正義は公正とは相容れない
(胡乱なことを口走ってる自覚はあります。閲覧注意)
正義は公正とは相容れない。 もうちょっと簡単に言うと「英雄は裁かれない」ってやつだ。
このフレーズが浮かんだのは Fediverse Advent Calendar 2022 8日目の記事「個人情報保護法令とFediverseの話」の最後の方に出てくる以下の記事を読んだとき。
この記事は
という tweet を起点に考察したものだ。 とはいえ,この tweet 自体は個人的には納得できる。 むしろ Twitter 側が計測もせずに主観でタイムラインを弄ってた,なんて話だったら,そっちのほうが拙い。
それでも Twitter はマシな方で,タイムライン右上のボタン
をクリックすれば「ホーム」と「最新ツイート」を切り換えることができる1。 しかも永続的に効く。 Facebook も「最新」にできるけど永続的に効かないので,画面を開くたびに切り換えないといけないんだよなぁ。 Instagram はアカウントを捨てたし TikTok はそもそもアカウントを取ってないので知らない(笑)
Twitter にとって主たる「顧客」は株主2 と広告主だ。 さんざん言われていることだが,ユーザは「商品」でしかない。 商品を陳列棚(=タイムライン)にどう並べらたら利益が上がるか計測(=監視)するのは営利企業として正しいし,計測結果に従って商品を並べ替え,さらに法を根拠に取り下げる(=検閲)のも正しい。 フォローもしてない広告アカウントが頻繁にプロモーションツイートを差し込むのも正しいわけだ。 忌々しいことに。
このことから分かるように,覇権プラットフォームに於いて私達は「量」として評価され,ひと括りの「ユーザ」として包摂されている。 ユーザを個人として見ているわけではないから個人に対する公正さは考慮されない。 そして「Twitter の正義」からこぼれ落ちる個人は排除される。
包摂と排除はコインの表裏の関係である。 排除されていることに我慢ができないのなら,排除されない別の包摂基準を持つプラットフォームへ移住するか,さもなくば自身がプラットフォーマー3(笑)になるか。 国際移民問題と同根だな,これ。 何故か日本では「クレームをつければ黒いカラスも白くなる」と思ってる人が多そうな印象だが。
私自身 Twitter は「広告媒体」であると認識しており,情報収集の手段として重宝してはいるものの,仮に某マスク氏が突然「もう閉店ガラガラ」とか言ってシャットダウンしたとしても全く困らない。 そこまではなくても Twitter の独裁化が進むであろうことは容易に想像できるし,そうなればその「孤独な正義」からこぼれ落ちる個人は(私も含め)増えるかもしれない。
EFF も言っているではないか。
と。 社会が「多様性(diversity)」を重視しつつある昨今,プラットフォーム覇権主義はもはや無理筋と言えるだろう。 そこで私達にできることは,陳腐ではあるが,覇権プラットフォームにロックインされないことである。 『Clean Architecture』的に言うなら「プラットフォームは詳細である」といったところか(笑)
ブックマーク
参考図書
- ユニコーン企業のひみつ ―Spotifyで学んだソフトウェアづくりと働き方
- Jonathan Rasmusson (著), 島田 浩二 (翻訳), 角谷 信太郎 (翻訳)
- オライリージャパン 2021-04-26
- 単行本(ソフトカバー)
- 4873119464 (ASIN), 9784873119465 (EAN), 4873119464 (ISBN)
- 評価
版元より電子版も出ている。 Google や Spotify のような「ユニコーン企業」はどのようにして「ミッション」を遂行しているのか。
- つながりっぱなしの日常を生きる:ソーシャルメディアが若者にもたらしたもの
- ダナ・ボイド (著), 野中 モモ (翻訳)
- 草思社 2014-10-09 (Release 2015-07-21)
- Kindle版
- B0125TZSZ0 (ASIN)
- 評価
読むのに1年半以上かかってしまった。ネット,特に SNS 上で自身のアイデンティティやプライバシーを保つにはどうすればいいか。豊富な事例を交えて考察する。
- 超監視社会
- ブルース・シュナイアー (著), 池村 千秋 (翻訳)
- 草思社 2016-12-13 (Release 2017-02-03)
- Kindle版
- B01MZGVHOA (ASIN)
実は積ん読のまま読んでない。そろそろちゃんと最後まで読まないと。
- 排除型社会―後期近代における犯罪・雇用・差異
- ジョック ヤング (著), Young,Jock (原著), 秀男, 青木 (翻訳), 泰郎, 伊藤 (翻訳), 政彦, 岸 (翻訳), 真保呂, 村澤 (翻訳)
- 洛北出版 2007-03-01
- 単行本
- 4903127044 (ASIN), 9784903127040 (EAN), 4903127044 (ISBN)
- 評価
- SAVED. / Be mine!
- 坂本 真綾 (メインアーティスト)
- FlyingDog 2014-02-05 (Release 2014-02-05)
- MP3 ダウンロード
- B00HY73M16 (ASIN)
- 評価
「世界征服〜謀略のズヴィズダー〜」OP曲。万能感溢れるノリのいい曲である(笑)
- Another colony
- TRUE (メインアーティスト)
- Lantis 2018-11-07 (Release 2018-11-07)
- MP3 ダウンロード
- B07K356C43 (ASIN)
- 評価
「転生したらスライムだった件」第1期 ED 曲。
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Twitter は,少し前に「ホーム」と「最新」をスワイプで切り換えることができるようスマホアプリの機能を変更したが不評だったらしく,元に戻している。 ↩︎
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プラットフォーマー(platformer)ってゲーム用語だと思っていたのだが,どうもインターネット基盤(platform)を提供する事業者一般を指す言葉になっているらしい? インターネット基盤とやらが何処までを指すのか分からないが「GAFA はプラットフォーマー」みたいな記述もある。で,元々の意味で使う場合は platform game と呼ぶそうな。ホンマよー分からん。から,テキトーに使ってみた(笑) ↩︎