健康なんてク◯喰らえ!
いやぁ,いきなり下品なタイトルですまん。 Bluesky の TL で以下の記事を見かけて,そう思っちまったのさ。
私の親世代は戦中戦後の食糧難の時代に子供だった世代で「痩せてる」ことは貧困の象徴だったのよ。 だから私が一番肥ってた頃でも(うちの親以外は)あまり言われることはなかった。
でも今どきは「肥ってる」とセルフコントロールができない奴だと見なされる。 「メタボ」への(医学的なリスク以前の)嫌悪感もそれだよな。 痩せてるか肥ってるかのイメージなんてのはそんなもんである。
ぶっちゃけ,腹回りのサイズと(メタボリック症候群の指標となる)内臓脂肪の量は関係ないことが多く,内臓脂肪の量を正しく知りたければ血液検査か超音波エコー(あるいはCTスキャン?)で観測するしかない1。 私なんて見かけの腹回りサイズはとっくに(「メタボ」基準を)クリアしてたのに今年の健康診断の診察でようやく「頑張ったね」と言われたんだぜ(笑) まぁ医者は健康を「余命損失リスク」で評価するから当然なのだが。
私の場合,体重はここ2年ほどで8kg近く落とした。 もっと言えば最近10年間で10kg以上落とした。 2年間で急激に体重が落ちたのは,まぁ,心臓リハビリの副作用みたいなもんである。
はっきり言うが,ダイエットは TDEE (Total Daily Energy Expenditure; 一日の総活動量) と摂取カロリーのバランスである。 ゴリゴリに運動を頑張ってもそれを上回る食事量なら痩せるわけないし,逆にデスクワークばかりでほとんど運動しない人でも食わなきゃ肥らない。 ましてや「食べて痩せる」ダイエットなんかあるわけない。 毒でも摂れば別だろうけど(笑)
もうひとつ。 カロリーの消費には2種類あるそうで,それが脂質を変換して消費させる方法と糖質を直接消費させる方法である。 前者はいわゆる有酸素運動で後者は無酸素運動。 で,筋肉を作る運動は後者なのである。 なので「痩せるために筋肉を付ける」というのはちょっと間違っていて(絶対ダメではないが),痩せるための運動がしたいなら有酸素運動を継続的に行う必要がある。 有酸素運動を継続的に行えば循環器機能が向上するし(心臓リハビリの運動療法はこれが目的)持久力もつく。
私の場合は(運動嫌いなので)高強度の無酸素運動は一切やらない。 マッチョになる気はないので。 自転車に乗る場合も ZONE22 を維持するようにして,無理せず移動と景色を楽しむことに主眼を置いている。 おかげで1日の総走行距離で70km程度は普通に乗り回せるようになった(移動速度は速くないし行った先で遊びたいので,今のところここまでが1日の限界)。 まぁ巡航速度で25km/h以上を維持したいなら筋トレも必要になるし自転車もロードバイクに換えるべきだろうけど。
で,前述したように運動だけでは痩せないので,痩せたいなら食事量を減らすしかない。 目安は TDEE を下回る摂取カロリー。 TDEE は BMR (Basal Metabolic Rate; 基礎代謝量) から大凡の値を計算できる。 また BMR も性別・身長・体重・年齢から以下のように計算できるらしい。
- 男性: $13.397 \times 体重\,\mathrm{(kg)}+ 4.799 \times 身長\,\mathrm{(cm)} − 5.677 \times 年齢 + 88.362$
- 女性: $9.247 \times 体重\,\mathrm{(kg)} + 3.098 \times 身長\,\mathrm{(cm)} - 4.33 \times 年齢 + 447.593$
BMR から TDEE の算出する方法は以下のとおり。
- ほぼ運動しない ($基礎代謝 \times 1.2$)
- 軽い運動 ($基礎代謝 \times 1.375$)
- 中程度の運動 ($基礎代謝 \times 1.55$)
- 激しい運動 ($基礎代謝 \times 1.725$)
- 非常に激しい ($基礎代謝 \times 1.9$)
これらの値は以下のページで簡単に算出できる。 ありがたや 🙇
私の場合,基本はデスクワークで,全く運動しないと約 $1,600\,\mathrm{kcal/day}$,週に1〜2回程度の運動なら約 $1,900\,\mathrm{kcal/day}$,週に3〜5回程度の運動なら約 $2,100\,\mathrm{kcal/day}$ といった感じらしい。 食事量は3食きっちり食べて $1,800\,\mathrm{kcal/day}$ 程度を目安にしている(間食はしない)。 これなら1食あたり $600\,\mathrm{kcal}$ 程度なので全然ふつうの量である。
食事指導で言われたのは以下の通り(持病に対する対策も含めての指導なので注意):
- 3食きっちり食べる。特に朝食は抜いてはいけない
- 間食は避ける。特に夜の間食はNG
