書きたくないときには書かなくていい

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皆さま,年末をいかがお過ごしでしょうか。 勤務先は昨年と同じく温泉旅館で一泊忘年会を行いましたよ。 ただし今年は皆生温泉へ。

皆生温泉上がりのコーヒー牛乳(白バラ) | Flickr
宴会場 机と椅子助かる | Flickr
閑話休題 (それはさておき)

今回は Bluesky で見かけた記事をネタに戯れ言を書いてみる。

「俺たち」ゆーな(笑) ぶっちゃけ「時間」はつくるものだし。 以上!

…では面白くないので続きを。

この辺の記事を読んでて思い出したのは『Effective Java』や『プログラミング言語Go』の翻訳でおなじみ柴田芳樹さんが挙げておられる以下のイメージ図だ(グラフっぽいけど定量評価ではない)。

ソフトウェアエンジニアの成長カーブ(2):柴田 芳樹 (Yoshiki Shibata):SSブログ

この図について教えてもらったのは,とある読書会の雑談でだったが,その時の話がこんな感じだった。

この図が示すのは,会社から与えられている仕事に慣れて自律的に「学ぶ」ことを止めてしまうと,手持ちのスキルは(時代の流れで)先細りし,さらに学習習慣が失われることにより新たな技術・スキルを得る機会を逸してしまうため,全体としてスキルレベルが低下してしまう,というものです。

特に日本企業は従業員の「今」のスキルレベルに合わせて「できそうな仕事」を見繕って割り振る傾向があり,所属部署から与えられる仕事をこなすことに満足しているとあっという間にスキルが先細りしてしまう,というような話を読書会でもしていました。

ちなみに縦軸の「ソフトウェア・スキル・インデックス」については『プログラマー“まだまだ”現役続行』に詳しく書かれているので是非ご一読を1

自身の話で恐縮だが,私は思考が言語的じゃないのよ。 だから「文章を書く」というのは思考を言語に翻訳する作業なのだ(ブログ記事は意図的に文体を崩して書いてるけど2)。 と同時にインプットした(と思ってる)ことを振り返る機会でもある。 これはプログラミングでも同じ。 思考を言語化することで理解の解像度が上がるし,見落としてたことにも気付ける。

最初に挙げたイメージ図にもある通り,エンジニアの学習・勉強は現役でいるかぎり続くものだけど,続けるための最大のモチベーションは「それ」を楽しめるか否かだと思う。 ただ(仕事はともかく)個人の趣味・興味・関心は歳を重ねるごとに移り変わって当たり前である。 なのにアウトプットは若い頃と同じなんてありえない。

大事なのは好奇心を錆びつかせないことなので,一時的にアウトプットを止めてインプットに専念していいと思うし疲れたならインプットも休んでいいと思う。 まぁ,休むのなら期限を切ったほうがいいだろうけど。

私なんて今年このブログで書いた Go 関連の記事は一本だけだぜ。 年間の記事数はそう変わらないと思うけど。 松江に 帰郷 (かえ) って自転車を再開して明らかに趣味が変わったもんな(笑)

はじめて学ぶ ビデオゲームの心理学』にも書いてあるぢゃん。

年齢に関わらず、遊びは私たちの精神を鋭敏に保つために重要です。 […] 遊ぶことは学ぶことです。

って。

来年は『Go言語で学ぶ並行プログラミング』の読書会が始まるし CVSSv4 の実装もいい加減始めないとなぁ…

参考図書

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Effective Java 第3版
Joshua Bloch (著), 柴田 芳樹 (翻訳)
丸善出版 2018-10-30
単行本(ソフトカバー)
4621303252 (ASIN), 9784621303252 (EAN), 4621303252 (ISBN)
評価     

再勉強中。 Kindle 版のほうがちょっと安いが,勤務先でも使いたかったので紙の本にした。

reviewed by Spiegel on 2021-03-17 (powered by PA-APIv5)

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プログラミング言語Go (ADDISON-WESLEY PROFESSIONAL COMPUTING SERIES)
Alan A.A. Donovan (著), Brian W. Kernighan (著), 柴田 芳樹 (翻訳)
丸善出版 2016-06-20
単行本(ソフトカバー)
4621300253 (ASIN), 9784621300251 (EAN), 4621300253 (ISBN), 9784621300251 (ISBN)
評価     

著者のひとりは(あの「バイブル」とも呼ばれる)通称 “K&R” の K のほうである。この本は Go 言語の教科書と言ってもいいだろう。

reviewed by Spiegel on 2016-07-13 (powered by PA-APIv5)

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プログラマー"まだまだ"現役続行 技評SE選書
柴田 芳樹 (著)
技術評論社 2023-08-01 (Release 2023-08-01)
Kindle版
B0CCY7VJ4C (ASIN)
評価     

初版は2006年。当時は「プログラマ35歳定年説」とか言われてた頃で,仕事でも「私はコード読めないので」とか平気で言う SE がいたりした。この本はそういう風潮に対するアンチテーゼになっていたわけだ。ただし中身は今でも十分通用すると思う。奇抜な内容ではないが,こういうのは継続することが重要だからなぁ。

reviewed by Spiegel on 2023-08-01 (powered by PA-APIv5)

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はじめて学ぶ ビデオゲームの心理学 脳のはたらきとユーザー体験(UX)
セリア ホデント (著), 山根 信二(監修) (著), 山根 信二 (翻訳), 成田 啓行 (翻訳)
福村出版 2022-12-15 (Release 2023-07-03)
Kindle版
B0C9Z7KGRN (ASIN)
評価     

Kindle 版が出ている。ゲームデザイナやゲームエンジニアだけでなく,ソフトウェア・エンジニアは全員読むべき。あと,ゲーマーな人も読むといいよ。感想はこちら

reviewed by Spiegel on 2023-11-21 (powered by PA-APIv5)

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Go言語で学ぶ並行プログラミング 他言語にも適用できる原則とベストプラクティス impress top gearシリーズ
James Cutajar (著), 柴田 芳樹 (著)
インプレス 2024-12-04 (Release 2024-12-04)
Kindle版
B0DNYMMBBQ (ASIN)
評価     

とりあえず読書会のために購入。版元で PDF 版が買える。サンプルコードは Go で書かれているが,原理的な解説が充実していて Go 以外の言語でも応用できる。

reviewed by Spiegel on 2024-12-15 (powered by PA-APIv5)


  1. プログラマー“まだまだ”現役続行』が最初に出たのは2006年。当時は「プログラマ35歳定年説」とか言われてた頃で,仕事でも「私はコード読めないので」とか平気で言う SE がいたりした。この本はそういう風潮に対するアンチテーゼになっていたわけだ。ただし中身は今でも十分通用すると思う。奇抜な内容ではないが,こういうのは継続することが重要だからなぁ。ちなみに著者の柴田芳樹さんは既に65歳とのことだが,今も「現役」だそうだ。 ↩︎

  2. かっちりした文章は仕事でアホほど書いてるし。仕事以外で真面目な文章なんて書きたくない。 ↩︎