情報通信白書に見る AI

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【メモ】 元号-西暦変換表

毎回分からなくなってググるので,ここにメモしておく。 お役所の文書で元号を使うのマジでやめて欲しい。 もう元号は祭事と皇室関連だけでいいじゃん。

元号 西暦
令和5年 2023年
令和6年 2024年
令和7年 2025年
令和8年 2026年

情報通信白書に見る AI

仕切り直しまして。

例によって Bluesky の自 TL に流れてきたポストから。

2024年版の情報通信白書の一部らしい。 現時点(2026-06-22)で情報通信白書は2025年版まで出ている。

2024年版で AI 関連のトピックには以下のものがある。

「著作権を含む知的財産権等に関する議論」は特集②第4章第1節の中にある。

2025年版で AI 関連のトピックには以下のとおり。

見出しに AI が付いてるものだけを抜き出してみたが,2025年版は言及が少なくなってるのかな?

このブログ記事では著作権を含む知財権と AI についての話に絞ることにしよう。 とはいえ「著作権を含む知的財産権等に関する議論」自体はあまり深い話はなくて,物凄く端折って言うなら「AI に絡む知財権の問題が複雑化してるから,どげんかせんといかんね」といった感じだろうか。 企業側の対策として Microsoft の “Copilot Copyright Commitment” や Adobe Firefly における取り組みを紹介している。

「AI と著作権に関する考え方について」

政府側のアクションとしては

日本では、生成AI技術の発展と急速な普及に伴って権利者やAI開発者から著作権などの知的財産権の侵害に関する懸念の声が上がったことを踏まえ、2024年3月、文化審議会著作権分科会法制度小委員会において、「AIと著作権に関する考え方について」がとりまとめられるとともに、(著作権を含む)知的財産権との関係について、2024年5月、AI時代の知的財産権検討会より、「AI時代の知的財産権検討会 中間とりまとめ」が公表された。

AI時代の知的財産権検討会」は現在も定期的に会合を開いているようだ。

まず「AIと著作権に関する考え方について 」について Kagi Assistant に簡単にまとめてもらった。

観点 要点
文書の位置づけ この文書は,生成AIと著作権に関する考え方を整理・周知するために取りまとめられたものであり,公表時点の一定の考え方を示すもの。法的拘束力はなく,特定の生成AIや技術について確定的な法的評価もしない
前提(人とAIの関係) 人はAIを「高度な道具」として補助的に用いる前提で,AIを道具として用いる人に行為の責任が帰属する,という考え方を前提にしている。
開発・学習段階:30条の4(非享受目的) 30条の4の柱書は「享受を目的としない場合」を挙げており,AI学習のための情報解析を含む「情報解析の用に供する場合」は,享受目的がないものに該当すると整理している。
開発・学習段階:享受目的が併存する場合 1つの利用行為に目的が複数併存し得るところ,享受目的が1つでも含まれれば30条の4の要件を欠く(=適用なし)と整理している。
開発・学習段階:ただし書(不当な害) 30条の4には,著作権者の利益を不当に害する場合は適用しないというただし書があり,これに該当すれば適用されない。
生成・利用段階:侵害判断の軸 生成物の生成・利用でも,既存の判例と同様に,類似性と依拠性の両方が認められると著作権侵害となり得る。その場合,差止や損害賠償の請求等が問題になり得る。
生成・利用段階:類似性 類似性は,「表現上の本質的な特徴を直接感得できるもの」について認められてきた,という整理。
生成・利用段階:依拠性(学習データに含まれていた場合) AI利用者が既存著作物を認識していなくても,学習・開発段階で学習用データに含まれていればアクセスがあったと認められ,依拠性が推認されて侵害になり得るとする。
生成物の著作物性と「著作者」 「著作者」は著作物を創作する者だが,AIは法的な人格を有しないため,AIが著作者になることはない。生成物が著作物と判断される場合も,AIを利用して創作した人が著作者になる。
生成物:指示の具体性と著作物性 生成AIへの指示が「表現に至らないアイデア」にとどまるような場合は,著作物性が認められないと考えられる,という整理。
責任主体:原則と例外 侵害となる場合の主体は,原則として物理的行為主体であるAI利用者が責任を負う。
責任主体:事業者が責任を負い得る場合 そのうえで,規範的行為主体論により,生成AIの開発やサービス提供をする事業者が責任を負う場合があり得る。例として,特定の生成AIで侵害物が高頻度で生成される場合は,侵害主体と評価される可能性が高まるとする。
まとめ(今後) 判例・裁判例の蓄積,技術発展,諸外国の検討状況などを踏まえて,引き続き検討が必要とされている。