- 夕食を食べてすぐ寝ないこと
- 三大栄養素(炭水化物・タンパク質・脂質)のバランスが大事
- 炭水化物(糖質)は摂り過ぎなければ大丈夫(運動するなら糖質ダイエットはNG)
- 脂質(特に揚げ物)の摂取は控え目に。脂質より野菜・タンパク質を多めに摂る(持病対策)
- 塩分・カフェインの摂取は控え目に(持病対策)
- 味噌汁は1日1杯まで
- 辛味もほどほどに(持病対策)。でも塩分代わりの調味料として使うのはアリ
- お酒は控え目に
- 週単位で帳尻があっていればOK。食事に神経質になりすぎないこと
こっち(松江)に帰郷ってからはご飯は茶碗1杯($180\,\mathrm{g}$),おかずは食べる分だけあらかじめ皿に乗せておくようにしている。 これで食べ過ぎは避けられる。
これだけ書くと凄い頑張ってるみたいだが,もはや習慣化してるので「健康のために」何かしているという意識は全くない。 ダイエットしてるつもりもない。 心臓リハビリと自転車で遊んでたら勝手に痩せただけだ。
BMR の計算式を見れば分かるが,歳をとれば BMR は下がる。 つまり歳をとって食事量が減るのは間違ってない。 ただ歳をとると(特に75歳以上の後期高齢者)だんだん消化器官も弱ってくるし,そもそも経口摂取が難しくなるんだよ。 痩せる痩せない以前の問題。 ただ食わせりゃいいというもんでもない。
うちの親父殿は水もまともに飲めなくなって,とろみ剤が必須になった。 最後はそれも駄目になって点滴のみだったけど。
五体満足のまま死ぬ人はいない。 みんないつかは「死に至る病」に罹る。 もしくは事故死か。
いつも書いているが健康は手段であって(生きる)目的ではない。 やりたいことを実現するために健康にも気を配るのは正しいと思うが「健康」のために日常生活を犠牲にするのは間違っている。
私の親世代(の子供時代)は誰もが生き延びるために必死だった。 今は(全ての人というわけではないだろうが)もう少し余裕のある人生を送れる。 ただ生きるために生きる以上のことができる筈である。 「健康」のために人生を棒に振るのは馬鹿らしい。
だから敢えて言おう。 「健康なんてク◯喰らえ!」である。
参考
- STEADY フィットネスバイク 【 Designed in Japan 独自開発の非接触式airホイール®︎ / 静音 / 専用モニター ( 心拍数 / 距離 / カロリー / スピード ) 折りたたみ 】ST102 負荷8段階 タブレットホルダー (2.ブラック(背もたれなし))
- B08FZTLQG3 (ASIN), 4580559833602 (EAN)
- 評価
決め手は省スペース。ただし,サドルが幅広で乗りにくいのとペダルがサドルよりかなり前方にあるせいで自転車のようには漕げない。ガチでペダリングの訓練がしたいならおすすめできない,けどまぁ心臓リハビリ用だし,と割り切れば悪くないと思う。
- GARMIN(ガーミン) vívosmart 5 Black S/M バンド型スマートウォッチ 心拍計【日本正規品】
- ガーミン(GARMIN) (Release 2022-04-21)
- エレクトロニクス
- B09XGYX7JF (ASIN), 0753759301590 (EAN), 753759301590 (UPC)
- 評価
サイクルコンピュータと Bluetooth または ANT+ で連携可能なスマートバンド(活動量計)として購入。 Garmin 製なのに自前では GPS 機能がない(スマホの GPS 機能と組み合わせて使う)。活動量計としての機能は十分というかありすぎる(笑)
- 健康寿命を延ばす心臓リハビリテーション入門
- 飯田 圭 (著)
- 幻冬舎 2023-12-18 (Release 2023-12-18)
- 単行本(ソフトカバー)
- 4344947509 (ASIN), 9784344947504 (EAN), 4344947509 (ISBN)
- 評価
Java や Go 本の翻訳でおなじみ柴田芳樹さんのブログで紹介されていたのでポチってみた。心臓リハビリの三本柱「運動」「食事」「ストレスマネージメント」について解説されている。
- 日経サイエンス2024年9月号 [雑誌]
- 日経サイエンス (編集)
- 日経サイエンス 2024-07-25 (Release 2024-07-25)
- Kindle版
- B0D9VNGMK3 (ASIN)
- 評価
特集は「食欲の正体」。 Kindle 版は後日で購入。 Kindle 版は固定レイアウトなので,ブラウザの Kindle Reader サイトで読める。「健康な肥満」の記事は面白かった。
-
更に言えば BMI では「病的肥満」に分類されるのに血液検査その他の指標は健康を示している,といった事例もあるらしい。 ↩︎
-
心拍数ゾーンのこと。 ZONE2 は最大心拍数の60〜70%程度と言われている。 ↩︎