最初の SHA-1 衝突例
いやぁ,ついにこの日が来たようです。
- Google Online Security Blog: Announcing the first SHA1 collision
- SHAttered : SHA-1 の衝突例
- SHA-1 Collision Found - Schneier on Security
- SHA-1衝突攻撃がついに現実に、Google発表 90日後にコード公開 - ITmedia エンタープライズ
- The end of SHA-1 on the Public Web | Mozilla Security Blog
- グーグル、SHA-1衝突攻撃に成功–同一ハッシュ値の2つのPDFも公開 - ZDNet Japan
- Re: [openpgp] SHA1 collision found
- GoogleのSHA-1のはなし : 分かりやすい解説
- SHA-1 collision detection on GitHub.com
SHA-1 衝突問題については以下を参照のこと。 NIST などでは2014年以降 SHA-1 を電子署名等に使わないよう勧告している。
現時点で主要な CA では証明書に SHA-1 は使っていないはずである。 また,主要なブラウザについても SHA-1 を使う証明書に対して警告を発するようになっている。
- SHA-1 ウェブサーバー証明書は 2017 年2月から警告!ウェブサイト管理者は影響の最終確認を – 日本のセキュリティチーム
- 「Google Chrome」の閲覧画面にエラーが! ~“https://”のサイトにアクセスできない - やじうまの杜 - 窓の杜
もうみんな SHA-1 とはオサラバしてるよね(笑)
追記というか補足
たとえば git の commit hash 値は SHA-1 で付与されるが大丈夫なのか? とかいった意見が散見されるが,当面は問題ない。
今回の件はあくまでも電子署名や hash 値そのものを何かの証明に使おうとする場合に問題となる。 git の commit hash 値はあくまで identity として付与されるものである。 改ざんされたかどうかは commit hash 値ではなく差分情報によって容易に知ることができる。
git による悪意のなりすまし等を警戒する必要があるのなら commit hash 値を気にするのではなく commit にきちんと電子署名を行うことをお勧めする(チームで作業する人は是非習慣化するべきである)。
ただし,かつて標準として使われていた MD5 が危殆化とともに廃れていったように,今後 SHA-1 は電子署名以外でも使われなくなると思われる。 念のため, NIST による現在の SHA アルゴリズムの評価と有効期限を以下に示す。
Security
StrengthDigital Signatures and Other
Applications Requiring Collision
ResistanceHMAC, KMAC,
Key Derivation Functions,
Random Bit Generation
$\le 8$0
SHA-1
$112$
SHA-224, SHA-512/224, SHA3-224
$128$
SHA-256, SHA-512/256, SHA3-256
SHA-1, KMAC128
$192$
SHA-384, SHA3-384
SHA-224, SHA-512/224, SHA3-224
$\ge 256$
SHA-512, SHA3-512
SHA-256, SHA-512/256, SHA-384, SHA-512, SHA3-256, SHA3-384, SHA3-512, KMAC256
SP 800-57 Part 1 Revision 5
5.6.1.2)
Security Strength
Through
20302031 and
Beyond$\lt 112$ Applying Disallowed
Processing Legacy use $112$ Applying Acceptable Disallowed
Processing Legacy use $128$ Applying/Processing Acceptable Acceptable $192$ Acceptable Acceptable $256$ Acceptable Acceptable SP 800-57 Part 1 Revision 5
5.6.3)
参考図書
- 暗号技術入門 第3版 秘密の国のアリス
- 結城 浩 (著)
- SBクリエイティブ 2015-08-25 (Release 2015-09-17)
- Kindle版
- B015643CPE (ASIN)
- 評価
SHA-3 や Bitcoin/Blockchain など新しい知見や技術要素を大幅追加。暗号技術を使うだけならこれ1冊でとりあえず無問題。