いつものように yomoyomo さんの記事から:
この記事に Twitter で脊髄反射したときは内容を誤解してたので,改めて簡単に紹介しておく。
現在,最新の CC Licenses 4.0 では,ライセンスの被許諾者が条件に違反した場合の措置について以下のように書いている。
この30日の猶予期間は 4.0 になってから付加されたもので,それより前のバージョンには書かれていない。
たとえば,写真共有サービスの Flickr では公開した写真に CC Licenses を付与できるが,そのバージョンは 2.0 であり “Termination” の条項には以下のように書かれているのみだ。
いわゆる「著作権トロル」はバージョン間のこの差異を悪用して善良でうっかりな利用者から金を巻き上げているらしい。
具体的には
という感じ。
訴えられてからクレジットを追記したり該当の写真を削除しても「掲載した期間の損害分を払いやがれ!」と迫るわけだ。
ただ,実際に裁判まで行っても賠償金を払うとは限らないようで
と書かれている。
公正な利用(fair use)として回避できるものもあるということだ。
“his photos have no value outside of litigation” の部分でバカウケしてしまったよ。
このリスクを事前に回避したいのであれば「クレジットを明記する」に限る。
もしクレジットを書く余白がないのであればクレジットが明記されている URI を指示するだけでもいい。
たとえば Flickr なら写真が掲載されているページに全ての情報が表示されている。
あとは SaaS の運営者側がとっとと 4.0 にアップグレードしてくれることを祈る。
今回は「写真」だったけど,たとえば Wikipedia 上のコンテンツにだって同様のリスクがある。
Wikipedia の内容をそのままパクって論文に掲載している学生は多そうだ(笑)
yomoyomo さんも苦言を呈しておられるが “Copyleft Trolls” という言い回しは止めたほうがいいんじゃないかなぁ。
キャッチーな名前が横滑りして元々の意味が乖離してしまう現象にはウンザリである。
たとえばノートン先生まで Crypto を某デジタル資産の意味で使い始めてるみたいで,ホンマ orz
な気分だよ。
余談だが…
私が勘違いしたのは CC Licenses 1.0 から 2.0 あたりで議論になったいわゆる「Creative Commons 実施権」である。
ただし,これはライセンスの(被許諾者ではなく)許諾者側のリスクの話。
ちなみに「Creative Commons 実施権」に絡む条項は 4.0 ではまるっと削除されている。
また日本版 2.1 にも存在しない。
いやぁ,私の英語不得手っぷりがまたもや露呈してしまいましたねぇ。
とほほ…
ブックマーク
参考文献
- クリエイティブ・コモンズ―デジタル時代の知的財産権
- レッシグ,ローレンス (著), 敬士, 椙山 (著), 圭介, 上村 (著), 紘一郎, 林 (著), 絵美, 若槻 (著), 大洋, 土屋 (著), クリエイティブコモンズジャパン (編集), Lessig,Lawrence (原著)
- NTT出版 2005-03-01
- 単行本
- 475710152X (ASIN), 9784757101524 (EAN), 475710152X (ISBN)
- 評価
残念ながら紙の本は実質的に絶版なんですよねぇ。是非デジタル化を希望します。
reviewed by Spiegel on 2014-08-02 (powered by PA-APIv5)
- 著作権法(第4版)
- 中山信弘 (著)
- 有斐閣 2023-10-31 (Release 2024-02-02)
- Kindle版
- B0CTM1KHDX (ASIN)
第4版が出てた。Kindle 版も出ている。第2版を図書館で借りて読んだが途中でギブアップした。個人が興味本位で読める本ではないらしい(笑)
reviewed by Spiegel on 2024-07-12 (powered by PA-APIv5)