プログラムの著作物も「ダウンロード違法化」するつもりかしら

no extension

なんか Facebook の TL でキナ臭い話が聞こえてきたので覚え書きとして記しておく。

なお私は私事で忙しく,この件に関して考察する時間的・精神的余裕がないのであしからず。 まぁ簡単に「(合法・非合法に関わらず)著作物へのアクセス規制は著作権の基本理念に反する」とだけ言っておこう。 今さら言っても愚痴だけどさ。

文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会中間まとめに関する意見募集の実施について

このうちの「文化審議会著作権分科会法制・基本問題小委員会中間まとめ 」から見出しだけ拾っておこう。

  1. リーチサイト等を通じた侵害コンテンツへの誘導行為への対応
  2. ダウンロード違法化の対象範囲の見直し
  3. アクセスコントロール等に関する保護の強化
  4. 著作権等侵害訴訟における証拠収集手続の強化
  5. 著作物等の利用許諾に係る権利の対抗制度の導入
  6. 行政手続に係る権利制限規定の見直し(地理的表示法・種苗法関係)
  7. その他(改正著作権法第47条の5第1項第3号の規定に基づく政令のニーズ)

「リーチサイト等を通じた侵害コンテンツへの誘導行為への対応」について

「リーチサイト」というのは

自身のウェブサイトにはコンテンツを掲載せず,他のウェブサイトに蔵置された著作権侵害コンテンツへのリンク情報等を提供して利用者を侵害コンテンツへ誘導するためのウェブサイト

を指すらしい。 (外部の)違法コンテンツへのリンクが違法になるか,という話は昔から議論されているが,欧州では既に違法として取り扱われているため,これに倣ったものと思われる。

まっ,分かりやすいポリシー・ロンダリングやね。

「ダウンロード違法化の対象範囲の見直し」について

「ダウンロード違法化の対象範囲の見直し」というのは既に「静止画ダウンロード違法化」として話題になっている。 ぶっちゃけて言うと,かねてから要望されていたサイト・ブロッキングの法案化が無理ぽかったため「ならダウンロード違法化で対応しろやゴラァ」ということのようだ。 既に前例があるなら通りやすいと思うよね,普通。

ここで言う「ダウンロード」とは

現行著作権法第30条第1項第3号に規定する「・・自動公衆送信・・を受信して行うデジタル方式の録音又は録画」について,対象著作物を音楽・映像以外にも広げたもの,すなわち「自動公衆送信を受信して行うデジタル方式の複製(注:有形的再製一般)」を指すものであり,例えば,ウェブサイトに掲載されたテキストをプリントアウトする行為や,そこでプリントアウトされたものを更にPDF化してコンピュータに保存する行為等を含むものではない。

とのことで1,直に保存する(スクリーンショット等を含む)のはダメで,いったん紙に落とせばいいらしい。 なんじゃそら。 そうすることに何の意味があるのか誰か教えてくれ!

今回のまとめには

また,関係団体からプログラム(ビジネスソフト・ゲーム)に関しても違法ダウンロード等による被害が継続的に生じているとの報告があったほか,多数の学術論文の全文を無料でダウンロードできる論文版海賊版サイトの存在が明らかとなるなど,幅広い分野の著作物について,違法にアップロードされた著作物のダウンロードによる被害が一定程度生じていることが確認された。

などと書かれていて,静止画やテキストのみならず「プログラムの著作物」も含めるつもりなんじゃないか,という噂もあるらしい。

なお「ダウンロード違法化の対象範囲の見直し」については参考資料が添えられている。

念入りなことです。

ブックマーク

参考図書

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CODE VERSION 2.0
ローレンス・レッシグ (著), 山形浩生 (翻訳)
翔泳社 2007-12-19 (Release 2016-03-14)
Kindle版
B01CYDGUV8 (ASIN)
評価     

前著『CODE』改訂版。

reviewed by Spiegel on 2018-11-17 (powered by PA-APIv5)

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著作権2.0 ウェブ時代の文化発展をめざして (NTT出版ライブラリー―レゾナント)
名和 小太郎 (著)
NTT出版 2010-06-24
単行本(ソフトカバー)
4757102852 (ASIN), 9784757102859 (EAN), 4757102852 (ISBN)
評価     

名著です。今すぐ買うべきです。

reviewed by Spiegel on 2014-08-02 (powered by PA-APIv5)

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〈反〉知的独占 ―特許と著作権の経済学
ミケーレ・ボルドリン (著), デイヴィッド・K・レヴァイン (著), 山形浩生 (翻訳), 守岡桜  (翻訳)
NTT出版 2010-10-22
単行本
4757122349 (ASIN), 9784757122345 (EAN), 4757122349 (ISBN)
評価     

「知的財産権は、人類進歩を阻害する!」(帯文より)

reviewed by Spiegel on 2018-11-17 (powered by PA-APIv5)


  1. 著作権法第30条とは「著作権の制限」のうち「私的使用のための複製」について記されたもの。ダウンロード違法化は「私的使用のための複製」の例外として定義されているわけだ。 ↩︎