個人番号と個人番号カード
どうしても TL に脊髄反射コメントを書いてしまう。
というわけで。
気持ちは分かる。 共感できる。
だが「個人番号」と「個人番号カード」の問題は(関連してるけど)きちんと切り分けて考えないとワケワカメになる。
「個人番号」の問題
「個人番号」の問題は,ひとことで言うなら(ゼロ年代に議論になった)固有 ID の問題である。
ID (Identity) には有効な「目的」と「範囲」と「期間」が必ずある。 これを逸脱するとセキュリティおよびプライバシーの問題となる。
ゼロ年代に批判された「住基番号」問題の核心は,目的と範囲と期間を超えて(認証および許可トークンとして)単一の ID を使いまわしていることだ。 そして個人番号でも,当時の批判から何も学ぶことなく同じ失敗を繰り返している。
昨今あたり前になりつつある「セロトラスト・セキュリティ」と照らし合わせても「個人番号」の設計が如何にダサいか分かるだろう。 ダメダメな設計を運用(マイナンバー関連法)でカバーするってのは「動かないシステム」の典型である。
「個人番号カード」の問題
「個人番号カード」の問題は「
5月の「特別定額給付金」でのドタバタを見れば分かるように,オンライン申請によって「できる人」と「できない人」で明確に色分けされてしまった。 もっと言うと現在稼働中の「マイナポイント」はキャッシュレス決済手段を持ってない人は(できるできない以前に)構造的に排除されている。 ぶっちゃけ,お役所内部のお些末さは枝葉末節に過ぎない。
これで思い出すのが,最近見かけた以下の記事だ。
この記事では「コロナ」と「老人」を切り口に語られているが,情報格差は世代格差よりも経済格差による影響が大きい。
つまり,「個人番号カード」により拡大した情報格差は経済階級構造と結びつき「情報力」を背景にした階級社会を強化することになるだろう。
ブックマーク
参考文献
- グリゴリの捕縛
- 白田 秀彰
- 2001-11-26 (Release 2014-09-17)
- 青空文庫
- 4307 (図書カードNo.)
- 評価
白田秀彰さんの「グリゴリの捕縛」が青空文庫に収録されていた。
内容は 怪獣大決戦 おっと憲法(基本法)についてのお話。
古代社会 → 中世社会 → 近代社会 → 現代社会 と順を追って法と慣習そして力(power)との関係について解説し,その中で憲法(基本法)がどのように望まれ実装されていったか指摘してる。
その後,現代社会の次のパラダイムに顕現する「情報力」と社会との関係に言及していくわけだ。
reviewed by Spiegel on 2019-03-30 (powered by aozorahack)
- つながりっぱなしの日常を生きる:ソーシャルメディアが若者にもたらしたもの
- ダナ・ボイド (著), 野中 モモ (翻訳)
- 草思社 2014-10-09 (Release 2015-07-21)
- Kindle版
- B0125TZSZ0 (ASIN)
- 評価
読むのに1年半以上かかってしまった。ネット,特に SNS 上で自身のアイデンティティやプライバシーを保つにはどうすればいいか。豊富な事例を交えて考察する。