失敗体験という技術
今回は Facebook の TL で見かけた記事を起点に戯れ言を書いてみる。
教育機関の最終目標は教育機関から離陸させることであり「企業はおそらく最終教育機関」てのはダメなんじゃないのかなぁ。 教育機関があろうとなかろうと人は一生勉強だよ。 まぁ「教育機関」としての企業を踏み台にして別の企業や事業へキャリア・アップするというのなら,労働者側にとってはアリかもしれないが(笑)
何も知らずに IT 業界に入ったばかりの頃は色々叩き込まれたが,そのうちのひとつは「プログラミング設計は異常系を書ききること」だ。
正常系は基本的に一本道だが異常系は無数にある。 それらをひとつひとつ迷路パズルの袋小路を塗りつぶすように塞いでいくのがプログラミングだろう。 これはプログラムをフローで認識しているうちは気づかない。 だから新人のうちは状態遷移表を大量に書かされた1。
でも異常系の列挙は,それを予め知ってないと書けないんだよね。
この「予め知る」ための失敗体験こそが
また当時は「技能はモノに付くが技術は人に付く」とも教えられた。 今回紹介した記事に絡めるなら技能は成功体験で技術は失敗体験と言えるかもしれない。 技能と技術は開発の両輪で,どちらもなくてはならないものだ。
よく整備された散歩道を歩くのは気持ちいいし,それはそれでよい体験だと思うが,散歩道に施されている「整備」に気付けるのは脇道や寄り道も歩いてこそである。 まぁ,今の世知辛い世の中では,失敗を許容する余裕がないから技術も蓄積されないのかもしれないが。 技術斜陽国ニッポン(笑)
参考図書
- 迷路で行こう
- 忠之, 坂本 (著), 博, 吉岡 (著), 一之, 湯沢 (著), ニコリ (編集)
- 波書房 1991-12-01
- 単行本
- 4816412174 (ASIN), 9784816412172 (EAN), 4816412174 (ISBN)
私はニコリで迷路の解き方を教えてもらいました。
- 子どもが体験するべき50の危険なこと (Make: Japan Books)
- Gever Tulley (著), Julie Spiegler (著), 金井 哲夫 (翻訳)
- オライリージャパン 2011-05-26
- 単行本(ソフトカバー)
- 4873114985 (ASIN), 9784873114989 (EAN), 4873114985 (ISBN)
- 評価
ただ守るだけではダメなのよ。
- 火星の人
- アンディ ウィアー (著), 小野田和子 (翻訳)
- 早川書房 2014-08-25 (Release 2014-09-30)
- Kindle版
- B00O1VJZLO (ASIN)
- 評価
面白かった。やっぱ原作のほうがいいな。
-
知らない人のために解説すると,状態遷移表とは「状態」と「イベント」を行・列の表として列挙して,交差する各要素に処理を記述したもの。ちなみに,フローはコードを見れば分かるからフローチャートは要らんと言われた。顧客への言い訳用に書かされたことはあったけど(笑) 現在主流になりつつある関数型言語ではそもそもフロー記述が通用しないかな。 ↩︎