放火魔の消防士
日本語で言うと「マッチポンプ1」。
いやぁ,自分で書いておいてすっかり忘れてたのだが,「放火魔の消防士」というフレーズを初めて見かけたのは,セキュリティ関係の本やネット記事ではなく, AI 関連哲学書だった。 しかも3年前。
私の中で「AI」に関するポエムはあの年で完結していて,早々に「ひとり幻滅期」に入っていたのだ,と言い訳しておこう(笑)
件のフレーズが出てくるのは第8章で,いわゆる GAFA について
と dis ってる部分(内容の妥当性は横に置いておく)。
なんでこのフレーズを思い出したかというと,以下の記事を見かけたから。
ホンマ今更だよね(笑)
私がセキュリティ管理者だった大昔から,セキュリティ関連のマッチポンプ記事(特に広告記事)には気をつけろ,と言われてたし,特に近年は(セキュリティ企業に限らず)あらゆる企業のあからさまなセキュリティ広告が鼻について真面目に読む気をなくすほどだ。
脅威から守る立場の組織・企業・個人が自らの存在を誇示し続けるのに最も効果的なのは「脅威を創りだす」ことだ。 「需要は創るもの」あるいは「注目の搾取」である。 個人なら歪んだ英雄願望または承認欲求の暴走といったところか。
セキュリティ管理においては分析の前段階である「インシデントの収集」は割と重要で(脅威を分析・分類し定量的なリスク評価へと繋げるため),それ故にマッチポンプ記事にハマりやすい。 だからこそ「マッチポンプ記事には気をつけろ」なのである。
まぁ,でも,これってセキュリティに限る話じゃないよね。 「炭素ビジネス」とか「自然エネルギー(笑)」とか。 知財関連なら「知財トロル」とかも典型的だ。 最近なら「コロナ禍」だって大抵はマッチポンプ記事だ2。
「放火魔の消防士」の言動を忌避したいなら「定量評価」に徹するしかない。 「定量評価」もなく特定の事例を論って脅威を煽るだけの言動は華麗にスルーである。
参考図書
- そろそろ、人工知能の真実を話そう (早川書房)
- ジャン=ガブリエル ガナシア (著), 小林 重裕・他 (翻訳), 伊藤 直子 (監修)
- 早川書房 2017-05-25 (Release 2017-05-31)
- Kindle版
- B071FHBGW8 (ASIN)
- 評価
シンギュラリティは起きない。
- スパム[spam]:インターネットのダークサイド
- フィン・ブラントン (著), 生貝直人 (監修), 成原慧 (監修), 松浦俊輔 (翻訳)
- 河出書房新社 2015-12-25
- 単行本
- 430924744X (ASIN), 9784309247441 (EAN), 430924744X (ISBN)
- 評価
とりあえず読みづらい。修飾語が多すぎるよ。ギリシア神話かっての。