上手に付き合い,目的を持って,あるいは世の中を楽しく生きていけるのなら,もっと積極的に生きてもいんじゃない? と思えるようになった今日この頃である。

ブックマーク

参考

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健康寿命を延ばす心臓リハビリテーション入門
飯田 圭 (著)
幻冬舎 2023-12-18 (Release 2023-12-18)
単行本(ソフトカバー)
4344947509 (ASIN), 9784344947504 (EAN), 4344947509 (ISBN)
評価     

Java や Go 本の翻訳でおなじみ柴田芳樹さんのブログで紹介されていたのでポチってみた。心臓リハビリの三本柱「運動」「食事」「ストレスマネージメント」について解説されている。

reviewed by Spiegel on 2024-01-08 (powered by PA-APIv5)

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評価     

決め手は省スペース。ただし,サドルが幅広で乗りにくいのとペダルがサドルよりかなり前方にあるせいで自転車のようには漕げない。ガチでペダリングの訓練がしたいならおすすめできない,けどまぁ心臓リハビリ用だし,と割り切れば悪くないと思う。

reviewed by Spiegel on 2023-01-06 (powered by PA-APIv5)

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評価     

サイクルコンピュータと Bluetooth または ANT+ で連携可能なスマートバンド(活動量計)として購入。 Garmin 製なのに自前では GPS 機能がない(スマホの GPS 機能と組み合わせて使う)。活動量計としての機能は十分というかありすぎる(笑)

reviewed by Spiegel on 2023-08-01 (powered by PA-APIv5)

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Canon コンパクトデジタルカメラ PowerShot ZOOM 写真と動画が撮れる望遠鏡 PSZOOM
キヤノン (Release 2020-12-10)
エレクトロニクス
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評価     

望遠鏡型コンパクトデジカメ。メモリと充電器(要 Power Delivery)は別に用意する必要がある。使い勝手はまぁまぁ。

reviewed by Spiegel on 2022-12-04 (powered by PA-APIv5)

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ささみさん@がんばらない【TBSオンデマンド】
高山カツヒコ (Writer), 新房昭之 (監督), ――― (プロデュース)
(Release 2013-05-15)
Prime Video
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評価     

2013年の作品なんだねぇ。

reviewed by Spiegel on 2023-02-08 (powered by PA-APIv5)


  1. 最大心拍数の厳密な計測には道具がいるのだが(人によって違うため),年齢から概算を出すこともできる。よく言われるのが「$220-年齢$」の計算式。あるいは「$208-0.7\times年齢$」というのもあるらしい。さらに最大心拍数と安静時心拍数を使って目標の心拍数を算出するには「$(最大心拍数-安静時心拍数)\times 運動強度+安静時心拍数$」と計算する。たとえば最大心拍数を160,安静時心拍数を60とするとゾーン2の心拍数は $120〜130\ \mathrm{bpm}$ を目安にすればいいことが分かる。 ↩︎