週末スペシャル: X 線天文衛星 ASTRO-H の打上げ成功
- X 線天文衛星 ASTRO-H の打上げ成功
- TMT 建設に関する報道
- スマホへ「ブルートフォース攻撃」を要求するアメリカ
- C 言語はどう書くべきか
- Bitcoin は「群衆の知恵」を前提とする
- Amazon Prime 入ろうかと
- 「ムラ社会」という名の多文化主義的エポケー
X 線天文衛星 ASTRO-H の打上げ成功
- JAXA | H-IIAロケット30号機によるX線天文衛星(ASTRO-H)の打上げ結果について
- JAXA | X線天文衛星(ASTRO-H)の太陽電池パドル展開及び衛星の名称について
- JAXA | X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)の軌道計算結果について
- Japan Launches X-ray Observatory to Study Black Holes, Star Explosions
- Japan Launches Observatory To Study Black Holes And Dying Stars | TechCrunch
- JAXA | X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)のクリティカル運用期間の終了について
「ひとみ」と命名されたらしい。 「ひとみ」には広島大学も関わってたんだそうで,なんかちょっと嬉しい。 面白い成果が出るといいですねぇ。
TMT 建設に関する報道
TMT (Thirty Meter Telescope) について NHK のひどい yellow journalism に激おこプンプン丸(古いw)のようだ。
まぁ TMT があまり順調と言えないのはたしかだ。 マウナケア山は信仰対象なので,これまでも望遠鏡建設について地元と協議しながらやってきた。 すばる望遠鏡もそうしたひとつである。 故に今回 TMT だけが無茶したというのは,普通に考えて言いがかりである。
しかし「マウナケア山に望遠鏡作りすぎ!」という訴えはたしかにあって,その辺の政治的駆け引きがどうなるかという点は要注目である。 実際 TMT の建設を他所にしようかと検討する動きはあるらしい。
同じ天文学でも(先の「ひとみ」もそうだが)いわゆる “Big Science” と呼ばれる分野は利権が大きく関係してくるし,単純に学問だけで済まないのが辛いところである。
スマホへ「ブルートフォース攻撃」を要求するアメリカ
- 銃乱射犯のiPhoneパスコードを総当たりへ──米判事、Appleに「10回ミスでデータ消去」機能のオフ命じる - ITmedia ニュース
- Apple、FBI捜査のためのiPhoneバックドア命令を拒否──自由を脅かすもの - ITmedia ニュース
- アップル、「セキュリティの弱体化」を求める米国政府の要請を拒否 « WIRED.jp
- GoogleのピチャイCEO、AppleのクックCEOの決断にTwitterで賛同表明 - ITmedia ニュース
- グーグルCEO、アップル支持を表明–「iPhone」ロック解除をめぐる裁判所命令について - CNET Japan
- GoogleのCEO、スンダル・ピチャイ、「当局が企業にハッキングを命じることはユーザーの利益を損なう」 | TechCrunch Japan
- AppleはiPhoneアンロックの事案で延期を獲得、返答の期限は2月26日に | TechCrunch Japan
- Decrypting an iPhone for the FBI - Schneier on Security
- ニューヨーク連邦地裁、「iPhone」ロック解除求める米政府要請を却下 - CNET Japan : 今回の件とは別だが,影響あるかも
- 言論の自由、コードの自由:アップル「iPhoneロック解除」拒否で団結する米テック界 « WIRED.jp
- エフセキュアブログ : 思考実験:FBiOS 盗聴エディション
- Appleのソフトウェアエンジニアリング責任者曰く:FBIの要求は全iOSユーザーの安全を脅かす | TechCrunch Japan
要求されているのは以下の3つらしい(「AppleはiPhoneアンロックの事案で延期を獲得、返答の期限は2月26日に」より)。
- 間違ったパスワードを何回も入力するとその電話機のデータを消してしまう自動消去機能を無効化またはバイパスする
- パスワード誤入力(ロックアウト)の際の遅延を取り去る
- パスコードの入力をBluetoothやWi-Fiのような無線プロトコルまたはデバイス上の物理的ポートからできるような、新しいバージョンのiOSを作る
ちなみに数字4桁の組み合わせをブルートフォース攻撃で攻略する際の計算量は $2^{13.3}$ 程度だ(DES 暗号鍵が $2^{56}$)1。 ロックアウトなしで遠隔操作が可能ならほぼ一瞬で終わるだろう。
国家が考えるセキュリティ・リスクと企業が考えるセキュリティ・リスクと個人が考えるセキュリティ・リスクはそれぞれ異なる。 国家が守るべきは国家であり個人ではない。 企業が守るものは利益だ。 国家と個人を天秤にかけてリスクの高い方を切り捨てる。 個人が守るべきものは(他者を含めた)個人である。 個人を守るためには,時に国家や企業を敵に回す必要がある。
