第五の季節:土用

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(この記事は2021年7月頃にあちこちで書いたものを抜粋して再構成したものです)

2022-04-17 は望(満月)で「土用の入り」である。 というわけで今回は「土用」に関する小咄などを。

土用の入り

「土用」は四季を無理くり五行説に当てはめた弊害(笑)でできた,第五の季節とでも言うべきものだ。 春=木,夏=火,秋=金,冬=水とすると「土」が余ってしまうので,各季節から $1/5$ ずつ拝借して作ったのが「土用」の元々の起源らしい。

File:Wuxing fr 2.svg - Wikimedia Commons (CC-BY-SA 3.0)

いわゆる「平気法(または恒気法)1」では没日を除いた1年の長さは360日なので,各季節の $1/5$ は $(360 \div 4) \div 5 = 18\mathrm{日}$ となる。 これが「土用は各季節の最後の18日間」などと言われる所以である。

現在の「土用の入り」は雑節のひとつとして残っている。 定義は

現在では土用の入りは太陽黄経が297°、27°、117°、207°となる日として定義されます

である。 目安としては

土用 太陽黄経 月日
297° 1月17日ごろ
27° 4月17日ごろ
117° 7月19日ごろ
207° 10月20日ごろ

となるようだ。 ちなみに「土用の明け」は各季節が始まる立春(315°),立夏(45°),立秋(135°),立冬(225°)の前日である。 2022年は

日付 曜日 内容
2022-01-17 土用の入り
2022-02-04 立春
2022-04-17 土用の入り
2022-05-05 立夏
2022-07-20 土用の入り
2022-08-07 立秋
2022-10-20 土用の入り
2022-11-07 立冬

という関係になる。 1年は360°なので,各季節の「土用」の期間は,先程の計算式と同じく $(360 \div 4) \div 5 = 18°$ となる。 というわけで,さきほどの「土用の入り」の定義となるわけだ。

土用の丑の日

「土用の丑の日」は江戸時代の有名なプロモーションのおかげなのか夏の土用が有名だが,「土用」は各季節ごとにあるし,その中で「丑の日」は最低1日(最大2日)はあることになる。 ウナギ好きの方,よかったですねぇ。 各季節ごとにウナギを喰い散らかす口実ができたっスよ(笑)

以前「十干十二支を数え上げるパッケージを作ってみた」で自作パッケージを紹介したが,その後,パッケージの移行に伴い goark/koyomi パッケージに統合した。 これを使って2022年春の土用期間の干支を数えてみよう。 コードはこんな感じ。

package main

import (
    "fmt"

    "github.com/goark/koyomi/value"
    "github.com/goark/koyomi/zodiac"
)

func main() {
    start, _ := value.DateFrom("2022-04-17")
    end, _ := value.DateFrom("2022-05-05")
    for d := start; d.Before(end); d = d.AddDay(1) {
        ,  := zodiac.ZodiacDayNumber(d)
        fmt.Printf("Day %v is %v%v\n", d, , )
    }
}

これを実行すると

$ go run sample.go
Day 2022-04-17 is 庚子
Day 2022-04-18 is 辛丑
Day 2022-04-19 is 壬寅
Day 2022-04-20 is 癸卯
Day 2022-04-21 is 甲辰
Day 2022-04-22 is 乙巳
Day 2022-04-23 is 丙午
Day 2022-04-24 is 丁未
Day 2022-04-25 is 戊申
Day 2022-04-26 is 己酉
Day 2022-04-27 is 庚戌
Day 2022-04-28 is 辛亥
Day 2022-04-29 is 壬子
Day 2022-04-30 is 癸丑
Day 2022-05-01 is 甲寅
Day 2022-05-02 is 乙卯
Day 2022-05-03 is 丙辰
Day 2022-05-04 is 丁巳

となった。 これによると 2022-04-18 と 2022-04-30 が丑の日のようだ。 おー,2回もある。

ブックマーク

参考図書

photo
天文年鑑 2022年版
天文年鑑編集委員会 (編集)
誠文堂新光社 2021-11-22
単行本
441662140X (ASIN), 9784416621400 (EAN), 441662140X (ISBN)
評価     

天文ファン必携。2022年版。

reviewed by Spiegel on 2021-11-22 (powered by PA-APIv5)

photo
新こよみ便利帳―天文現象・暦計算のすべて
暦計算研究会 (編集)
恒星社厚生閣 1991-05-01
単行本
4769907001 (ASIN), 9784769907008 (EAN), 4769907001 (ISBN)
評価     

今となっては古い内容だが,暦や天体位置の一覧表が載っていて当時はそれなりに役に立った。

reviewed by Spiegel on 2021-07-31 (powered by PA-APIv5)

photo
プログラミング言語Go
アラン・ドノバン (著), ブライアン・カーニハン (著), 柴田芳樹 (著)
丸善出版 2016-06-20 (Release 2021-07-13)
Kindle版
B099928SJD (ASIN)
評価     

Kindle 版出た! 一部内容が古びてしまったが,この本は Go 言語の教科書と言ってもいいだろう。感想はこちら

reviewed by Spiegel on 2021-05-22 (powered by PA-APIv5)

photo
デベロッパーゴースーパーゴラン Tシャツ
Geek Go Super Golang Tees
ウェア&シューズ
B09C2XBC2F (ASIN)
評価     

ついカッとなってポチった。反省はしない

reviewed by Spiegel on 2022-04-10 (powered by PA-APIv5)


  1. 「平気法」は天球上の太陽の運行速度を一定とみなして(平均太陽)1年を均等に24等分する方法。これにより一気の長さは $365 \div 24 = 15.2\mathrm{日}$ で一定となる。没日を除けばちょうど15日。ちなみに現行暦は「定気法」がベースになっている。定気法は太陽の視黄経を角度で24等分(各15°)する方法で「太陽黄経」が定義の基準となる。 ↩︎