「特別定額給付金」申請のナニがダメだったのか(その2)
一応「「特別定額給付金」申請のナニがダメだったのか」の続きだが,今回は完全に愚痴なので読まなくてもいいです。
いや,この記事を見て嘲笑わずにはいられなかったのよ。
まず絵面が完全に「ヤンキー集会」。 国会議員の方々,ホンマご苦労さまです(笑)
あと「立憲民主党の蓮舫副代表」による「時代はもうクラウド」という発言。 そこだけ切り取ったら10年前の記事だと言われても疑わないね,私は(笑)
そして「クラウドもサーバーにあることに変わりはなく」という的はずれな感想(?)
与野党議員とメディアによる「三馬鹿トリオ」爆誕である!
ネット・サービスに於いて「可用性(availability)」がセキュリティ要件として重視されるのは,それが毀損されることによって「名目上の経済損失」が発生するからだ。 そして,いわゆる「クラウド(cloud)」の特徴である scalability を上手く使えば可用性リスクを抑制することが可能,というのがゼロ年代に持て囃された話だ。
そういう意味では(オンプレミスから)クラウドへの移行は,今からでも悪い選択ではない。 いまやレンサバですら CDN は当たり前だしね。
今回の「特別定額給付金」のオンライン申請に限れば可用性リスクはさして重要ではない。 理由は以下の3つ。
- 営利ではなく行政サービスなので可用性毀損による「名目上の経済損失」は発生しない
- 申請書の郵送が始まるまでの極短期サービス
- そもそも「個人番号カード」の所持率が低い(筈だった
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まぁ,金くれるんなら一刻も早くってのは当然の心理だけど。 それで緊急事態下の役所窓口が大混乱するとか,個人番号カード所持や口座情報登録の義務化とか,まさに「泥棒を捕らえてから縄を綯う」の典型例だよな(笑)
前回も書いたが,最大の障害(ボトルネック)は,サービスが落っこちたことではなく,申請後の受理作業が「人力」である点だろう。
敢えて今回の件を総括するなら「サーバを増やす」でも「時代はクラウド」でも「個人番号カード所持や口座情報登録の義務化」でもなく「オンライン申請させないほうがよかった」だと思う。 個人番号カードを使わせるとか余計なことは考えず,最初からちゃっちゃと郵送したほうが最終的にスムーズにいったのではないかと邪推してしまう。
もし個人番号やそれに紐づく住基データを使いたいのであれば,システム全体に渡って 人力を介さず 自動化するフレームワークを確立するところから始めるべきだろう。
デジタル・データというのはそこにあるだけではダメで,データへのアクセス設計をセットにして初めて意味を持つ。 ダダ漏れが駄目なのは当たり前だが,闇雲に制限すればいいというものでもない。 個人情報保護法があろうとなかろうと,人力の力技なんか下の下である。 お金を使うところが間違っている。
「公僕」とは言うけれど,お役人は奴隷じゃないのよ。 庶民もね。 今回のようなことを繰り返すのなら日本に「ブラック国家」の称号を与えよう(笑)
参考図書
- グーグル ネット覇者の真実
- スティーブン・レヴィ (著), 仲達志;池村千秋 (翻訳)
- CCCメディアハウス 2011-12-16 (Release 2012-08-31)
- Kindle版
- B009LFBL4Y (ASIN)
そういえばこれ Kindle で買い直したのに途中まで読んでそのまま積ん読だったよ。ゼロ年代の Google を中心とした話なのでちょっと古びた感はあるが歴史書としては今でも通用するだろう。書評はこちらが参考になる。
- だがしかし(1) (少年サンデーコミックス)
- コトヤマ (著)
- 小学館 2014-09-18 (Release 2014-12-08)
- Kindle版
- B00QAQEOSW (ASIN)
- 評価
永遠の夏休み(笑)