まだ流し読みした程度だが,この辺の内容は2023年の文化庁の資料の内容を踏襲しているように見える。

ポイントは「既存著作物への依拠性」そして「『享受』を目的とする利用か否か」である。

著作権侵害の要件は大きく分けると「既存著作物との同一性・類似性」と「既存著作物への依拠性」の2つです。

前者の「既存著作物との同一性・類似性」について、AIは関係ありません。これまでの膨大な判例を元に、判断基準がほぼ確立しています。

たとえ「作風・画風」が類似していたとしても、「同一性・類似性」があることにはなりません。これは文化庁の資料に記載されているとおりです。

AI時代の知的財産権検討会 中間とりまとめ 」の内容は多岐にわたるけど,著作権を含む知財権部分を同じようにまとめると以下の通りとなる。

著作権法との関係(学習・生成/利用を分けて整理)

観点 要点(超要約)
著作権法30条の4(非享受目的) 30条の4の柱書は,著作物に表現された思想又は感情を「享受」することを目的としない場合に利用し得るという考え方で,かつ「情報解析(用に供する場合)」が示される。
「非享受目的でも適用されない」場合(享受目的の併存) 1つの利用行為に複数の目的が併存し得る前提で,目的の内に一つでも“享受”が含まれると要件を欠く(=30条の4が適用されない)という整理。
生成AIへの入力(プロンプト等) 生成指示(プロンプト等)を行う入力は,入力の性質として情報解析にあたり,付随して複製等が生じ得るため30条の4の適用が考えられる一方,入力が「類似生成を意図して著作物を享受させる」性格を持つ場合は適用されないと整理。
侵害の要件イメージ(類似性・依拠性) 既存の裁判例の枠組みを踏まえ,類似性と依拠性が認められると著作権侵害となり得る,という整理。
生成物の著作物性(AI出力が保護されるか) AI生成物の著作物性は個別具体的に判断され,単なる労力ではなく,創作的寄与がどの程度積み重なっているか(例:指示・入力の具体性等)が要素になる。
侵害主体(利用者だけ?事業者も?) 原則は物理的な行為主体(AI利用者)だが,状況により事業者が規範的行為主体として責任を負う可能性がある(例:侵害物が高頻度に生成,抑止措置を取らない等)。

著作権法以外(意匠・商標・不正競争防止法・肖像/パブリシティ)

観点 要点(超要約)
意匠・商標(学習 vs 生成/利用) 現行制度を前提に,学習段階は(原則として)権利効力が及ぶ「実施」等に当たらない方向,生成・利用段階は従来の侵害判断と同様の発想で検討する,と整理。
不正競争防止法(商品等表示等) 商品等表示規制等について,依拠性が不要になる類型もあり,生成物への利用の違法性判断は一般的な枠組みに沿う,と整理。
肖像権・パブリシティ権 肖像権・パブリシティ権の侵害判断は,一般的な判断基準と同様の枠組みで考える(生成AIに特有の基準を置くものではない)方向で整理。

個別課題(労力・作風/声/デジタルアーカイブ/ディープフェイク)

観点 要点(超要約)
労力・作風(アイデア)の扱い 著作権法は「表現」を保護し,作風や労力そのものは保護対象ではないため,現行法だけで一律保護は難しい,という問題意識の整理(その上で契約・技術も組み合わせ得る)。
「声」の保護は肖像権・パブリシティ権等の周辺領域も含め整理し,成立可能性を検討する枠組みを提示。
デジタルアーカイブ アーカイブ機関の保有データを学習に使う意義や,権利関係・技術仕様の整理が必要という問題設定。
ディープフェイク 無断利用があれば著作権等の侵害になり得ること,また肖像権・パブリシティ権や名誉毀損等の評価も含め,事案ごとに整理する方針。

特許(AIを利用した発明の取扱い/進歩性・記載要件)

観点 要点(超要約)
AIを利用した発明者性 現時点では「AI自身の自律的発明」は確認できず,自然人による創作過程でのAI利用が一般的として,発明の特徴的部分への創作的寄与者を発明者と認定する考え。
進歩性の判断 現時点では審査運用を変える事情は認められず,AI利用も含めて技術常識・技術水準を的確に把握し,従来の運用に従って判断する,という方針。
記載要件(実施可能要件・サポート要件) AIによる予測等が絡む領域では,従来の考え方に照らして要件を満たさない事例があり得る旨を踏まえ,判断枠組みの維持を前提にしつつ,技術進展に応じた検討可能性を示す。

こちらも,著作権に関しては概ね文化庁の見解を踏襲しているように見える。

とりあえず,もう少し資料を読み込んで,AI がまとめた内容を精査しないとダメだな。

ブックマーク

参考

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著作権は文化を発展させるのか: 人権と文化コモンズ
山田 奨治 (著)
人文書院 2021-07-29 (Release 2021-07-29)
Kindle版
B099RTG3J7 (ASIN)
評価     

著作権を「ユーザーの人権」という観点から捉え直す。その後 文化→コモンズ→文化コモンズ と進み,本当の意味で「文化の発展に寄与する」とはどういうことか考察していく。

reviewed by Spiegel on 2022-10-23 (powered by PA-APIv5)