「陰影礼賛」
今日は三連休の真ん中だが私は昨日は仕事だったので,今日・明日だけゆっくりできる。 これで天気がいいなら期日前投票に行きたいところだが…
個人的な備忘録を眺めていたら,話題の『三体』邦訳版が既に出ていることに気がついた。
最近はこの手の小説に飽き始めているので,二千円近くも払うのか迷ったが,SF自体は基本的に好きなので買っておくことにした。 Kindle の肥やしにならないことを祈ろう(読めって!)。
で,『三体』に関連するキーワードとして出てくる「暗い森」で私が連想したのは『テスラ―発明的想像力の謎』に出てくる「ランタン」の比喩表現だ。
6年前の私,グッジョブ! じゃなくて,思考の横滑りにも程があるな(笑) まぁいつものことなのでご容赦を。
闇は恐怖の象徴であると同時に平等の象徴でもある。 上の引用を裏返せば「相手が見えない」ことは「相手からも見えない」ことと同義だ。 「暗い森」は捕食者を恐れ知られないよう息を詰めているみたいな話のようだが,見方を変えれば捕食される側はむしろ夜や闇の中にこそ生き残るチャンスがあるわけだ。
しかし現状のインターネットは「暗い森」ではないし,かつて私が言っていた「ランタン」や「街灯」の比喩はもう使えない。 何故なら「わたし(あなた)の見ているものがあなた(わたし)には見えない」のが今のインターネットの基本的な(そして望まれる)構造だからだ。
そういう風に考えるなら,インターネットはむしろ「動物園1」に近いんじゃないだろうか。 問題は誰が「動物園の管理者」になるかであり,そのための覇権争いが「分断されたインターネット」の正体だ。
それなら私は「暗い森」としてのインターネットを望む。 闇は恐怖の象徴であると同時に平等の象徴でもある。 それこそが本来のインターネットのあるべき姿だと思うし,そうならないのであれば最終的には「動物園」から出ていくしかない。
参考図書
- 三体
- 劉 慈欣 (著), 大森 望 (翻訳), 光吉 さくら (翻訳), ワン チャイ (翻訳), 立原 透耶 (監修)
- 早川書房 2019-07-04 (Release 2019-07-04)
- Kindle版
- B07TS9XTSD (ASIN)
流行ってるらしいので買ってみた。 Kindle の肥やしにならないことを祈ろう(読めって!)。
- テスラ―発明的想像力の謎
- 新戸 雅章 (著)
- 工学社 2002-02-01
- 単行本
- 4875932685 (ASIN), 9784875932680 (EAN), 4875932685 (ISBN), 9784875932680 (ISBN)
- 評価
正直,伝記本とは言いがたいが,読み物としては面白い。
- 闇をひらく光 〈新装版〉: 19世紀における照明の歴史
- ヴォルフガング・シヴェルブシュ (著), 小川 さくえ (翻訳)
- 法政大学出版局 2011-12-09
- 単行本
- 4588276484 (ASIN), 9784588276484 (EAN), 4588276484 (ISBN)
- 評価
新装版が出てるのか。Kindle 化希望。光とエネルギーを巡る近代史。街灯破壊運動など現代監視社会への暗合と思えるような点も面白い。
- 陰翳礼讃
- (初出: 「経済往来」1933(昭和8)年12月号、1934(昭和9)年1月号)
- 谷崎 潤一郎
- 2016-08-23 (Release 2016-06-10)
- 青空文庫 (Public Domain)
- 56642 (図書カードNo.)
実はちゃんと読んでない(笑) 学生時代に読んでおけばよかった。
reviewed by Spiegel on 2019-07-14 (powered by aozorahack)
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フェルミのパラドックスに対する仮説で「地球動物園仮説」というのが実際にある。「這いよれ!ニャル子さん」の設定も「地球動物園仮説」だよね(笑) ↩︎