Apple がセキュリティやプライバシーに取り組むようになったのはつい最近から。 Google はかつて「プライバシーなど存在しない」と言い放った企業である。 企業は(個人の)自由を守っているわけではないのだ。
以下の例は企業とはちょっと違うけど
のように,いざとなれば犯罪者と組むこともある。
来週末に Apple がどのような答えを出すかが見ものである。 いつものことではあるが,私たちはあらゆる事態を想定して備える必要がある。
C 言語はどう書くべきか
実はまた C 言語の仕事の話もチラチラ聞くので,念のため復習。 とはいえ,ここに書いてあるようなことは昔から言われていることなので(先進的なコンパイラ実装は標準を先取りする),ビックリするような内容ではないが。
- 「2016年、C言語はどう書くべきか」をちょっと分析してみる (warning編) - Qiita
- 「2016年、C言語はどう書くべきか」をちょっと分析してみる (building編) - Qiita
Bitcoin は「群衆の知恵」を前提とする
いや,最近 Blockchain の話題をまた見るようになったけど, Blockchain 最大の弱点は追記プロセスにあることをみんな分かっているのだろうか。 そこを見ないで「Blockchain は改竄不可能」というのは言いすぎだと思う。
Blockchain の代表的な実装である Bitcoin は追記プロセスを「群衆の知恵(wisdom of crowds)」を前提に実装している。
「群衆の知恵」モデルが使えるのは株価の予測とかそういった分野である2。 不特定多数のユーザが参加する Bitcoin でも「群衆の知恵」モデルを前提にした(proof-of-work などの)追記プロセスが実装され,実際に上手く機能している。
しかしこれを閉鎖的組織・コミュニティでやろうとしてもうまくいかないんじゃないだろうか。 「群衆の知恵」モデルは player がカルテルを組めば崩壊してしまう。
多分 Blockchain のコピーが十数個程度あるだけでは話にならない気がする。 FinTech の中の人達はそういうのどうやって解決しているのだろうか。
Amazon Prime 入ろうかと
クラウド・ストレージの Copy が今年の5月で shutdown するというので,他のサービスを探している。 目的は写真データの管理。 Box や Dropbox は他の用途で使っていて混ぜたくないし, Flickr や Google や Evernote は問題外。 というわけで Amazon Cloud Drive を使おうと思ったのだが,無料では5GBまでしかなく,それ以上使いたい場合は Amazon Prime に入らないといけないらしい。
まぁ,以前から Amazon Music や Prime Video には興味があったので「えいや!」でお試し期間で入ってみた。 よさげならお金払って継続してみる。 継続するなら Hulu は解約かな。
「ムラ社会」という名の多文化主義的エポケー
ここでいう「ムラ社会」は多文化主義的エポケーの超小規模版のように見える。
「多文化主義的エポケー」はイギリスの犯罪学者ジョック・ヤングの著書『排除型社会』で出てくる言葉だ。
『排除型社会』で言う「多文化主義的エポケー」はアメリカの特にエスニック文化やゲイ文化を指しているが,日本でも形を変えて存在するということではないだろうか。
とか思ったりする。
そういえば,この前ちらっと紹介した「リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください」も同じ匂いを感じる。 この本を読む限り,リベラリズムは「多文化主義的エポケー」に陥ったまま足が抜けなくなってるようにしか見えない。 (そういや,多文化主義ってリベラリズムの考え方だっけ)
参考図書
- 排除型社会―後期近代における犯罪・雇用・差異
- ジョック ヤング (著), Young,Jock (原著), 秀男, 青木 (翻訳), 泰郎, 伊藤 (翻訳), 政彦, 岸 (翻訳), 真保呂, 村澤 (翻訳)
- 洛北出版 2007-03-01
- 単行本
- 4903127044 (ASIN), 9784903127040 (EAN), 4903127044 (ISBN)
- 評価
- リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください 井上達夫の法哲学入門
- 井上 達夫 (著)
- 毎日新聞出版 2015-07-05 (Release 2015-07-17)
- Kindle版
- B011KRIYVS (ASIN)
- 評価
ちゃんとした書評は yomoyomo さんの記事が参考になる。私は途中まで読んで放り投げた。反省はしない(笑)
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かつて「はてな」が選挙予測を「群衆の知恵」モデルでやろうとして実際的中させたのだが,あれは多分使い方が間違っている。あたったのはたまたまか別の要因だろう。はてなコミュニティで「群衆の知恵」モデルは成立しない。 ↩︎