本の「史料」的価値

no extension

(Facebook の TL に書き殴った内容を再構成してみた)

日本の新聞記事にはリンクを張らないことにしているので1 何処とは言わないが, Facebook の TL で紹介されてた「「紙の本なくならない」ページめくる動作にカギ」という記事を見て笑ってしまった。 新聞ってここまで落ちぶれたのか。 こんなクソ記事に付き合わされる某大学の教授も大変である。

ちなみに私はもう長いこと紙の新聞は読んでない2。 10年以上も前に関係者に『新聞がなくなる日』なんて本を書かれ,さらに「社会は新聞を必要としない」とまで言われるメディアに価値があるとは思えない(笑)

私は本が大好きだ。 昨年末の引っ越しで大量の本を処分せざるを得なくなったときは自分の半生を否定された気分になったほどだ。

しかし娯楽や情報・知識の「源泉」として見た場合,紙かデジタルかに関わらず「本」という形態の価値は低下していると思う。 「本」全体の価値が下がっているのに今更「紙かデジタルか」なんて話を見てもズレた論点にへそで茶が沸く程度の感想しかない。

情報・知識の摂取手段としては「ググる」ほうが早いし Web を上回る情報・知識を提供してくれる本など多分100冊に1冊もないだろう。 Wikipedia をテストや宿題のカンニングに使ったり卒論のネタに使ったりする子供の気持ちがよくわかるよ3

娯楽は既に Web のほうが面白い4。 音楽や映像は言うに及ばず,漫画・小説についても Web連載(掲載)→書籍化(含コミカライズ)→テレビ・映画化 という流れができていて「書籍ファースト」ではなくなってきている。

仮に「紙かデジタルか」という比較をするなら,それは「読む」ことではなく「保存する」ことについてだろう。

インターネットおよび Web の普及で分かったことは 「デジタル情報は失われやすく統制を受けやすい」 ということだ。

DRM (Digital Rights Management) などと嘯き,人を「表現」から締め出し,それを法が是とする現代社会システムには破滅願望しか感じられない。 地球が「猿の惑星」になるのも遠い未来ではないのかも(笑)

現代の強すぎる統制下に於いて,未来に向けて「表現」を維持するには「紙の本」の形で国会図書館にでも保護してもらうしかない。

少し前に「『もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来』が国会図書館に納本された」話があったが5,残念ながら慧眼だったと言わざるを得ない。 まぁ「情報共有の未来」が「国会図書館に納本」とか皮肉 (スパイス) が効きすぎて目から汗が出てしまうが。

ブックマーク

参考図書

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犬とハサミは使いよう (ファミ通文庫)
更伊 俊介 (著), 鍋島 テツヒロ (イラスト)
KADOKAWA 2011-08-25 (Release 2012-09-07)
Kindle版
B009IMAGYQ (ASIN)
評価     

犬になっても本を読む!

reviewed by Spiegel on 2015-04-26 (powered by PA-APIv5)

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もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来
yomoyomo (著)
達人出版会 2017-12-25 (Release 2019-03-02)
デジタル書籍
infoshare2 (tatsu-zine.com)
評価     

WirelessWire News 連載の書籍化。感想はこちら。祝 Kindle 化

reviewed by Spiegel on 2018-12-31

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CODE VERSION 2.0
ローレンス・レッシグ (著), 山形浩生 (翻訳)
翔泳社 2007-12-19 (Release 2016-03-14)
Kindle版
B01CYDGUV8 (ASIN)
評価     

前著『CODE』改訂版。

reviewed by Spiegel on 2018-11-17 (powered by PA-APIv5)


  1. 数ヶ月で削除される新聞記事にリンクを張ってもしょうがない。 ↩︎

  2. 実家は今だに新聞を定期購読しているので目にはつくけど。まぁ,私がお金を払っているわけではないのでどうでもいい。年寄りは新聞やテレビがなくなると本格的に社会から隔絶してしまうので,仕方がないのだろう。新聞やテレビ自体が社会から乖離している気もするが(笑) ↩︎

  3. もっとも,カンニングペーパーってのは自分で「作る」ことに意味があるんだけどねぇ。与えられるだけの知識は身につかない。ちゃんと消化しないと。 ↩︎

  4. これは Web の作品のほうが優れているということではなく「スタージョンの法則」に則って「90%はカス」という健全な状態であるという意味である。バリバリの売れっ子作家も週末の余暇に書いてるだけの人も,同じ土俵で作品を公開できるというのは素晴らしい。 ↩︎

  5. いま見たら検索にも出てきた。うむうむ。 ↩︎