「理解」は常にベータ版(『数学を学ぶあなたへ』を読む)
「数学ガール」シリーズでおなじみの結城浩さんが面白いデジタル本を公開されている。
内容は
とのこと。 早速購入した。
作家さんの頭の中を覗ける機会はそうあるものではない。 それを垣間見ることのできるこの手の本は割と好物だったりする。
印象的なフレーズは
の部分。
何かを考える際,脳内には「言語的思考」と「非言語的思考」があると思う(脳科学云々はとりあえず無視する)。 私は思考が横滑りしやすいが,横滑りしやすいのは「非言語的思考」の部分だという自覚はある。
更に言うと「言語的思考」と「非言語的思考」を繋ぐのは存外むずかしい。 「非言語的思考」は思考の自由度が高いが,他者と「対話」したいなら「言語的思考」と「非言語的思考」が何らかの形で繋がっていないといけない。
そうした「思考を繋ぐ」のが数学やプログラミングなんじゃないかと思うようになった。 まぁ,プログラミングは数学の一種でもあるけど(笑)
また,思考をいったん「コード」に落とし込むことで「正しさ」を検証(証明)できるようになり,更にそれを外部化できるようになる。 もちろん何を以って「正しい」とするかの criteria を設定する必要があるが。
たとえば,私は数理パズルが好きで,学生の頃から「数独」とかやりこんでいたが,今や「数独」はプログラムで解ける。 つか「数独」をテーマにした数学論文も結構ある(らしい)。 じゃあ,もう「数独」はつまらないパズルなのかというと,そんなことはない。 本物のパズル好きは「問題を解く」から「問題を作る」にシフトするからだ。 如何に「美しい問題」を作るかに集中し,作った問題の検証はプログラムにさせればいいのだ。
これからの時代,「問題を解く」ことはどんどん外部化されていくだろう。 その代わり,如何に上手く問題を立てれるかが重要になってくる。 正しい答えは正しい問いからしか導けない。
それこそが「理解」を次のステージに進める一歩である。
ところで…
note のコンテンツを独自ドメインで運用するのはいいのだが,ブラウザ以外でアクセスするとリダイレクトの無限ループにハマってしまう。
$ curl -L https://mm.hyuki.net/n/n00bf973ae131
curl: (47) Maximum (50) redirects followed
(なお mm.hyuki.net
に限らない)
これって crawler に対する嫌がらせなのかしらん。
ブックマーク
参考図書
- 数学ガールの誕生 理想の数学対話を求めて
- 結城 浩 (著)
- SBクリエイティブ 2013-09-13 (Release 2014-09-13)
- Kindle版
- B00NAQA33A (ASIN)
- 評価
結城浩さんの講演集。こういう場所に立ち会える今の学生さんは羨ましい。
- いかにして問題をとくか
- G. ポリア (著), Polya,G. (原著), 賢信, 柿内 (翻訳)
- 丸善 1975-04-01
- 単行本
- 4621045938 (ASIN), 9784621045930 (EAN), 4621045938 (ISBN)
- 評価
数学書。というか問いの立てかたやものの考え方についての指南書。のようなものかな。