我らが Bruce Schneier 先生の最新エッセイが面白かったので紹介するふりをして戯れ言を書いてみる。
このエッセイでは以下の4つの内容について取り上げている。
- 信頼には対人信頼(interpersonal trust)と社会的信頼(social trust)の2つがあり,私達はしばしば両者を混同してしまう
- 人工知能(AI)によってこの混同が拡大する
- AI システムを管理している企業はこの混同に便乗して私達を利用する
- 社会への信頼を生み出すのが政府の役割(=規制)である
その上で
と言うのだ。
もうのっけから面白い!
まずは対人信頼(interpersonal trust)について。
つまり「◯◯さんは人として信頼できる」というのが対人信頼なわけだ。
それに対し,社会的信頼(social trust)については
と書かれている。
たとえば企業が「顧客サービスは信頼が大事」などというときの「信頼」は対人信頼ではなく社会的信頼ということだ。
そして
と続く。
しかし対人信頼と社会的信頼はひと括りに「信頼」と呼んでるため両者を混同してしまう。
カテゴリーエラーが発生するわけだ。
私は上に引用した文章で爆笑してしまったよ。
企業は法律と同じくらい非道徳的だってさ。
言われてみればそうだよね(笑)
ここでようやく AI が出てくる。
そして,企業に制御される AI は以下の2つの理由で悪い方向に転ぶと予測する。
その結果
私達は AI によって「信頼」を混同したまま強制されるわけだ。
そして,これに規制をかけるのは政府の役割となる。
“not good places to live” って今の日本社会のことか(笑)
それはともかく
そのために多くの国が AI 規制について議論しているが,そこに大きな間違いがあるという。
つまり
ということだ。
何故なら AI は人間ではないから。
AI とは友達になれない。
でも AI を善いサービスにすることはできる。
そのための政府ってことだよね。
あれ? やっぱり日本政府って失敗してる?
このエッセイを読みながら5年前に書いた記事を思い出してた。
結局そこに帰着するんだよなぁ。
そうそう。
関係ないが 「地上最大のロボット」 じゃない「PLUTO」のアニメ版が Netflix で公開されているらしい。
当時コミックをあれほど絶賛したのに,アニメはまだ観てないとか。
平日はアニメを観る気がしなくて,週末はチャリンコを乗り回して遊んでるので,やっぱりアニメは観なくなった。
このまま年を越してしまうのか…
ブックマーク
参考図書
- 信頼と裏切りの社会
- ブルース・シュナイアー (著), 山形 浩生 (翻訳)
- NTT出版 2013-12-24
- 単行本(ソフトカバー)
- 4757143044 (ASIN), 9784757143043 (EAN), 4757143044 (ISBN)
- 評価
社会における「信頼」とは。
reviewed by Spiegel on 2015-11-28 (powered by PA-APIv5)
- 超監視社会
- ブルース・シュナイアー (著), 池村 千秋 (翻訳)
- 草思社 2016-12-13 (Release 2017-02-03)
- Kindle版
- B01MZGVHOA (ASIN)
実は積ん読のまま読んでない。そろそろちゃんと最後まで読まないと。
reviewed by Spiegel on 2019-03-23 (powered by PA-APIv5)
- PLUTO デジタルVer.(1) (ビッグコミックス)
- 浦沢直樹×手塚治虫 (著), 長崎尚志プロデュース (著), 手塚プロダクション (著), 手塚眞 (読み手)
- 小学館 2004-09-30 (Release 2022-10-28)
- Kindle版
- B0BHYJKB5N (ASIN)
- 評価
今までの浦沢直樹さんの作品の中で一番なんじゃないだろうか。地上最大のロボット」って実はあまり印象にないんだよねぇ。全集なんかで読み返すと当時は(時代を反映した)結構な問題作だったらしいが,敢えてそれを選ぶってのが凄いよなぁ。オリジナルのラストはちょっと切ないというか物足りない終わり方をしているのだが,浦沢版ではいったいどうなるのか。楽しみである。
reviewed by Spiegel on 2006-05-07 (powered by PA-APIv5)