Flickr は監視資本主義に向かわない
いやぁ「はやぶさ2」タッチダウン成功に続いて嬉しいニュースかも。
- Update on Creative Commons licenses and “In Memoriam” accounts. | Flickr Blog
- Big Flickr Announcement: All CC-licensed images will be protected - Creative Commons
Flickr は現在 CC Licenses 下で公開している写真について削除をしないことに決めたようだ。 これは現在アップされている写真のみならず,これからアップされる写真にも適用される。
これに関連して Free アカウントでライセンスの一括変更ツールが使えなくなるようだ。
まぁ,これはしょうがない。 写真を削除されないためだけに CC Licenses を設定するのは本末転倒だし,それで後にトラブルが発生しても「知らんがな」って感じだものねぇ。 一括変更ができないだけで普通に CC Licenses を設定するのはこれまで通りできるみたいなので問題ないだろう。
Flickr のこの決定に対して Creative Commons は以下のように文章を寄せている。
そして更にこう続く。
いや,もうね,死んだと思っていた Flickr がここまでのガッツを見せてくれたのなら,元 Pro ユーザとして応えないわけにはいかないだろう。
というわけで払い込みましたよ 59.88 USD ほど1。
私は Flickr が今の姿勢を貫く限り,そして私のささやかな財力と残り少ない寿命が続く限り Pro ユーザを継続することをここに宣言する。
コモンズは「空き地」でも「余白」でもない
そういえば以前書いた『続・情報共有の未来』の感想文で私はこう書いた。
今後の Flickr はまさにユーザが「参加」するプラットフォームあるいはメディアになりうる期待感がある。
一方『法のデザイン』を著された CCjp 理事の水野祐さんは著書の中でコモンズを「法的な余白」であると書かれている。 しかし,今回の Flickr の苦悩を見れば分かるようにコモンズを「持続」させるにはそれなりのコストとリスクと責任が伴う。 それを「参加者」全員が少しずつ引き受けていくからこそコモンズはコモンズたり得るのである。 そのためには明示的な “CODE” を組む必要がある2。
誤解のないようにあらかじめ言っておくが,これは「Flickr を利用するならお金を払うべき」と言っているのではない。 オープンソース・プロジェクトでも同じだが,人によってできることは違うのだから,それぞれ手の届く範囲でコモンズに「参加」していけばいいのである。
それに今は何も
参考図書
- もうすぐ絶滅するという開かれたウェブについて 続・情報共有の未来
- yomoyomo (著)
- 達人出版会 2017-12-25 (Release 2019-03-02)
- デジタル書籍
- infoshare2 (tatsu-zine.com)
- 評価
WirelessWire News 連載の書籍化。感想はこちら。祝 Kindle 化!
reviewed by Spiegel on 2018-12-31
- CODE VERSION 2.0
- ローレンス・レッシグ (著), 山形浩生 (翻訳)
- 翔泳社 2007-12-19 (Release 2016-03-14)
- Kindle版
- B01CYDGUV8 (ASIN)
- 評価
前著『CODE』改訂版。
- フリーカルチャーをつくるためのガイドブック クリエイティブ・コモンズによる創造の循環
- ドミニク・チェン (著)
- フィルムアート社 2012-05-25
- 単行本
- 4845911744 (ASIN), 9784845911745 (EAN), 4845911744 (ISBN)
- 評価
国内における Free Culture の事例が豊富。取っ掛かりとしてはちょうどよい本。
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月額 6.99 USD のコースもある。支払いには各種クレジットカードのほか PayPal も利用できる。 ↩︎
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先日紹介した『続・情報共有の未来』の付録の中で引用されていたローレンス・レッシグ氏の「自由や匿名性はコードや物理世界の不完全性に依存しているので、自由を守るためにこそ人は適切な政府の規制を要求しなければならない」という言葉を今更ながら痛感する。これは法的コードのみならずアーキテクチャ・コードに於いても同じで,正しいアーキテクチャ・コードを組むことがいかに難しいか考えさせられる。 ↩︎